|
|
溺れる者は藁をも? 得票率では国民の半数以上が この熱狂の波に乗らなかったという事実
師岡カリーマ(文筆家)
月刊誌『世界』(岩波書店)3月号の特集「日本経済の実像」を読むと近 年の格差拡大と国民の生活水準低下がいかに意図的な政策の結果だった か、インフレと円安がどう政府をホクホクにするのかがよくわかる。 高市政権が掲げる積極財政のリスクも論じられていて代償を支払うの は、常に労働者と年金生活者だ。 では、念仏のように繰り返される「責任ある積極財政」は、専門家が警 告するリスクが現実のものとなった場合、誰がどう「責任」を取るのか。 「大義なき解散」「党利党略」などと右も左も批判した衆院選について 「高市早苗が首相でいいか、国民の信を問う」と繰り返した首相は、実際 には投票日前から、首相として訪米する準備をしていた。 結果がわかっているからこそやった選挙では、「信を間う」も、「責任 ある積極財政」同様、「高市劇場」の真実味に欠ける台詞(せりふ)と化す。 その劇場の新作「解散選挙」に国民は800億円の入場料を払わされた が、その割にこの演目は大好評だったように見える。 喝采の真っただ中では、劇を酷評するのも憚(はばか)られる雰囲気さえ 漂う。 が、自民の得票率に目を向けると、小選挙区で5割弱、比例で4割 未満。高市1強の吉凶はともかく、国民の半数以上がこの熱狂の波に乗ら なかったという事実は捨てたものではない。 空虚な言葉の海に浮かぶ藁以上の価値はある。 (2月14日「東京新聞」朝刊23面「本音のコラム」より)
.. 2026年02月17日 08:06 No.3431001
|