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■--30キロ圏内の住民の合意をとれ
++ 山崎 久隆 (小学校低学年)…5回          

玄海原発4号機の運転再開をしてはならない追加の理由
   設置許可は無効、やらせ問題も未解決、30キロ圏内の住民の合意をとれ

                       

 11月2日に行われた院内集会で採択された要請書にある、玄海原発の「運転再開をしてはならない4つの理由」に付け加えて、さらにいくつかの理由を示しておきます。ただし、これは私の個人的見解ですので念のため。集会参加者で合意しているというわけではありません。

 ●まず、そもそも論●

 玄海原発がどのような理由で止まろうとも、いったん運転を停止した原発が再開するにあたり、まず政府自らが決めたルールを守らねばならない。
 3.11原発震災を受け、ありとあらゆる安全規制行政が機能せず、原子炉を溶融させ大量の放射能を発散、拡散させた「原子炉等規制法違反事件」を引き起こした当事者の一人である行政が考えた「茶番に過ぎない」とはいえ、また規制当局が主観的に作ったにすぎなくても、あるいは内容がお手盛りで到底安全に寄与しないとしても、そうであってもストレステストを経なければ再起動などしてはならないはずだ。これは「最後の矜持」というべきものだ。
 あれはいい、これはだめ、今回の原発震災を受け手の規制当局の姿勢は、場当たり、無法、いいかげん、住民の神経の逆なで、あらゆるデタラメさが蔓延している。行政の公平性(フェアネス)も、規制当局の規範性(コンプライアンス)も、大きく崩れてしまい、これでは何が正しいか誰にも分からなくなっている。
当事者でさえ。
 これでは、いかなる安全行政も成り立たない。
ストレステスト自体が現行の原子力規制行政の法の外にあるので、運用も恣意的にされているとしたら、そんなものに従う者は誰もいない。早晩、電力や産業側が原子力村の「専門家」を動員して巻き返しに掛かるだろうが、その際に玄海原発で行った恣意的運用が、安全側に立とうとする原子力規制当局の意思を破壊する。(もっとも、そんな高尚な者が今の原子力規制当局に居れば、の話だが)

 ●設置許可は無効●

 3.11により失われたものがもう一つある。それは防災対策だ。
 原子炉設置許可の段階で行われた地震や津波防災の考え方が、全くダメだったと言うことだ。
 ストレステストのテーマにもなっているのだが、福島第一を襲った地震や津波の規模や打撃力の評価が全くなっていなかったことが明らかになった。
 これは他の原発であっても全部そうなるだろう。福島だけがダメであとはOKなどということはあり得ない。なぜならば、地震津波対策の基本思想が全部同じだからだ。
 ありえるのは「偶然、たまたま」大きな地震を受けたのに揺れが小さかった、津波が低かったという「可能性」だけだ。つまり原発の安全規制そのものがギャンブルと化しているのだ。設置許可の段階までさかのぼり、その妥当性を問い直すことが、廃炉にしないならば絶対に必要なことなのに、運転を続けながら検証するなどと、欠陥風洞試験を行っていたことが分かった旅客機を定期路線で運航しながら強度試験をやり直すようなものだ。もちろん世界中でそんな恐ろしいことが許される国は存在しない。
.. 2011年11月05日 06:45   No.342001

++ 山崎 久隆  (幼稚園生)…1回       
 ●やらせ問題の解決も無し●

 誰が辞任するかとか、知事が指示したかしないかとか、そんなことは些末なことだ。九州電力のみならず、規制当局であるはずの国も加わって、原発の新増設
からプルサーマル強行などさまざまなシーンで、世論誘導どころか、世論のねつ造さえ行われていた。今、運転をして良いかどうか、世論操作せずに率直に聞いたらどうなるか。とても怖くて聞けないから依然として同じ穴の狢の県知事、町長に了解を取ったことにする。何処をどう反省しているのか、といば、もはや開き直っているのだ。
 九州電力が設置した「はずの」第三者委員会郷原委員長は、さすがにこのデタラメさに猛然と抵抗し、県知事と九州電力の報告書否定を批判している。
 運転再開どころか、県と電力と国の規制当局の信頼性に重大な疑義がある時に、これらがよってたかって運転再開を認める、実行するなど、どうやってもあり得
ないだろう。一言でいうならば「恥ずかしくは無いのか」。

 ●動かすなら少なくても30キロ圏内の住民の同意を取れ●

 現在、原発周辺自治体は10キロ以遠30キロ以内の範囲で頭を抱えているか、または、我が意を得たりと対策本部を作るなどの動きになっているだろう。10キロ圏外はいままで埒外に置かれ、どんな危機感を表明しても無視され続けてきた。
東京都内の市区町村でも浜岡原発の安全性を問う議会決議なども何度もなされてきたが、まともな回答は一つも無かった。
 浜岡原発の廃炉を求める決議や意見表明は牧之原市や焼津市からも上がっている。もはや全国が当事者なのだが、とりあえず原子力安全委も認めざるを得なくなっている30キロ圏内EPZ(緊急時計画区域)に少しでも掛かる自治体は、今すぐ原発の安全体制について発言をする権利を持っている。
 玄海原発の再起動についても、同様に少なくても30キロ圏内の住民同意を取り付けてからだろう。具体的には、福岡県糸島市、佐賀県唐津市、伊万里市、長崎県松浦市、佐世保市、平戸市、壱岐市だ。これらの自治体が住民の意思を聞き、防災体制を議論することが先決だ。
 今後何処の原発だろうが、「そんなことは常識」にしていかなければならない。

.. 2011年11月05日 06:55   No.342002
++ たんぽぽ舎 (社長)…442回       
九電玄海4号 ドタバタ再稼働
   地元「唐突」波紋広がる。燃料節約と言うが…やらせ問題棚上げ
   既成事実つくりたい? 批判の経産相なぜ容認?
   周辺市に連絡なし 慎重意見を無視

◯ 作業ミスで自動停止していた九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)4号機は1日、ほぼ1カ月ぶいに運転を再開し、4日には通常運転に戻る見通しだ。東京電力福島第一原発事故後、止まっていた原発が動くのは初めて。しかも、やらせメール問題が決着していない中での再稼働には、原発反対派ばかりか賛成派も疑問符をつける。”唐突”な再稼働に振り回された地元を歩いた。(略)
◯ 九電玄海4号機のトラブルは、タービンを回した蒸気を冷やして水に戻す「復水器」の補修作業中に起きたが、誤った手順書にのっとって作業をしたことによる「人為ミス」が原因だ。定期検査で停止した他の原発は、再稼働するためにはストレステスト(耐性評価)を受けねばならない。トラブルで止まった4号機の場合は、これにあてはまらないため、経済産業省原子力安全・保安院が「再稼働は事業者(九電)の判断で行う」とゴーサインを出したのだ。4号機は十二月中旬には、定期検査が予定されており、再稼働したとしても一カ月あまり後にはまた止めなくてはならない。それでもあえてこの時期に動かした意図をいぶかる声が地元でも少なくない。(略)

◯ 九電が、予想していた反対派の抗議や非難に加えて、周辺自治体の不興を買ってまで再稼働を急いだのは、たとえ一カ月でも原発を動かすことで、火力発電用の燃料費を節約しコストを削減するためとみられている。「そういう側面もあるが、とにかく『福島後に止まった原発を動かした』という既成事実をつくりたかったのではないか」と推測するのは、「脱原発ネットワーク・九州」の深江守代表。原発の再稼働を一つでも認めさせれば、他の原発も動かしやすくなる。4
号機の運転再開はその足掛かりというわけだ。「九電は、やらせ問題で世間の糾弾の矢面に立たされたが、最近は何とかしのげると踏んでいる節がある。推進派にとって好材料を提供することで、会長や社長は『われわれがいれば全面的な運
転再開は可能だ』と力を誇示したつもりでいるのだろう」

◯ 玄海原発4号機の再稼働に、各地で反発する声が響いた。地元・佐賀の「玄海原発プルサーマル裁判の会」は、二日午前、佐賀県庁を訪れ「地元住民の意思を無視している」として、運転再開中止を訴える要請書を古川康知事宛てに提出。
石丸初美代表は東京の参院議員会館で会見し、「九電は何が何でも動かそうということがさきにある。住民無視の強行だ」と怒った。さらに再稼働を容認した枝野幸男経済産業相に矛先を向け「やらせ問題で九電はうそをつくのが平気な企業
だと分かった。信頼は既に失っている。枝野さんんも(九電を)批判していたはずなのに、言っていたことと、やってることが違う」と批判した。全国百五十の市民団体は連名で、運転再開を停止するよう求める要請書を枝野経産相の事務所などに提出した。また九電東京支社の前では、八十人が「玄海原発を止めろ」などと声を上げたほか、福岡市の本店にも市民ら七十人が集まり、運転停止を求める真部利応社長宛の要請書を手渡した。(2011/11/4『こちら特報部』東京新聞より抜粋)

.. 2011年11月05日 08:31   No.342003
++ たんぽぽ舎 (社長)…443回       
東京湾に浮かぶ2つの原子炉
   マグニチュード7の地震の可能性(30年以内に)
   原子力空母の横須賀基地を視察

 「なにもこの日に限って降らなくとも」と恨めしく思いながら、横須賀市追浜の榎戸バースから小さなボートに10人が乗り込む。10月5日午後1時半。L版のビニール・レインコートを着、その上にライフジャケット。船長は横須賀市議の
山城保男さん。退職者の会の91歳になる佐藤敏昭会長以下8人。それに解説者の市川平さん。
 雨の中を出港。幸い風はない。それでもスピードが出ると雨は横殴りになり、顔に雨が滴る。最初は海上自衛隊横須賀基地を一巡。現役の軍艦を眼前に見ることなど滅多にない。巨大な鉄の塊だが、専用バースの風景に収まってしまう。それだけ軍港は広いのだ。
* 本番の米軍基地に入る直前、海自の監視艇が猛スピードで接近し、何か叫んでいる。これ以上近づくな!という警告らしい。まさか体当たりをする訳はないが、その危険を感じさせる。まさに威嚇である。
 原子力空母母港化反対運動の活動家でベテラン解説者の市川さんは少しも動ぜず、「今日は反対運動じゃない。案内しているだけだ」とハンドマイクで反論。
さらに引き返せと求める監視艇に向かって「市の管理する海にいて、何故いけないんだ。一回りしたら帰るから」と取り合わず、そのまま運航を続ける。
 監視艇は諦めたように引き下がり、気がつくと、代わりに海上保安庁の小型巡視艇がついてくる。「あれはデモの脇に立つ警官のようなものです」と市川さん。
 横須賀の米海軍基地を母港とする艦船は11隻。原子力空母ジョージ・ワシントン(G・W)を軸に揚陸指揮艦ブルーリッジ、イージス巡洋艦2隻、イージス駆逐艦6隻、ミサイル駆逐艦1隻。全部いたらさぞ圧巻だろうが、残念?なことに
G・Wは9月中旬に急拠、アジア方面に出動し、随行艦とともに不在だった。
* 視察終了後、場所を市の産業会館に移して、呉東正彦弁護士の話を聞く。原子力空母の母港化反対運動の中心人物だ。
 G・Wには60万キロワットの原子炉2基が積まれている。横須賀市内には4つの大きな活断層が走る。基地内には原子炉冷却用の純水プラントがある。M6〜7の大地震が30年以内に起きる可能性が高い。原子炉事故が起きたら、三浦半島全域が致死被害となる。
 呉東弁護士らは、地方自治法が定める港湾管理権を武器に、軍港湾施設の新増設に反対するため、原子力空母反対派の市長選に関わり、当選させてきたが、反対派だったはずの市長は当選した後腰が重くなり、空母受け入れのための増設は
どんどん進んだ。国からの強い圧力だ。
 次に取り組んだのが「原子力空母の是非を問う住民投票」。2回やって5万票を集めたが敗北。また、施設の増設差し止め訴訟もやってきたが10回敗北。今、最高裁で争っている。福島原発事故後、女性や各種の運動体が独自の反対運動を始め、地域に広がっている。
 原子力空母の出す放射性廃棄物に対し、基地で働く全駐労は就労を拒否しているが、基地に関わる住友重機の下請け、孫請け、その関連零細企業労働者は拒否しきれない。課題は尽きないが、息の長い戦いだ。知恵を出して闘い続けるしか
ない。呉東弁護士は悲観していない。 (吉原 節夫)
          (週刊新社会11月1日号より、了解を得て全文転載です)

.. 2011年11月05日 09:46   No.342004
++ たんぽぽ舎 (社長)…444回       
メルマガ読者からの学習・講演・デモのご案内3つ

 イ.11/5デモ・南相馬市役所前集合

 日 時:2011年11月5日(土)11:00
場 所:南相馬市役所前集合
主 催:フクシマの命と未来を放射能から守る会
呼び掛け人:小武海三郎、志賀道廣、小澤洋一、名畑昭一、岡田弘行、
      中野目健一
目 的:脱原発・子供を放射能から守る・被害者救援他

*デモ終了後、参加者の意見を集約すべく、また会の拡大に向けた懇談会を
開催予定です。折り込み広告はまだ未完成のため完成次第お送りします。
拡散宜しくお願いします。福島県南相馬市 志賀道廣

 ※編集部より、11/5の案内でしたが掲載が遅くなりました。
  申し訳ありませんでした。

 ロ.11/5ワークショップのご案内です

 みなさま、こんにちは!東電前アクションのワークショップチームです。
 私たちは、7月から月に1回、脱原発に向けてのワークショップを開いて、どうしたら効果的に脱原発に向かうかアイディアを出し合っています。
 次回のワークショップは、11月5日(土)の13:30から
 会場は、「パフスペース」
 (地下鉄東西線早稲田駅馬場下口2か3bから徒歩2分フェニックスビル3F )
        
 テーマは「みんなで作ろうデモグッズ!」です。
 手作りのプラカードや楽器、パペットをみんなで作ってみましょう!!!
 なお、参加者全員でハンドペイントの横断幕を作る予定です。

 下記のメールアドレスまで参加申し込みのメールをお願いします。
 飛び入りでもOKです。 件名:「第4回ワークショップ参加希望」
 本文:お名前、作りたいもの、などを記載の上、送信してください。
【持ってきてほしいもの】
参加費500円+αのお気持ち
 みなさまのご参加を心よりお待ちしています。

 ハ.11/19どうする 東京都内で〜震災と原発の廃棄物処理〜
           廃棄物処分場問題全国ネットワーク
                  共同代表 藤原寿和

   日 時:11月19日(土) 13:30〜16:00
   資料代:500円
   会 場:たんぽぽ舎5F
     〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5F
       TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
      

 5月に下水処理汚泥の焼却灰から高濃度の放射能が、7月には一般廃棄物の焼却灰からも放射能が検出、自治体の通常業務に大きな影響が出はじめました。
放射能汚染された廃棄物焼却による汚染拡散の不安や疑問の声が出ています。
東京都は11月3日 都民の声を聞くことなく岩手県宮古市の災害廃棄物1万1000トンの受け入れを開始しました。
 日本の人口の十分の一が暮らす大都会東京、震災と原発の廃棄物処理による土壌、水、大気の汚染。都民の不安と責任。
 まず現状を知り、叡智を結集せねばとの思いの集会です。
 ぜひ、お誘い合わせ ご参加下さい。

共 催:止めよう!ダイオキシン汚染 東日本ネット (連絡先03-3982-1498)
水銀汚染検証市民委員会(連絡先 03-3915-1612)

.. 2011年11月05日 11:10   No.342005
++ 山崎久隆 (大学院生)…117回       
大飯原発3号機のストレステスト
茶番以外のなにものでもなし 新知見も取り入れず

たんぽぽ舎

○ 茶番以外のなにものでもなし

2011年10月27日、ストレステスト第一弾として関西電力大飯原発3号機の「一次評価結果」が公表された。全体で600ページを超える文章量だが、実態は薄っぺらいものでしかない。
詳細な分析は今後行うとして、一通り読んでみて感じたことは「茶番劇」。
特にすごいのは津波についてだ。もともと3.11福島第一原発震災を受けての「緊急対応」として『福島第一発電所の設計津波高さが平成14年評価値(5.5m)に対し、実際は15m(その差9.5m)であったことから、大飯発電所の平成14年の評価値(1.9m)に9.5mを足した11.4mまで、緊急安全対策としてのシール施工を実施済み。』これにどんな根拠があるというのだろうか。
福島第一原発(以下フクイチという)と同じ津波波源域に面しているというのならまだしも、地理的にも津波波源の地帯構造も全く関係のない若狭湾の原発で、フクイチの津波波高の差分データにどんな意味があるというのか。論外を通り越して考え方が壊れている。
さらにフクイチの想定津波高と到達津波遡上高の差分を取り、その値を他の原発に当てはめるということは、相対的に想定津波波高が低い方が解析後の遡上高も低くなるので、低い方が結果的に有利になる(裕度が上がる)という結果になる。
本来とは真逆の結果になるわけでそんな解析は聞いたことがない。もっとも、11.4mに実際には何の意味も無い。最初に津波に襲われることになる海岸の海水ポンプについてモーター下端の高さが4.65mしかないことに、今回の解析でも違いは無い。津波により一番最初に最終ヒートシンク(崩壊熱の捨て場)が、このポンプの損傷で使用不能になることから明らかだからだ。
ところが海水ポンプ使用不能の対策が「電動補助給水ポンプまたはタービン駆動補助給水ポンプにより、2次系からの原子炉冷却を継続する」などと、その前に基準地震動Ssのわずか1.8倍程度で使用不能となってしまう程度の脆弱な冷却システムでの危機回避を想定し、海水ポンプ使用不能でも冷温停止出来ることになっている。こんなことはフクイチでも失敗しているので、震災経験の共有になっていない。そのうえ驚くことに「最終ヒートシンク喪失から燃料の重大な損傷までの事象の過程において、地震、津波等の外部事象による設備への影響は考慮しない。」のだそうだ。何処がストレステストなのか、これでは従来の欠陥安全解析と何ら変わりが無い。
イベントツリー図(73Pの図5-(5)-5 )では、失敗したら炉心損傷に至ると読み取れるので、それを読み取れと言うことらしい。

.. 2011年11月05日 20:19   No.342006
++ 山崎久隆  (幼稚園生)…1回       
○ 繰り返された津波想定の欠陥

「大飯発電所 設計津波高さに関する算定根拠説明資料」によると、津波波源域については、主に原発に影響を与えた津波は日本海中部地震(1983年5月26日秋田県能代市沖!)だという。若狭湾で起きる地震や、太平洋側のプレート境界の動きで起きる海底活断層の地震により誘発される内陸巨大地震による山体崩壊など、若狭湾に十数メートルの津波を引き起こした可能性のある原因は何ら考慮されていない。
歴史地震については、文献調査として『1.羽鳥徳太郎(1984):日本海の歴史津波、2.国立天文台(2009):理科年表、3.宇佐美龍夫(2003):最新版日本被害地震総覧、4.羽鳥徳太郎(2010):歴史津波からみた若狭湾岸の津波の挙動歴史地震第25号、5.渡辺偉夫(1998):日本被害津波総覧、6.気象庁(2007):平成19年8月 地震・火山月報(防災編)、第1号』を引用したとしているが、これらはいずれも一次資料ではなく「若狭湾に津波被害があったとは書かれていない」研究者の調査報告である。著者や機関の解であってイコール歴史的事実ではない。例えば1586年の天正地震時に若狭湾で巨大な津波が発生したこと
を記述した歴史資料として、研究者ならば誰もが知る「京都吉田社の神主、吉田兼見の日記、兼見卿記」や宣教師のルイス・フロイスの書いた「日本史」など多くの一次資料にある若狭湾の津波被害に関する記述は全て「信頼性が無い」として切り捨てているが、その根拠は「内陸地震とされている天正地震が若狭湾で津波を引き起こすとは考えられない」という、仮定に仮定を重ねた「見解」だけなのだ。
内陸地震であっても震源域が海底に及べば地形変状により津波は起きるし、地震に伴う巨大な山体崩壊などが起きればその影響で津波は発生する。そんな例は世界にいくつもあるし、1792年の雲仙普賢岳噴火に伴う山体崩壊(ただし直接の噴火が原因かどうかは分かっていない)で対岸の熊本県でも5mの津波被害を被った「島原大変肥後迷惑」はあまりに有名。地震津波では無い巨大津波の例としては、もう一つ1741年の渡島西部大津波は対岸の渡島大島の噴火に伴う山体崩壊によるものとの調査報告(島村英紀:2005)がある。地震による山体崩壊の例は、1958年7月9日に米国アラスカ州リツヤ湾で発生した遡上高524mが史上最高とされている。M7.7の地震に伴って発生した山体崩壊が原因だが、リアス式海岸の湾は奥行き12キロ、幅3キロであり、湾内の海水が外に逃げられない構造だったことが巨大津波に発展した理由だった。では同様にリアス式海
岸が発達している若狭湾はどうだろうか。小浜市のある小浜湾と大飯原発のある大島半島の間は幅約12キロ奥行き約7キロだ。形状として湾口が狭く湾内の水が逃げにくい構造であることはよく似ている。若狭地域においても過去に山体崩壊があったことが知られている。京都と福井県境の舞鶴市と高浜町の間にある青葉山は、正確な年代は不明ながら大規模山体崩壊を過去に経験している。しかもその崩壊し流出した岩石の「流れ山」の先には現在は高浜原発が建っている。


.. 2011年11月05日 20:28   No.342007
++ 山崎久隆  (幼稚園生)…2回       
○ 新知見も取り入れず

太平洋側で起きる巨大プレート境界地震は、日本列島を横断する方向にも大きな応力場を形成し、日本海側と太平洋側を繋ぐ構造線に大きな活動が起きるひずみを発生させる。その結果、日本では最も多い東西圧縮応力場で起きる逆断層型では無く、地震を起こす可能性はほとんど無いとされてきた、引っ張り応力場で起きる正断層型の大きな地震を起こすことを考慮しなければならないという知見が、今回東日本太平洋沖地震の後に誘発されて起きた、福島県いわき市の井戸沢断層や湯ノ岳断層地震でわかったことだ。ならば、動かないと考えている正断層は、この種の特殊な環境において活動する断層であり、その際に大きな地盤変状が生ずると考えなければならない。これについては敦賀原発ともんじゅの直下にある敦賀断層周辺の破砕帯が、そのような状況下で大きな地震に伴い活動するのではないかと考えられる。大飯原発の付近にもそういう動き方をする断層群があるのではないか、そういう視点で再調査をすべきであろう。
また、このストレステストでは津波そのものの破壊力を事実上何にも考慮していない。建屋を水密構造にしたときに津波の破壊力を考慮したかのような記載になっているが、その具体例はない。

○ 無視される津波の脅威

フクイチと異なり、若狭湾口にある大飯原発は、周辺に大量の危険物貯蔵施設がある。大飯原発にも重油とみられる、大きなタンクが湾口に面して4基ある。これが流されれば原発敷地は大規模火災になる。さらに大量の船舶が航行している若狭湾に十数メートルの津波が襲えば、コントロールを失った数万トン規模のタンカーやフェリーなどの船舶が大飯原発にぶつかってくる事態も考えなければならないだろう。気仙沼や宮古の海がどうなったか、十数メートルの津波に襲われることの真の恐怖はフクイチではなく気仙沼市にある。

○ 無視される警告

地震断層の再調査についても、このストレステストに関しては何一つされていない。
「大飯発電所の基準地震動Ss」の添付 5-(1)-2の図は、2009年に公表された「耐震安全性評価の中間報告書」(追補版)と全く同じだった。
例えば熊川断層は陸域の断層だが、さしたる根拠も無く海側のFo−A、B断層との連動はしないことになっている。全部同時に動けば優にM8クラスになりそうな、大飯原発の目の前の断層だ。熊川断層も、想定M7.4程度の揺れを起こす断層だとされているが、これとFo−A、B断層と連動させないことで、開放基板面の揺れは700ガルに止まっている。これを大きく超えることは想定外なのだ。
これらの断層が連動して大きな地震につながるという警告は、既に東洋大学渡辺満久教授、神戸大学石橋克彦名誉教授から出されている。それは今回も無視された。

.. 2011年11月05日 20:53   No.342008
++ 山崎久隆  (幼稚園生)…3回       
○ 最も脆弱な部分が最も重要な装置

この2009年の基準地震動Ssの評価文書(バックチェック中間報告書)に書かれていた応力と許容値の最小比は「一次冷却管」の1.90だが、今回のストレステストではタービン駆動給水ポンプの「1.81」など、厳しい方向に若干
変化したものがある。このポンプは先の最終ヒートシンク(核燃料崩壊熱の冷却経路)喪失時に唯一のヒートシンク(冷却装置)とされているポンプなので、一番脆弱な部分が一番重要な設備という実態である。他にも1.81またはそれ以下という最低の値になっているものに、ホウ酸ポンプ(原子炉後備停止系統の重要設備)、余熱除去ポ
ンプ(冷温停止に重要な設備)、高圧注入ポンプ(ECCSに重要な設備)、格納容器スプレイポンプ(格納容器保護のための重要ポンプ)などがあり、地震によりこれらが全て使用不能になる危険性がある。これを共通要因事故という。この場合、深層防護が機能して安全側に推移するかどうかが問われることになるのだが、そもそも共通要因事故を想定していないのだからどうしようもない。
1.81以下などというのは、安全余裕はほとんどないから、応力解析条件よりも耐力が落ちる経年劣化や想定の誤りによる応力集中点の変化や地震と同時に発生する落下物の衝突など別の要因の応力が追加で加われば、簡単に超えてしまう。
許容値と解析値が3以下(安全余裕3倍以下)の装置類は全て地震に耐えられないだろうとみるのが妥当な評価だ。

○ 電源喪失の対策も不十分

電源設備対策(全交流電源喪失対策)も、呆れるほど「何もない」。電源車など緊急対策で追加配備した設備をつなぎ込むカ所を新設したという程度で、それが電力供給できるから、緊急時対策用冷却装置の運転時間が延び、安全裕度が20
倍までに高まるとしてるが、そんな単純なわけがない。
地震で所内電源設備が全損し、電源回復が実質的に間に合わなかったフクイチのケースは教訓にすらなっておらず、開放基板面700ガルを超える揺れ、ということは地上ないし電源設備の構造物上では1000ガルを遙かに超える揺れに襲われることで起きるはずの、所内変圧器の開閉器を含む電源系統に損傷無しなどあり得ない。少なくても所内開閉所を含む系統は全部使用不能としなければ、ストレステストの解析にならない。電源車はメルトダウン前にフクイチにも到着していたのに、系統に繋ぎ込むこともできず、使用できなかったという事実すら考慮されていないという信じがたいストーリーには言葉もない。
地震動の解析も、その前提となる想定地震も、津波の想定も全部失格。こんなわかりやすい落第答案を出した関電の姿勢は徹底して批判されるべきだが、そういう視点での報道は今回も見られなかった。

[編集部より]
山崎久隆氏が文中で指ししめしている「大飯原発3号機のストレステスト」の報告書本文、及び添付文書は以下のサイトからPDFファイルでダウンロードできます。

・発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価(一次評価)に係る報告書の提出について(関西電力株式会社大飯発電所3号機)
・担 当:原子力安全・保安院 原子力安全技術基盤課
・公表日:平成23年10月28日(金)

.. 2011年11月05日 21:11   No.342009
++ たんぽぽ舎 (社長)…445回       
東京電力巡り株主代表訴訟へ
歴代の経営陣に対し、合わせて1兆1000億円余りを返還要求

 3月の福島第一原子力発電所の事故で、東京電力が巨額の損失を出したのは、経営陣が安全対策を怠ってきたためだとして、東京電力の株主およそ30人が歴代の経営陣に対し、合わせて1兆1000億円余りを返還するよう求める株主代表訴訟を目指すことになりました。
 提訴を目指しているのは、東京電力の株主およそ30人です。これらの株主は「3月の福島第一原発の事故は東京電力の歴代の経営陣が地震や津波などの安全対策を怠ってきたために起きた」と主張して、過去20年余りの間に役員を務めたおよそ60人を対象に、総額で1兆1000億円余りを会社に返還するよう求めることにしています。1兆1000億円という額は、東京電力がことし8月に明らかにした原発事故による損失の見込み額だということで、会社側が求めに応じない場合、株主代表訴訟を起こすことにしています。株主代表訴訟になれば、1兆円を超える請求額は国内では過去最高になるということです。株主の1人は「経営陣はこれまで、『原発は安全だ』と繰り返してきたが、その結果、取り返しのつかない事故が起きてしまった。株主総会でも原発の危険性に対する指摘を受け止めてこなかったので、司法の場で責任を追及していきたい」と話していました。これについて東京電力は「まだ内容を把握していないので、コメントできない」としています。

.. 2011年11月05日 21:23   No.342010
++ たんぽぽ舎 (社長)…446回       
○マルマガ「地震と原発事故情報」読者の皆さん、とりわけ首都圏在住中の読者のみなさんに強く、強く訴えます。
 来る11月11日に首都東京で予定される「11.11たそがれの経産省キャンドル包囲!「人間の鎖」アクション」に、反・脱原発を希求する全ての読者のみなさんが、全ての力を合わせて集うことを訴えます。

○九州電力は11月1日の未明をもって、地元そして東京・全国の抗議の声を無視抹殺して、復水器の異常により停止中であった玄海4号機の再稼働を強行した。原子力安全・保安院の九電の「事故推定要因と対策は『概ね妥当』」というその一文のみを根拠として。即日行われた九電に対する抗議行動に対しても「保安院が安全と言った」の一点張りで、全く抗議を寄せ付けません。
 そもそも九電は「ヤラセ問題」において第三者委員会が指摘する佐賀県知事の関与を否定した報告書を提出し、それに対し枝野経産相による露骨な不快感の表明と、その報告書の再提出を求められていたその最中にです。
 更に九電同様、「やらせ問題」に揺れる北海道電力も又、「やらせ問題」に対し「問題無し」と開き直りの姿勢を示し、一見すると監督官庁である経産省及び原子力安全・保安院を見下し、自らの保身と利益追求に遮二無二に突き進んでいるかのように見えます。
 又、関西電力は大飯原発3号機のストレステストの報告書を既に経産省及び原子力安全・保安院に提出し、早ければ来年、年明けの再稼働を目指しています。

○それだけではありません。現野田首相は31日ベトナム首相と会談し、原発輸出再開へ向けたゴーサインを出しました。
 野田政権は曲がりなりにも「脱原発の方向性を示唆した前菅政権とは打って変わり、1)停止中原子炉の再稼働、2)原発輸出の再開、3)建設中あるいは計画中の原発の新規増設と、就任早々に国連で行った「原発安全性を世界最高水準へ」と、世論調査によれば何らかの形で、原発依存社会からの脱却を願う7割以上の国民世論をを敵に回して、更なる「原発大国」への道を突き進も
うとしています。
 勿論野田首相とて、国連演説を挟んで行われた約2000名による9・11経産省を取り囲む「人間の鎖」第一波行動、そして6万人の参加をもって開かれた9・19「脱原発5万人集会」、こうした国内原発反対運動の盛り上がりに驚愕し、帰国後は一転、「原発依存からの脱却」の道を歩むかの様なポーズをとり続けました。
しかし、その実態は先にも見たように徹頭徹尾、欺瞞でしかありません。

.. 2011年11月07日 10:54   No.342011
++ たんぽぽ舎 (社長)…447回       
○枝野経産相の強い不快感表明にも関わらず(これ自体、たんなるポーズの可能性もありますが)、各電力会社がそれを公然と足蹴にし再稼働に向けて遮二無二に突き進めるのも、先の野田首相の路線、そしてそれを背後で操る電力資本・プラントメーカー・経産省等の原発利権帝国の強力な後ろ盾があることの証左に他なりません。
 菅前首相が鳴り物入りで、突然と導入された「ストレステスト」、その最初の報告である大飯原発3号機の「ストレステスト」の報告なる物は既に本紙(「地震と事故情報」11月5日付き222号)で、明らかにしたように「茶番以外のなにものものでもな」く、只々、現状を追認したものでしかありません。
 それもその筈、その報告書を精査・検査する処の原子力安全・保安院からして、「ストレステスト」の評価に対して何一つ針も基準も待ちえず、完全に各電力会社が今後報告する各「ストレステスト」の報告書を見てから考えるという、お手盛り状態であることがこの間の対政府交渉によって明らかにされているのです(本紙、10月16日月197号)。
 こうした各電力会社と経産省及び原子力安全・保安院の癒着、あるいは一体となった原発拡大路線によって、先の野田首相の露骨な原発推進路線は可能となっているのです。

○勿論、こうした各電力資本・プラントメーカー・経産省等の原発利権帝国にも弱点がないわけではありません。9・11−9・19に持たれた、ある意味60年安保闘争以来の一大国民運動としての高揚を見せた、日本における反=脱原発、このさらなる拡大は彼らをして震撼たらしめたに違いありません。早くもTPP問題を巡って党内の綻びを見せ始めた野田政権、こうした野田政権に対して9・11直後から開始された若者のハンガーストライキ、そして経産省前のテント広場の闘い、更には10月27日を皮切りに開始された福島の女性を始めとし、そして全国の女性へと受け継がれた経産省前での座り込み闘争を目前にしながらも、9・19集会の盛り上がりを目の当たりにした政府=警察権力は、そうした運動への不当な弾圧が更に火に油を注ぎかねない状況を危惧し、9・11新宿デモへのあの大弾圧(12名の不当逮捕、不起訴)にも関わらず、経産省前の闘いには一指も触れる事が出来ませんでした。

.. 2011年11月07日 10:59   No.342012


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