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玄海原発4号機の運転再開をしてはならない追加の理由 設置許可は無効、やらせ問題も未解決、30キロ圏内の住民の合意をとれ
11月2日に行われた院内集会で採択された要請書にある、玄海原発の「運転再開をしてはならない4つの理由」に付け加えて、さらにいくつかの理由を示しておきます。ただし、これは私の個人的見解ですので念のため。集会参加者で合意しているというわけではありません。
●まず、そもそも論●
玄海原発がどのような理由で止まろうとも、いったん運転を停止した原発が再開するにあたり、まず政府自らが決めたルールを守らねばならない。 3.11原発震災を受け、ありとあらゆる安全規制行政が機能せず、原子炉を溶融させ大量の放射能を発散、拡散させた「原子炉等規制法違反事件」を引き起こした当事者の一人である行政が考えた「茶番に過ぎない」とはいえ、また規制当局が主観的に作ったにすぎなくても、あるいは内容がお手盛りで到底安全に寄与しないとしても、そうであってもストレステストを経なければ再起動などしてはならないはずだ。これは「最後の矜持」というべきものだ。 あれはいい、これはだめ、今回の原発震災を受け手の規制当局の姿勢は、場当たり、無法、いいかげん、住民の神経の逆なで、あらゆるデタラメさが蔓延している。行政の公平性(フェアネス)も、規制当局の規範性(コンプライアンス)も、大きく崩れてしまい、これでは何が正しいか誰にも分からなくなっている。 当事者でさえ。 これでは、いかなる安全行政も成り立たない。 ストレステスト自体が現行の原子力規制行政の法の外にあるので、運用も恣意的にされているとしたら、そんなものに従う者は誰もいない。早晩、電力や産業側が原子力村の「専門家」を動員して巻き返しに掛かるだろうが、その際に玄海原発で行った恣意的運用が、安全側に立とうとする原子力規制当局の意思を破壊する。(もっとも、そんな高尚な者が今の原子力規制当局に居れば、の話だが)
●設置許可は無効●
3.11により失われたものがもう一つある。それは防災対策だ。 原子炉設置許可の段階で行われた地震や津波防災の考え方が、全くダメだったと言うことだ。 ストレステストのテーマにもなっているのだが、福島第一を襲った地震や津波の規模や打撃力の評価が全くなっていなかったことが明らかになった。 これは他の原発であっても全部そうなるだろう。福島だけがダメであとはOKなどということはあり得ない。なぜならば、地震津波対策の基本思想が全部同じだからだ。 ありえるのは「偶然、たまたま」大きな地震を受けたのに揺れが小さかった、津波が低かったという「可能性」だけだ。つまり原発の安全規制そのものがギャンブルと化しているのだ。設置許可の段階までさかのぼり、その妥当性を問い直すことが、廃炉にしないならば絶対に必要なことなのに、運転を続けながら検証するなどと、欠陥風洞試験を行っていたことが分かった旅客機を定期路線で運航しながら強度試験をやり直すようなものだ。もちろん世界中でそんな恐ろしいことが許される国は存在しない。
.. 2011年11月05日 06:45 No.342001
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