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■--時空のゆがみで宇宙を見る重力波
++ タク (社長)…4292回          

時空のゆがみで宇宙を見る重力波
重力波は、大きく報道されている通り、2015年以降のこの分野の進展はただ怒濤という言葉しか思い当たらないといいます。重力とは時空構造のゆがみであった。なにも物質がない真空であっても、そこにわずかな時空のゆがみがあると、それが波となって光速で伝わることがアインシュタイン方程式から示されます。これが重力波です。

ブラックホールや中性子星などの二つの超高密度星が連星を組んでいると、ぐるぐる回る二つの星の重力のために周囲の時空構造がめまぐるしく変わります。これが重力波となって四方八方にエネルギーを持ち去ることになります。 二つの連星はエネルギーを失うと、その距離を縮めていき、やがて合体して一つになります。

その際に最大強度の重力波が放出される事になります。重力波自体は一般相対論の完成直後の1916年にアインシュタイン自身が予言したものです。そして遠方のブラックホールや中性子星の合体からの重力波を地球でとらえようという試みも長年行われてきました。

一辺数キロメートルの距離で人工レーザー光を飛ばしている状態で、そこに重力波がやってくると、時空のゆがみによってわずかにレーザー光が通過する経路の長さが変わります。これを検出しようというものです。

だが、地球に届く重力波によって空間の長さが変わるその割合はわずかに10の2乗分の1ほどで、数キロメートルの光の経路に生じる長さの変化量は原子核の中にある陽子の大きさのさらに1000分の1という小さなものになります。

1990年代、すでに日米欧でレーザー重力波検出器のプロジェクトが進められていたのですが、正直言って重力波が検出できるのは遠い将来の話という印象でした。当時、暗黒物質の正体解明と重力波の検出と、どちらが早く実現するか、という賭けをする科学者たちがいたといいます。多くの科学者は暗黒物質の方に賭けたといいます。

だが、2000年代に入り、特に米国のLIGO実験で急速な感度向上が実現し、ついに2015年9月、30太陽質量ほどの二つのブラックホールの合体による重力波が検出されてしまいました。LIGOが目標到達感度に達したと聞いてからほどなく、あっけないほど早く実現したという印象でした。
.. 2025年12月22日 04:54   No.3394001

++ タク (社長)…4293回       
信念を持って大勢で力を合わせれば、人間に不可能な事などないのだという気持ちにさせてくれるほどの快挙と言えます。そしてこの発見が公表されたのは2016年、アインシュタインが重力波を予言してから丁度100年後というのもなにやら出来すぎた話です。

これによって、相対性理論の正しさが改めて証明されるとともに、ブラックホールが本当に存在するという、これまでで最も強力な証明が得られたことになります。そして2017年の夏には、今度は中性子星同士の合体からの重力波が検出されました。

ブラックホール同士の合体では電磁波でなにか光ることは期待できないが、中性子星同士の合体では一部の物質が外に飛び出し、電磁波でも光ることが期待されていました。そして世界中の天文台や人工衛星が望遠鏡を向けたところ、予想通り、中性子星から飛び出した高密度物質が原子核崩壊の熱で温められて光る現象が可視光で観測されました。

星の内部で安定して起こる核融合反応では、原子核として最も安定した元素である鉄までしか生成されていません。だが自然界には、鉄よりはるかに重い金やウランなどの元素が存在します。これらは爆発現象など、なんらかの不安定で突発的な現象から作られる必要があります。その候補として、超新星や連星中性子星合体が長年議論されてきました。

中性子星合体からの可視光放射は、この説を強く裏付けるものとなりました。この数年の重力波天文学の誕生と進展は、物理学や天文学の歴史の中でも数十年に一度あるかないかという、大変なものです。だが、ここまで素晴らしいと少しぐらいケチをつけたくなる科学者がいます。確かに素晴らしい成果だが、あまりに予想通りすぎて面白くないのです。

一般相対性理論はやはり正しい、アインシュタインはやはり偉大だ、というだけでは新しい知見は得られません。太陽からのニュートリノを測ってみたら予想の半分しかなかった、というような予想外のことが起きてくれた方が、研究者は色めき立つものです。

それはどうしてだろう、と考えるところから次の科学の発展が始まるからです。もちろん、重力波天文学はまだ始まったばかりです。いずれ、そのような予想外の展開、例えば一般相対性理論の予想からのズレが検出されるといった驚きのニュースが聞けることを楽しみにしている科学者がいるのです。

.. 2025年12月22日 05:12   No.3394002
++ 山崎久隆 (社長)…1883回       
米国トランプ政権によるベネズエラ侵攻に反対する
 | 石油利権を狙った武力行使は国家による強盗である
 | 大国による現状変更の試みは世界の平和を破壊する
 | すでに脆弱なベネズエラの経済と国民の生活をさらに悪化させ
 | 人道危機を深刻化させる
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 2025年12月現在、トランプ政権が進めるベネズエラへの軍事・経済的
圧力の強化に対し、国際社会や米国内からは法的な正当性や人道危機を懸
念する批判が強まっています。
 その点について論じます。

1.法的根拠と国際法違反の懸念…海上封鎖とタンカー拿捕

 トランプ政権は2025年12月初旬、ベネズエラを出入港する石油
タンカーの「全面封鎖」を命じ、実際に複数のタンカーを拿捕しました。
これに対し、ベネズエラ政府は「無謀な脅威であり国際法違反である」と
強く非難しています。
 この間、議会の承認なき軍事行動が続いています。
 米国内では、宣戦布告の権限を持つ議会の承認を得ずにさらなる軍事攻
撃の可能性を示唆していることについて、憲法上の疑義が表明されて
います。

2.「麻薬対策」を名目としたベネズエラ政権打倒

 トランプ政権は公然とベネズエラのマドゥーロ政権を転覆しようと行動
しています。その口実としてトランプ政権は、「麻薬密輸対策」を理由に
軍事的圧力を強めていますが、この行動はマドゥーロ政権を転覆させるた
めの「口実」に過ぎません。
 政権は麻薬カルテルを攻撃しているに過ぎないとの主張に基づいて
ボートを撃沈し死者を出している行為に対し、米国内でも一部の議員から
は「戦争犯罪」にあたる可能性も指摘されています。

3.地域情勢の不安定化と泥沼化のリスク

 ブラジルのルラ大統領の顧問などは、ベネズエラへの攻撃が中南米全体
を巻き込む「ベトナム戦争型」の紛争に発展するリスクがあると警告して
います。
 軍事専門家は、米軍が侵攻した場合、ベネズエラ軍がゲリラ戦や破壊工
作による「長期消耗戦」で対応する可能性を指摘しており、地域全体が長
期的な混乱に陥る懸念があります。

.. 2025年12月23日 04:50   No.3394003
++ 山崎久隆 (社長)…1884回       
4.世論と人道への影響

 2025年12月の世論調査では、米国有権者の63%がベネズエラへの軍
事行動に反対しており、支持は25%に留まっています。ニューヨークな
どでは「ベネズエラとの戦争反対」を掲げる抗議デモも行われています。
 経済封鎖や軍事的威嚇が、既に脆弱なベネズエラの経済と国民の生活を
さらに悪化させ、人道危機を深刻化させるとの批判が強くあります。

.. 2025年12月23日 04:57   No.3394004
++ 上岡直見 (社長)…431回       
自民党と統一教会の関係を示す貴重な証言
 | 「秘書や事務員を雇うのは大変だろうけど、統一教会が無給で
 | 提供してくれるから何人でも申請しなさい」…古手の議員
 └──── 上岡直見(環境経済研究所代表)

 朝日新聞に興味深い記事が掲載された。
[石破さんと改革の理想に燃えた時 破れていま猫に重ねる政治の原点]
2025年12月16日
https://www.asahi.com/articles/ASTDD2PG3TDDUPQJ004M.html

 これは元国会議員の佐藤謙一郎氏の回想談である。
 佐藤氏は、1990年に自民党公認で衆議院に当選し、その後「さきがけ」
「無所属」「旧民主党」を経て2007年に引退した。
 いわゆる世襲議員ではあったが、利権とは距離を置き、市民との対話を
重視して、市民の意見を政策に反映させる方法について、私も何度か相談
に乗ってもらった。
 回想談の中で驚くべき証言があった。
 それは自民党時代に派閥の勉強会に参加したとき、古手の議員から「秘
書や事務員を雇うのは大変だろうけど、統一教会が無給で提供してくれる
から何人でも申請しなさい」と言われたという。
 実際のところ議員活動には膨大な事務作業が必要で、秘書や事務員がい
ないと、とても回らないことは事実である。

 おりしも先週、安倍元首相銃撃事件の山上被告の裁判で検察側の求刑が
あったが、事件の背景として自民党と統一教会の関係が改めて注目された
タイミングで、貴重な証言といえる。

.. 2025年12月23日 05:03   No.3394005
++ タク (社長)…4294回       
三大合併症が起こる理由
糖尿病は血糖値が高い状態が続いてしまう病気ですが、その怖さは、多彩な合併症にあります。なお、合併症とは、ある病気に伴って起こる病気のことです。つまりは、糖尿病に伴って起こる、新たな病気のこと。

糖尿病は初期こそほとんど自覚症状はなく、「糖尿病」と診断されても、痛くもかゆくもないものだから、そのまま放置してしまう人が多いのですが、高血糖状態が長く続くと、血管が傷つき、血流が悪化し、さまざまな合併症を起こすようになります。

なかでも、代表的なのが、「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」の三つです。糖尿病に特有の合併症で、三大合併症と呼ばれています。いずれも、長年高血糖状態が続くことで、細い動脈や毛細血管がじわじわとダメージを受け、詰まったり血液が漏れるようになったりした末に起こる病気です。

目の奥にある網膜には、光や色を感じる神経細胞が敷き詰められていて、その神経細胞に酸素と栄養を送るために毛細血管が張り巡らされています。高血糖状態が続くと、まず細い血管からダメージを受けるので、毛細血管が集まっている網膜も、真っ先に影響を受けやすいひとつです。

そうして、網膜に張り巡らされた毛細血管がダメージを受けて詰まったり出血したりして起こるのが糖尿病網膜症です。糖尿病網膜症は、早期にはほとんど自覚症状がありません。気づかないうちに進行していることがあるため、糖尿病の人は眼の状態も定期的に調べることが大切です。

重症化すると、視力が低下したり、飛蚊症といって黒い虫のようなものが動いて見えるようになったり、最悪の場合、失明することもあります。腎臓は、血液をろ過し、必要なものは再び血液として戻し、要らないものは尿として出しています。

ろ過するフィルターの役割を果たしているのが、腎臓の糸球体と呼ばれる部分で、毛細血管が糸玉のように丸まったものです。高血糖状態が続くと、この糸球体にもダメージが生じるので、腎臓のろ過機能が低下してしまいます。そうして、糖尿病腎症を起こすのです。

糖尿病腎症が進むと、本来は体にとって必要なはずのタンパク質が尿に漏れだすようになり、さらに重症化すると、ろ過機能をほとんど果たせなくなり、血液中に老廃物がたまり、尿毒症と呼ばれる症状を引き起こします。

.. 2025年12月24日 05:12   No.3394006
++ タク (社長)…4295回       
糖尿病腎症が進むと、本来は体にとって必要なはずのタンパク質が尿に漏れだすようになり、さらに重症化すると、ろ過機能をほとんど果たせなくなり、血液中に老廃物がたまり、尿毒症と呼ばれる症状を引き起こします。

そして腎臓がほとんど機能を果たせなくなると、人工的に血液をろ過する人工透析が必要になります。もうひとつの糖尿病神経障害は、高血糖状態が続くなかで、体の各部分に張り巡らされた末梢神経に酸素と栄養を届ける血管がダメージを受けたり、神経細胞の中に不必要な物質が溜まったりした結果、末梢神経に障害が起こる病気です。

三大合併症のなかでも最もよく起こる合併症です。糖尿病網膜症や糖尿病腎症は初期にはほとんど自覚症状がありませんが、糖尿病神経障害の場合、初期から手足のしびれという形で自覚症状が現れることが多いので、ほかの二つに比べるとご自身で気づきやすいと言えるでしょう。

ただ、神経障害が進むと、感覚が鈍くなるので、痛みや熱さも感じにくくなり、ケガや火傷をしても気づかずに悪化させてしまい、潰瘍ができたり壊疽(組織が腐ってしまうこと)ができたりして、足の一部を切断せざるを得なくなることもあります。

そのほか、糖尿病は、心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症(足の梗塞のこと)といった動脈硬化をベースとした病気、高脂血症(脂質異常症)、脂肪肝、白内障、感染症、皮膚病(真菌症、潰瘍、水疱症など)、骨減少症、認知症といった病気の発症リスクも増やします。

糖尿病に伴って起こる病気と言えば三大合併症が有名ですが、ありとあらゆる合併症が起こってもおかしくないといいます。現に、多様な病気の発症リスクを引き上げることがさまざまな研究で明らかになっていますし、そもそも糖尿病になるとブドウ糖を正常に使えなくなるわけです。そうすると、各細胞でエネルギーが不足し、良くないことが起こるのは想像に難くありません。

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.. 2025年12月24日 05:20   No.3394007
++ 山崎久隆 (社長)…1889回       
アメリカ・ロシア最後の軍備管理条約「新START」終焉か
 | 核兵器廃絶とは真逆の世界に逆戻り
 | 日本でも東アジアの平和と安定を破壊する発言相次ぐ
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

山崎久隆です。2025年最後のメルマガ投稿です。
「新戦略兵器削減条約(新START)の終焉」をお送りします。

はじめに

 米国とロシアの間で核兵器を制限する唯一の現行の法的枠組みであるこ
の条約は、あとわずか2か月で失効しようとしている。
 ロシア側は制限数値の維持を提案しているものの、その一方で検証措置
の再開・強化を拒否し、条約の対象外とされている新型兵器(原子力推進
ミサイルなど)の開発を進めるなど、不透明な姿勢を示している。
 後半の論文「新STARTの終焉が目前に迫る。誰か大統領に伝えてほ
しい」の筆者は、トランプ大統領が掲げる「非核化」が単なるポピュリズ
ム的スローガンではなく本気であるならば、残されたこの2か月間でロシ
アの提案を逆手に取り、検証措置の導入や新型兵器の制限を条件とした、
より実効性の高い合意へと条約を改善すべきであると主張している。
 現在は、核軍拡競争が再び本格化するか否かの分岐点にあり、その決定
権は今まさにトランプ大統領の手中にあると警鐘を鳴らす内容である。
 一方、日本に目を向けると、世界的に核軍備競争が再び激化しつつある
中で、政府高官(内閣府の首相補佐官)が個人的見解と断りながらも「核
武装に賛成」と公言し、さらにそれに呼応するかのように小野寺五典氏
が、非核三原則の見直しを含む議論を容認する趣旨の発言を行うなど、結
果として核軍拡を正当化しかねない発言が相次いでいる。
 こうした動きは、高市政権が東アジアの平和と安定に対して、むしろそ
れを損なう存在となりつつあることを示すものと言わざるを得ない。東ア
ジアの平和と安定に対して、それをぶち壊す存在であることを示している
のである。
 『ブリティン・オブ・アトミックサイエンティスト』のホームページに
掲載されている論文を訳しましたのでお読みください。

題名 新STARTの終焉が迫る。誰か大統領に伝えてほしい
  2025年12月5日 スティーブン・パイファー著

.. 2025年12月26日 05:37   No.3394008
++ 山崎久隆 (社長)…1890回       
 2010年の新戦略兵器削減条約(新START)は、あと2カ月で静か
に終焉を迎えようとしています。この条約が失効すれば、米国とロシアの
核兵器を制限する最後の協定がなくなることになります。
 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、条約失効後も新START
の制限数値の遵守を延長することを提案していますが、ロシア政府は
ワシントンがこの提案を無視する口実を与えてしまっています。
 ドナルド・トランプ大統領が、彼自身の言葉どおり「非核化」に関心が
あるのならば、プーチン大統領の提案をより良いものにする道を探るべき
です。

1. Common Ground(共通認識)

 新STARTは2011年に発効しました。2018年にその制限数値が完全
に適用された際、米国とロシアは戦略的攻撃兵器を1960年代以降見られ
なかった水準にまで削減しました。2021年の条約失効を目前にして、
ワシントンとモスクワは、条約を2026年2月5日まで延長する規定を行
使することで合意しました。
 今年9月、プーチン大統領は、両国が新STARTの三つの制限数値を
相互に遵守することに合意するよう提案しました。
 その制限内容は、展開済みの戦略弾道ミサイルと核兵器搭載が可能な重
爆撃機を700基/機、展開済みまたは未展開の戦略弾道ミサイル発射装置
と核兵器搭載が可能な重爆撃機を800基/機、展開済みの戦略運搬システ
ムに搭載された核弾頭を1,550発とし、これをさらに1年間、すなわち
2027年2月までとするものです。その後11月には、ロシア外務省高官
が、ロシア政府は自主的にこの制限をさらに長期間延長する用意があるこ
とを示唆しました。

2. 検証の問題

 全体として判断すると、新STARTの制限数値の遵守を延長すること
には価値があります。特に、それによって米露両国の当局者が後継協定を
まとめるための時間を稼げるのであれば、なおさらです。
 しかし、ここ数週間、ロシア当局は、ワシントンにとってこの延長提案
を魅力のないものにするような言動を多く行ってきました。
 これが問題を引き起こします。
 両国はそれぞれ、監視衛星などの自国の技術的な検証手段を用いて、発
射装置、および展開済みのミサイルや爆撃機に関する新STARTの二つ
の制限数値の遵守状況を監視できる可能性が高いです。

.. 2025年12月26日 05:44   No.3394009
++ 山崎久隆 (社長)…1891回       
 しかし、展開済みの戦略核弾頭に関する三つ目の制限を監視すること
は、条約によって提供される情報通報や現地査察なしには困難であること
が明らかになるでしょう。そして、ロシア側はこれらの措置を排除して
います。
 この状況は厄介です。なぜなら、相手側が大陸間弾道ミサイル(ICB
M)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に展開している核弾頭の数に
ついて、不確実性が高まっているからです。米露の戦略弾道ミサイルの大
半は複数個別誘導再突入体(MIRV)を搭載可能であり、弾道ミサイル
の種類にもよりますが、個々のミサイルにはそれぞれ1発から10発の核
弾頭が搭載されて展開されています。
 軍備管理に関して、ワシントンにはロシア政府の言葉を信用しようとい
う機運はほとんどありません。ロシアは、禁止された射程の巡航ミサイル
を試験・展開したことにより、1987年の中距離核戦力(INF)全廃条
約に違反しました。条約に一方的な停止の規定がないため、プーチン大統
領による新START参加の「停止」決定も、実質的には違反と見なされ
るでしょう。今年1月に議会に提出されたアメリカ国務省の報告書は、ロ
シアが展開済みの戦略核弾頭の制限を「超過した可能性がある」との懸念
を表明しました。

3. より多くの兵器(More Weapons)

 10月、プーチン大統領は、ロシアが試験を行った二つの新しい兵器シ
ステム、すなわち原子力推進・核搭載型の巡航ミサイル「ブレヴェスニ
ク」と、原子力推進・核搭載型の水中ドローン「ポセイドン」を取り上げ
て注目させました。
 これら二つのシステムは明白に戦略攻撃兵器ですが、新STARTにお
ける戦略攻撃兵器の定義には含まれていません。条約は、新しい種類の戦
略兵器について、それらをどう取り扱うべきか、あるいは取り扱うかどう
かを議論するためのメカニズムを定めていましたが、ロシアはこのメカニ
ズムを事実上停止させました。
 表面的な構図:プーチン大統領は、既存の米露戦略兵器に対する制限を
維持したい一方で、ロシア政府は新STARTの制限対象外の新しい戦略
兵器を自由に展開し続けています。

.. 2025年12月26日 05:50   No.3394010
++ 山崎久隆 (社長)…1892回       
 新STARTの制限数値を1年間延長すれば、戦略的な問題や、新ST
ARTの後継協定の可能性について議論する余地を生み出すことはできる
かもしれませんが、ロシア政府はそれにあまり関心がないようです。
 2024年1月、セルゲイ・ラブロフ外相は、戦略的安定性に関する対話
の再開を、ウクライナに対する米国の支援を含む、より広範な安全保障問
題と結びつけました。そして、わずか数週間前にも、駐米ロシア大使は、
その対話の再開が「ワシントンの対ロシア政策における肯定的な変化」に
かかっていると改めて表明しました。
 これらの疑問が、プーチン大統領の提案が事実上の沈黙をもって迎えら
れている理由を説明しているのかもしれません。

4. 戦略兵器管理の維持(Saving Strategic Arms Control)

 ここ数カ月、トランプ大統領は非核化に関心を示しており、それはおそ
らく核兵器の制限と削減を意味していると思われます。7月、彼は新ST
ARTを失効させたくない、と述べました。
 しかし、プーチン大統領が新STARTの延長について言及した際、
トランプ大統領は13日後に記者に尋ねられるまで何ら反応しませんでし
た。彼の即座の反応「私には良いアイデアのように聞こえる」を聞くと、
トランプ大統領がそれ以前にその提案について聞いたことがあったのかど
うか、疑問に思わざるを得ません。
 不可解なことに、11月初旬、トランプ大統領はロシアと中国と協力し
て非核化に取り組んでいることを示唆しましたが、彼は詳細を一切示さ
ず、また両国ともトランプ大統領の主張を確認しませんでした。ロシア政
府は、プーチン大統領の提案に対して、公式な回答を全く受け取っていな
いと主張しています。

 トランプ大統領が非核化について真剣であるならば、彼はプーチン大統
領の提案をより良いものにする道を探るべきです。大統領は、米国とロシ
アが新STARTの三つ全ての制限数値を遵守しているという信頼を築く
ために、何らかの検証措置に合意することを提案できます。
 トランプ大統領はまた、制限数値の延長に関する自身の合意を、ブレ
ヴェスニクやポセイドンなどの新しい核兵器の制限に関する協議を開始す
るというロシア側の合意と結びつけることもできるでしょう。

.. 2025年12月26日 05:58   No.3394011
++ 山崎久隆 (社長)…1893回       
 これらのアイデアは、ロシアの提案をより良いものにするでしょう。こ
れらは、両国が新STARTの制限数値を遵守していることへの信頼を高
めることができます。
 おそらくさらに重要なこととして、これらは、すでに勢いを増している
核軍拡競争を抑制し、戦略兵器管理からさらに遠ざかることを防ぐための
将来の措置について、米露当局が議論する「場」を確立することができる
でしょう。
 決定権はトランプ大統領にあります。彼は、将来の核兵器制限について
何らかの可能性があるかどうかを探りたいのでしょうか?それとも、彼の
非核化への言及は、真剣に取り組む具体的な計画や意図もなく単に口にし
た、数あるアイデアの一つに過ぎなかったのでしょうか? 彼には決断す
るための2カ月が残されています。

※専門用語解説(論文にはありません。山崎が作成したものです)

◎新戦略兵器削減条約(New START)
 2010年に米国とロシアが署名し、2011年に発効した、戦略核兵器の配
備数に上限を設ける二国間軍縮条約。配備核弾頭数や大陸間弾道ミサイ
ル、潜水艦発射弾道ミサイル、重爆撃機といった運搬手段の数を制限す
る内容を含む。2021年に一度限りの5年間延長が行われ、2026年2月5
日に失効する予定である。

◎戦略的攻撃兵器 Strategic Offensive Arms
 大陸間を攻撃できる能力を持つ核兵器システム。通常、ICBM(大
陸間弾道ミサイル)、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)、および長距離
の核搭載可能な重爆撃機が含まれます

◎制限数値 Numerical Limits
 新START条約が規定する、配備可能な戦略攻撃兵器および核弾頭の
具体的な上限数(例:展開済みの核弾頭1,550発、展開済みの運搬手段
700基/機など)

◎複数個別誘導再突入体
 (MIRV:Multiple Independently Targetable Re-entry Vehicle)
 一つの弾道ミサイルに複数の再突入体を搭載し、ブースト段分離後、そ
れぞれが異なる目標に向けて個別に投下される。搭載数はミサイルの性能
や設計により異なり、一般に数個から10個前後とされる。

.. 2025年12月26日 06:04   No.3394012
++ 山崎久隆 (社長)…1894回       
◎展開済み/未展開(Deployed / Non-deployed)
 展開済み(Deployed)とは、軍縮条約上、運用部隊に配備されていると
みなされる状態を指し、具体的にはサイロに装填されたICBM、原子力
潜水艦に搭載されたSLBM、ならびに核兵器搭載能力を有する重爆撃機
をいう。展開済みであることは、即時発射可能であることを必ずしも意味
しない。
 未展開(Non-deployed)とは、これらの配備条件に該当しない状態を指
し、整備・改修・訓練・保管中でサイロや潜水艦に搭載されていないミサ
イル、ならびに運搬手段に搭載されていない核弾頭などが含まれる。

◎中距離核戦力全廃条約
   (INF条約:Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty)
 1987年に米国とソ連(当時)が締結した、射程500kmから5,500
kmの地上発射型弾道ミサイルおよび巡航ミサイルの開発・配備・保有を
禁止し、既存兵器の全廃を定めた軍縮条約。米国はロシアによる条約違反
を理由に2019年に条約から脱退し、これにより条約は失効した。

◎ブレヴェスニク(Burevestnik)
 ロシアが開発を進めている原子力推進・核弾頭搭載型の地上発射巡航
ミサイル。
ロシア側は事実上無制限に近い射程を持つと主張しているが、その実用性
や配備状況は確認されていない。地上発射型巡航ミサイルであるため、新
START条約の制限対象外とされており、条約枠組みでは十分に規制さ
れない新型兵器の一つである。

◎ポセイドン(Poseidon)
 ロシアが開発を進めている原子力推進・核弾頭搭載型の無人水中航走体
(大型魚雷)。長距離を自律航行し、沿岸地域や港湾を攻撃対象とするこ
とが想定されており、大規模な破壊や放射性物質による汚染を引き起こす
可能性があると専門家から指摘されている。弾道ミサイルや爆撃機には該
当しないため、新START条約の制限対象外となっている。

◎非核化(Denuclearization)
 一般的に、特定の国または地域から核兵器を完全に撤去・放棄し、核兵
器を保有しない状態とすること。国際的には、朝鮮半島や南アフリカの事
例のように、地域または国家単位での核兵器排除を指す用語として用いら
れることが多い。

.. 2025年12月26日 06:10   No.3394013


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