|
|
不謹慎な表現ですが、医療の進歩によって人体が長持ちするようになったおかげで、相対的にガンで死亡する割合が増えたのです。昔はなぜガンで死ぬ人が少なかったのか?という質問の答えは、がんになる前に他の病気で死んでいたからです。
また、癌による死亡率が年々増えることに対し、がん治療は全く進歩していないといった指摘が見られますが、これは誤りでしょう。高齢化によって高齢者の割合が増えれば、必然的にがんで死ぬ人の数は増えます。大学生一万人と、高齢者施設の入所者一万人の間でがん死亡者の割合を比較すると、後者のほうが大きくなるのは当たり前でしょう。
よって、がん治療が進歩したかどうかを知りたければ、年齢構成が等しくなるように調整して比較しなければならないのです。この際に用いるのが「年齢調整死亡率」です。年齢調整死亡率の推移を見れば、癌による死亡率は年々減少していることが容易にわかります。
実際、がん治療は近年驚くほど進歩しました。新たな抗がん剤が次々に生まれ、手術の質が向上し、放射線治療や免疫療法など、使える武器がますます増えてきたからです。さて、がんを除いて、常に死因の上位を占めているのが心疾患と脳血管疾患(脳卒中)です。
これらで亡くなる人の大部分は、生活習慣病が背景にあります。生活習慣病とは、高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い病気)など、生活習慣と関連して発症する病気のことを指します。かつて生活習慣病は、「成人病」と呼ばれていました。歳をとればやむを得ず現れる、防ぎようのない変化だと考えられていたためです。
しかし、食習慣や運動習慣の改善、肥満の解消、禁煙などによる病気の予防を重視する観点から、1996年頃に「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。生活習慣病に共通するのは、自覚症状がなく、気づかないうちにゆっくりと体を蝕んでいくという性質です。高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などは動脈硬化を加速させます。
これが心臓や脳の血管にダメージを与え、心筋梗塞や脳卒中といった致命的な病気を引き起こすのです。もちろん、これら以外にも、肝臓や腎臓、肺など、生活習慣病によって蝕まれる臓器は多くあります。長年のダメージが体に蓄積し、数年、数十年という経過の中で重い病気を発症するのです。
.. 2025年12月18日 07:46 No.3390001
|