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2026年3月にJR東日本が予定している運賃改定は、多くの企業にとって通勤手当業務へ大きな影響を及ぼすことでしょう。従業員数の多い企業では、事務処理の遅れや誤支給などが起こる恐れもあります。
JR東日本が運賃の改定を実施する背景には、社会環境の大きな変化があると考えられます。コロナ禍によるテレワークやズームによる会議の普及などで鉄道利用者は減少したことや、エネルギー価格の上昇により運営コストの増大でしょう。
それに加えて、人口の減少に伴い人材が確保できないのも要因です。従業員の待遇改善に加え、安全対策やサービス品質の向上、老朽化している設備の更新、災害対策やカーボンニュートラルへの投資など、社会的な責任を果たすための費用も避けられません。
こうした事情を踏まえて、JR東日本は、鉄道事業を持続可能にするために運賃改定を決断しました。通勤定期の改定率は12.0%と公表されています。普通運賃の7.8%、通学定期の4.9%と比較して大きな上昇幅となっています。
山手線内は、競合路線があることで特定区分として料金が安価に設定されていましたが、運賃改定による通勤手当変更業務の影響は非常に大きいです。改定に伴う処理は、対象となる従業員の特定から通勤経路・改定後の運賃確認まで、多くの作業を要します。
運賃改定に伴い通勤手当の金額を変更する場合、多くの企業では従業員本人が改定後の運賃を申請する方式を採用しているでしょう。基本的な流れは、従業員が現行の経路をもとに、新しい運賃を確認し申請します。
通勤手当の支給方法は、従業員の勤務形態によって異なります。正社員など月20日前後出勤する従業員は、長期的な勤務を前提として定期代をまとめて購入していることでしょう。だが、申請するときには1か月分の定期を購入していただくことになります。
一方、パート・アルバイトなど勤務日数が限られている従業員には、往復日額に実際の出勤日数を掛けて月ごとに後払いで精算する方法が一般的です。定期代を支給するよりも合理的となる場合が多いためです。このように、運賃改定後の通勤手当は勤務形態や給与規定に応じて処理方法が異なります。
.. 2025年12月10日 05:08 No.3386001
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