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■--廃原発事始め
++ 藤岡彰弘 (中学生)…38回          

.試論「廃原発事始め」第15回
 | 電気と電気事業に関わる事件・事故に対して
 | タテ・ヨコ・ナナメに「眼」を動かして廃原発への手がかりを探す
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers 能登・富山)

【2】電気ハ誰ノモノデスカ? …
電気に関わる事件史の中に、廃原発への手がかりを探す

はじめに
「エネルギーの市民自治はいかに可能か?」と大上段に構える前に、
タテ・ヨコ・ナナメに「眼」をうごかしてみよう

 ずいぶん間が空きましたが、再び連載を始めさせていただきます。
◎ 前回までは、原発を推進する側が、なぜ原発に固執するのか、固執で
きるのか?という問いに対する私なりの考えを書いてみました。
 そのなかで私は、大量生産、大量消費、大量流通、大量廃棄の社会・経
済構造こそが問題の根源であること。そして戦争がその構造を象徴し、日
本は「日米核同盟」という枠の中で、「潜在的核保有大国」に成り上がろ
うとして、再び戦争を招き寄せようとしていること。
 その現状に対して「廃軍!廃核!廃原発!」と高く声を挙げようと書き
ました。

◎ もちろん、そう書いてみたところで何も変わりはしません。
 ではどうするのか?
 「エネルギーの市民自治を目指すのだ!」と突っ張ってみても中身がな
くては意味がありません。
 「市民」とは誰のことなのか?「自治」とはどういうことか?というこ
とを、少し頭を柔らかくしていろいろな方向から考えてみたいと思います。

◎ そのための手がかりになりそうなものをいくつか取りだしてみ
ました。
 原発とは直接関係のないものの方が多いのですが、最後までお付き合い
いただければ幸いです。
 そしてこの【2】の章の後、これまで私なりに考えてきた「廃原発」社
会へのとば口について、【3】の章として書き進めていきたいと思います。
 ところで、この【2】の章の「電気ハ誰ノモノデスカ?」というタイト
ルは、電気事業が始まってからの様々な事件を紹介した田中聡さんの著書
『電気は誰のものか 電気の事件史』(2015年晶文社発行)からとらせて
いただきました。「何だ、そのまんまじゃないか」と言われてもしかたな
いですが、ただなぜ私がタイトルにカタカナを使ったのかを、この後を読
み進めていくなかでわかっていっていただけたらと思っています。
.. 2025年11月29日 06:17   No.3376001

++ 藤岡彰弘 (中学生)…39回       
◎ 電気と、電気事業に関わる事件(事故も含めて)は毎日のように、ど
こかで起き続けています。
 全部に目配りすることなどとてもできませんが、私なりに精一杯この
「眼」を、タテ・ヨコ・ナナメに動かして、考えを進めていきたいと思い
ます。
 読後、感想や批判はもちろん、こんな事件もあった、こんな見方もあ
る、といったご指摘をいただけたら本当に幸いです。 (第16回に続く)

.. 2025年11月29日 06:24   No.3376002
++ 藤岡彰弘 (中学生)…40回       
試論「廃原発事始め」第16回
 | 「電気争議」(1928年富山県)<事件の概略と顛末 その1>
 | 富山電気と電気料金値下期成同盟連合会の交渉
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers 能登・富山)

【2】電気ハ誰ノモノデスカ? …
   電気に関わる事件史の中に、廃原発への手がかりを探す

イ.「電気争議」(1928年日本国富山県)<事件の概略と顛末 その1>
   田中 聡 著『電気は誰のものか−電気の事件史』から引用
(その2、3、4も)

◎ 三日市町(現、黒部市)から始まった
 「電気料金値下期成同盟会」結成の動き

 「富山県は水力が豊富で発電コストは低いはずなのに、なぜ電気料金が
こんなに高いのか。
 しかも金融不況でどこも苦しいときに、富山電気(北陸電力の前身)は
株主に高配当を行っているではないか、おかしいぞ!」という富山県東部
の三日市町住民からの呼びかけに、次々と値下げ要求に賛同する声が上が
り、三日市町に滑川町(現、滑川市)、東水橋町、西水橋町、東岩瀬町
(いずれも現在は富山市)が加わり、5つの電気料金値下期成同盟会で
連合会を結成したのです。

◎ 1927年12月には、連合会と富山電気との交渉が始まります。
 米騒動から10年、運動が盛り上がった地域も、米騒動に重なる富山湾
沿いの諸町でした。
 ただ米騒動とは異なり、電気争議の場合は、町内ごとに期成同盟として
組織され(滑川町には16の同盟があった)、全体を統括する連合会は、石
川県小松町はじめ全国各地の値下げ運動とも提携、連絡を取り合い、やが
てその本部を三日市町から滑川町へと移しました。
 こうして富山電気を相手に、電気料金値下期成同盟連合会の交渉が
始まっていきました。

.. 2025年12月02日 06:18   No.3376003
++ 藤岡彰弘 (中学生)…41回       
◎ 富山電気は値下げ要求を一蹴。批判が一気に高まる中、富山電気は期
成同盟に対し、「同盟加入町内には電柱からの配線を切断するぞ」と脅し
をかけた。
 富山電気(富電)は、この地域一帯の供給を独占しているおごりも
あったのか、連合会側の3割5分の値下げ案提示を一蹴、「当社の電気料
金は、他の電力会社よりもむしろ安い方だ」などと居直ったのです。
 その主張は、いわく「富電より安いところは、都市部の配線が集中して
いるところか、公営電気ぐらいしかない。わが社は、30年にわたって艱
難辛苦して発・給・配電事業を行い、地域の発展に寄与してきたのだか
ら、批判されるいわれはない」などと、かなり高圧的なもの。この主張を
チラシにして全契約家庭に配布したのです。

◎ これに対して連合会側は、他社と比較して妥当なものとした3割5分
という数字を、さらに精緻化する資料を集めるため、何人もが必死で徹夜
までして裏付け作業を進めます。
 その一方で法律的な戦術指導を、外部の専門家に仰ぐことにしたのです。
選ばれたのが当時、全国の人々から厚い信頼を寄せられていた布施辰治弁
護士でした。

◎ 連合会は、布施さんとその仲間の弁護士たちの協力を得て、法廷闘争
に入っていく準備と、直接逓信大臣に提出する陳情書を作成します。
 富山県下の値下げ要求の声は、富電の居直りに反発して高まり続け、19
28年3月には、連合会への参加は県内16もの町村に及び、料金不払いも
急増していきました。
 ここに至って、ようやく富山新報(北日本新聞の前身)などのマスコミ
も、連合会側の動きを大きく報じ始めます。
 この事態に焦った富電は、不払いを続ける町内に対して、電柱から各家
庭への配線を切断し、断線を強行すると通告し始めたのです。
                          (第17回に続く)

.. 2025年12月02日 06:24   No.3376004
++ 山崎久隆 (社長)…1872回       
2025年12月1日現在の原発稼働状況
 | 稼働中原発は12基…女川2、美浜3、大飯3、4、高浜1、2、
 | 3、4、島根2、玄海3、4、川内2(女川は東北電力、美浜、大飯、
 | 高浜は関西電力、島根は中国電力、玄海、川内は九州電力)
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

電力会社 号 機 状 態 運転開始日 停止日 出力(万kW)
東北電力 女川2 運転中 2025.08.30  82.5
関西電力 美浜3 運転中 2025.05.21    82.6
     大飯3 運転中 2025.08.15 118
     大飯4 運転中 2024.12.14 118
     高浜1 運転中 2025.11.30 82.6
     高浜2 運転中 2025.02.10  82.6
     高浜3 運転中 2025.02.22       87
     高浜4 運転中 2025.10.16 87
中国電力 島根2 運転中 2024.12.07 82
四国電力 伊方3 定検中  2025.10.11 89
九州電力 玄海3 運転中 2025.06.15  118
     玄海4 運転中 2025.10.20 118
     川内1 定検中  2024.10.16 89
     川内2 運転中 2024.09.14  89
合 計  14基中 運転中12基 停止中2基  1147.3/1325.3

*高浜1は11月30日に原子炉起動。
*玄海4は、主蒸気隔離弁に漏えいがあったことから当該弁を取り替え
 同種弁は洗浄し10月20日再稼働。
*高浜4はSG管4本を施栓して10月16日再稼働した。
 次回でSG交換の予定。
*川内1は10月16日から定検入り。
*伊方3は10月11日から定検入り。
 2024年11月で運転開始から50年を超えている老朽炉。
 「長期施設管理計画」に基づき配管溶

.. 2025年12月02日 06:35   No.3376005
++ 今井孝司 (部長)…191回       
柏崎刈羽原発再稼働・花角新潟県知事・議会で信を問うと表明
 | 「来年の知事選で信を問う」から逃げ
 | 「不信任に出席議員の4分の3以上
 | 必要な県議会」で信を問うに:これは「二元代表制の否定」だ
 └──── 今井孝司(地震がよくわかる会)

 花角英世新潟県知事が11月21日に「柏崎刈羽原発の再稼働について」
というテーマで臨時記者会見を開きました。当日の内容を質疑応答
込みでまとめたものを当会HP( こちら )に
アップしました。
 HP特集コーナーの「柏崎再稼働 花角知事 記者会見」のアイコン
クリック、もしくは以下のURLから読むことができます。
こちら
 知事の記者会見の映像を見た個人的な印象ですが、知事は新潟県民
の命と安全を第一義的に考えなければいけない立場なのに、「国と
東電の方を向いている」としか思えない印象を受けました。
 質疑応答は何故県議会で信を問うのか、来年の選挙ではだめなのかと
いうが多かったように思います。「二元代表制の否定」ではないかとい
う問いもありましたが、知事の返答は曖昧なものでした。
 以下に質疑応答の重要箇所を抜粋して紹介します。
 参考までに質疑応答の先頭ヶ所のURLを以下に示します。
こちら

Q05:新潟日報
 信を問う方法として県議会ということなのですけれども、例えば来年、
知事は任期満了を迎えられて、知事選が予定されています。その知事選
に花角知事が3選目の出馬をされるのであれば、知事選での判断という
ものも必然的にくるのかと思いますが…。

.. 2025年12月07日 08:18   No.3376006
++ 今井孝司 (部長)…192回       
A:知事
 それはそれであり得るでしょうね。ただ、それについてもいろいろな
批判があって、この問題に対する、原子力発電所に特化した判断になら
ないと仰る方も大勢います。私はそれも含めて信任、不信任ということ
はあり得るとは思うのですけれども、ただ、長く待てないと思って
いまして、エネルギー情勢等を考えますと、国の方も理解要請を一年
半前にいただいている状況の中で、そろそろ結論を出さなければいけ
ないという中で、県議会に信任、不信任をお諮りする方向が適切だと
判断しました。

Q08:読売新聞
 それは、7項目全てについて確約がいただけなければ了解しないと
いうことですか。
A:知事
 全てについてと言っている意味が分かりませんけれども、ここに
書いてある思いをきちんと受け止めていただきたいということです。
一字一句文言がどうこうというところまでは、それはこれからだと
思いますけれども、趣旨は十分理解していただいたうえで、この方向で
やりますということを国に確約していただきたいということです。
それが結論、前提です。

Q22:毎日新聞
 これも県議会の中からですけれども、そうした知事の今回の立場が
二元代表を否定しているのではないかという声があるのですけれども。
A:知事
 全くそのような意識はないのですけれども。少しそのロジックが
分かりません。

Q28:新潟日報
 現状で安全対策や防災対策への周知がまだ進んでない部分もあると
いうことですけれども、もう少しそうした周知が進んでから知事の判断
をしようなど、そういった考えはなかったのでしょうか。これからも
説明はあると思うのですけれども。
A:知事
 それは際限がないところではないかと思います。

Q45:横田一(フリーランス)
 地元同意について、県議会に諮って決めるのは、うそつき知事の変節
と言われても仕方がないのではないですか。県議会の不信任可決は4分
の3必要ではないですか。知事選の5割よりはるかにハードルを上げた
もので決めるというのは、せこすぎるのではないですか。
A:知事
 そういった見方をされるとは思いませんでしたけれども、先ほど申し
あげたように、今の制度上、私の職務を、信任、不信任を決められるの
は県議会であります。
Q46:横田一(フリーランス)

.. 2025年12月07日 08:30   No.3376007
++ 今井孝司 (部長)…193回       
 バスの台数になっていますけれども、なぜバスの運転手になって
いないのですか。泉田路線引き継ぐと言ったのに、これも嘘ついている
ではないですか。泉田さんはバスの運転手を確保するのが難しいと、
危険なところに行くというサインする人が揃っていないと絵に描いた
餅になると言っていたのに、なぜバスの台数にすり替えているのです
か。バスの台数が揃っても、運転手がいないと避難計画に実効性が
ないではないですか。なぜそのようなせこいことばかりやるのですか。
なぜ台数になっているのですか。運転手になっていないではないですか。
A:知事
 バス協会とは、断続的にコミュニケーションを図っていますので。
Q:横田一(フリーランス)
 運転手となぜ書かないのですか。泉田さんはそこを問題にしていた
わけではないですか。全然引き継いでいないではないですか。原子力
ムラの軍門に下ったのですか。
A:知事
 ご質問ではないので、終わりにしたいと思います。

.. 2025年12月07日 08:36   No.3376008
++ 藤岡彰弘 (中学生)…46回       
試論「廃原発事始め」 第19回
 | 「電気争議」(1928年富山県)<その4 争議のもたらしたこと>
 | 100年前の運動であるにも関わらず、先進性すら感じられます
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers 能登・富山)

【2】電気ハ誰ノモノデスカ? ―電気に関わる事件史の中に、
  廃原発への手がかりを探す

 イ.「電気争議」(1928年 日本国富山県) 
      <その4 争議のもたらしたこと>
田中 聡 著『電気は誰のものか−電気の事件史』から引用

◎町営電気計画はどうなったのか?滑川町民にもたらされた結末とは
 要求目標を町営電力だけに絞った滑川町民は、富山電気側と配電設備
を買い取る交渉を続けました。ところが、交渉が長引く中、11月28日
に富山県議会において電気県営調査会の設置が唐突に可決されるのです。
これまで県営電気事業は発送電のみを行い、配電(小売り)は行わず、
富山電気(この頃小松電気を併合して日本海電気と改称)などに卸売り
をしていました。それを急に、収益の立て直しのためか、電気争議を
通して考えを変えたのか、県内すべての電気会社を買い取り、県営電気
が配電事業を含めすべてを統括することにして、そのための調査を始め
るというのです。日本海電気(富山電気)は滑川町との交渉どころでは
なくなりました。交渉は中断です。町営化計画は宙に浮いたまま時が
流れていきました。
 1931年に満州事変、そして1937年に日中戦争がはじまると、国家
総動員体制へ向かって電気事業も日本発送電という国策会社だけに
すべて統合されていってしまいます。県営化も町営化もみな立ち消え
となってしまいました。こうして富山県における電気争議は「尻切れ
とんぼ」のまま、その幕を閉じたのです。

.. 2025年12月07日 08:43   No.3376009
++ 藤岡彰弘 (中学生)…47回       
◎電気争議が残していったことはなんだったのか
 富山県内における電気争議は、日本各地での電気料金値下げ運動や、
町村営電気事業を立ち上げ、勇気づけていく大きなきっかけとなり
ました。1928年だけで全国で162件もの料金値下げ要求運動が起き、
1930年ごろが町村営電気事業立ち上げのピークとなったのです。1928
年という社会運動への弾圧がどんどん強まっていくその時期に、半年
以上も旺盛に「声」を挙げ続けたことは、まさに画期的なことだった
と思います。
 一方で、一部マスコミによる「争議ブローカー」呼ばわりと、官憲
による執拗で陰湿な住民間の分断工作は、「越中売薬の本場」でもある
一帯の人々に重い沈黙を強い続けました。そのためもあってか、富山
県内においても、この事件を知る人はごく少数となってしまっています。
だから、どうしても私はこの「電気争議」のことを、「事件史」のなかで
最初に紹介したかったのです。100年前の運動であるにも関わらず、
今、私たちが直面する状況との共通性ばかりか、先進性すら感じられ
ます、他の町が点灯に応じていった後も、滑川町民は、お盆時期だから
と、提灯や行燈を押し並べて「消灯祭」を楽しんだということです。
こういった「遊び心」を持ち続けた、その「たくましさ」をこそ尊び
たいと思います。

 なお、この電気(電灯)争議についての私の文章は、1から10まで
田中聡さんの著書『電気は誰のものか 電気の事件史』(晶文社)を
参考にさせていただきました。よろしかったら、ぜひこの本を直接
お読みください。電気争議以外にも様々な興味深い事件が紹介され
ています。
 
 次回からは、「電気争議のAlongsideHistory(併行する歴史語り)」を掲載します。

.. 2025年12月07日 08:48   No.3376010


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