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農じまいから亡国へ | 2025年首長9条の会総会へのメッセージ └────先崎千尋(まっさきちひろ)(元茨城県瓜連町長・百姓) ◎ 私はこの春、東京で開かれた百姓一揆の3,200人の隊列に加わった。 地元からも2人がトラクターに乗ってデモ行進をした。 この百姓一揆を企てた山形県の米農家菅野芳秀さんは集会で、村では 「農じまい」が進行していると語った。 その話を聞きながら「うちの方でも同じだ」と、周りを振り返ってみた。
◎ 私が住む所は茨城県北。関東平野が終わり、奥久慈の山なみから 福島への阿武隈山系が始まる接点にある。 我が家の畑は平野部だが、田んぼは谷津田だ。水は小川から引いて いる。クマはまだ出ないけれど、イノシシがしばらく前からのさばって いて、水稲やサツマイモなどを荒らしている。
集落(小字)は28戸あり、3戸は空き家。かつてはすべて農業を 営んでいたが、先の農業センサスでは調査の対象はわずか7戸だと、 調査員は教えてくれた。 農に携わっていて一番若い人でも間もなく70歳になる。 10年後がどうなるか、目に見えている。耕作放棄地が増えている。 谷津田は3年耕作しないと木が生えてくる。イノシシがさらに跋扈 (ばっこ)する。縄文時代に逆戻りだ。
◎ 旧瓜連町は、農家が約600戸、農地が600ヘクタール、ごく平凡 な農村だった。大字は6つある。今見渡すと、50代以下で水田を 大規模にやっているのは全体で5人もいない。 「米価を下げるには、大規模農家に土地を集約すればいいのだ」と、 国も学者もマスコミも言っている。だけれども、ここでは受け手が いないのだ。
◎ 「令和の米騒動」とは、誰が名付けたのだろうか。 どこで騒動が起きたのだろうか。 それどころか、5キログラム2000円の備蓄米を買うために朝早く から行列し、買えた人は喜び、買えなかった人はがっかりして次を待つ。 騒動どころか、誰も怒らない。 民衆の味方であるはずの労働組合も立ち上がらない。皆おとなしく している。 つくづく、この国と国民は不思議、おめでたいなと思う。
.. 2025年11月30日 07:38 No.3374007
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