返信


■--アインシュタインが考えたこと
++ タク (社長)…4221回          


物理学の基盤が大幅に修正されるのは、まったく新しいアイデアが出現したときというのが定番だといいますが、宇宙定数というアイデアは少しも新しくなかったのです。そもそもはアインシュタイン考え出したものは、物理学者が認めるのは違っていたといいます。

アインシュタインは優れたアイデアをたくさんもっていて、宇宙の進化を支配する、彼の重力方程式にぴったりと収まりました。だがそれは、まったくの誤解に基づいており、そもそも書き加えられるべきではなかったというのです。

アインシュタインに悪気はありませんでした。宇宙定数を加えたのは、宇宙が悲劇的な収縮を起こさないようにするためでした。もう少し正確にいえば、「とっくに収縮していなければならなかった」ということから逃れるためだといいます。

重力に関するすべてについての専門家だった彼には、当時入手できたあらゆるデータが、重力はとうの昔に宇宙を破壊していたはずだと示していることがわかったのです。それは1917年、ビッグバン理論が広く受け入れられるより半世紀も前のことで、「宇宙は定常的で変化しない」という考え方がまだ一般的でした。

恒星は生まれては死に、物質は少しずつ組み合わせを変えるだろうが、宇宙はつねに宇宙だった。他の出来事がいろいろと起こる「背景」にすぎなかったのだ。そのような状況だったので、夜空に恒星が輝き、どう見ても静止しているのを目にしたとき、アインシュタインは宇宙が大問題を抱えていることに気づいたのでした。

これら恒星の一つひとつが、他のすべての恒星を重力で引き寄せており、すべての恒星がゆっくりと近づきつつあるに違いないと、彼は思いいたったのです。他の恒星たちが途方もなく遠くにあるとしても、気休めにもならないでしょう。

重力は無限遠まで働き、純粋な引力なのだから(当時は、銀河系以外の銀河の存在が知られていなかったことは注意しておかなければならない。そうでなければ、彼はこの議論を恒星ではなく銀河を対象に行っただろう。銀河でも問題は同じである)。
.. 2025年10月23日 08:01   No.3353001

++ タク (社長)…4222回       
変化しない宇宙の中では、何かの引力を感じないようにしたくても、いくら離れても、まったく感じなくなることはありえない。そしてその引力によって、やがて引き寄せられてしまうだろう。アインシュタイン自身の計算は、きわめて重い物体が含まれる宇宙は、すべて収縮してしまっているはずだと示していたのです。

宇宙の存在そのものが矛盾していたのです。これはじつに具合が悪いのです。幸い、一般相対性理論には、宇宙救済のための微調整を加える余地があることに彼は気づきました。宇宙に存在する何物も、恒星の重力に抗うことはできないが、宇宙そのものにはきっとそれができるだろう、というわけです。

アインシュタインは、宇宙の中に存在するすべてのものがもつ重力に応じて、空間の形状がいかに変化するかを記述する素晴らしい方程式をすでに導出していました。重力のせいで宇宙が即座に収縮してしまわないようにするには、この方程式は不完全だと断じ、重力を及ぼし合う物体のあいだの空間を引き伸ばすような項を付け足して、重力が引き起こす収縮を完全に相殺すればいいだけでした。

追加されたその項は、宇宙の新しい要素を表したものではなく、空間そのものの性質を表していました。「空間のすべての小片が反発エネルギーをもっている」という性質です。広大な空間があり、物質が少ししかないとき(恒星間、あるいは銀河間の宇宙空間のように)、この反発エネルギーが重力に対抗することができるのでした。

うまくいった! 方程式は救われた。他の恒星や銀河が存在しても、全体が瞬時に収縮したりしない定常的な宇宙がうまく記述できたのでした。アインシュタインは、またもや見事にやり遂げたということです。

本家ホームページへ
https://taku-nakajo.wixsite.com/taku
石原莞爾平和思想研究会 https://www.ishiwara-kanji.com/
https://www.youtube.com/@taku-nakajo
ユーチューブ@taku-nakajoチャンネル
チャンネル登録お願い致します。
TikTok
https://www.tiktok.com/@takunakajo
フォローお願い致します。
X
https://x.com/takuminakajo

.. 2025年10月23日 08:07   No.3353002
++ タク (社長)…4223回       
SARSの対応について
2002年11月16日、中国南部の広東省で農業に従事する若い男性が、肺炎に似た症状で仏山第一人民医院に入院しました。その症状は一般的な肺炎とは異なるものでした。男性は回復して退院しましたが、どのようにして罹患したのかはわからないままでした。

その後の数週間で同じ症状を示す患者が次々と現れました。幸運にも殆どの患者は最初の男性と同じく無事に回復しましたが、何人かは死亡しました。3カ月後、広東省でこの病気の治療にあたっていた医師の1人が結婚式に出席するため香港に向かいました。

この医師は香港のメトロポールホテルにチェックインした頃から体調を崩し、数日後に死亡しました。医師のホテル滞在は24時間にも満たなかったのですが、近くの部屋に泊まっていた宿泊客にもすでに感染は広がっていました。

78歳のカナダ人女性も感染した1人でした。2日後に女性は自宅のあるカナダのトロントに戻りましたが、その時点で肺炎に似た症状を呈しており、3月5日に死亡しました。それからの数週間というもの、マスコミは騒然となります。

カナダではおよそ400人が同様の症状を訴え、トロントの住民2万5000人に隔離措置がとられ、44人の患者が死亡しました。中国系米国人のビジネスマン、ジョニー・チャンもメトロポールホテルに宿泊していた1人です。

チャンはベトナムに向かう飛行機の機内で具合が悪くなり、ハノイの病院に運ばれました。チャンは病院で死亡しましたが、医療スタッフや他の患者に感染が広がりました。その頃、 世界保健機関(WHO)の職員で感染症が専門のイタリア人医師カルロ・ウルバニはハノイを拠点に活動していました。

ウルバニのもとに病院から緊急要請の電話が入り、調査に向かいました。ウルバニはこの病気を今までにない未知の感染症だと結論付け、WHOに警戒態勢を敷くよう連絡しました。彼もまたこの病気に感染して死亡しました。

2003年の3月半ば、イギリスの新聞『サンデータイムズ』に「死の病原菌がヨーロッパにも」という見出しが躍りました。ニューヨークからシンガポールに向かう飛行機の乗客150人以上に「従来の治療が効かない新型肺炎」と接触した恐れがあるため、ドイツのフランクフルトで隔離されているという記事でした。

.. 2025年10月24日 06:16   No.3353003
++ タク (社長)…4224回       
隔離は流行発生時の対策として古くから行われてきた手法で、賛否はあるものの、不明点が多くワクチンもない状況では、いかに21世紀とはいえこのやり方に頼るしかなかったのです。3月の第3週までに350人の感染が疑われ、そのうち10人が死亡し、感染はイタリア、アイルランド、米国、シンガポールなど13カ国に拡大しました。

2週間後には感染者を出した国は18カ国に増え、2400人以上の感染者と89人の死者が出ました。WHOは調査のため国際的な専門家チームを中国に派遣しました。米国は隔離措置が可能な感染症のリストにSARSを加えました。

後になって、WHOはカルロ・ウルバニ医師の行動により流行の初期段階で多数の新規患者を特定して隔離できたため、さらなる感染拡大を防止できたと発表しています。WHOは世界中の医師に向けてSARSへの注意を呼びかけました。

ここで重要な役割を果たしたのが、国際保健規則です。最初の導入は1969年で、コレラ、ペスト、黄熱、天然痘の監視管理が目的でした。WHOは2005年に、SARSの流行を受けて新しい感染症にも対応できるよう改訂しました。

ウルバニ医師が病に倒れる2週間前、中国の政府機関の衛生部は、広東で305人の「原因不明の急性呼吸器症候群」の患者が発生し、5人の死者が出たことを報告しました。3日後、中国はWHOに最初の患者を把握したのは4ヵ月前だったことを伝えました。

2月の終わりにWHO は重症急性呼吸器症候群、略してSARSと呼ばれるようになったこの病気を正式に認定しました。中国政府は流行の報告が遅れたことを謝罪し、「公衆衛生情報と早期警告体制に重点を置いた国内救急医療体制の速やかな設置」を発表しました。

並行して、中国南部と香港ではSARSに感染した動物の肉を食べることによる感染拡大を恐れて、市場での肉の取引が禁止されました。患者数が横ばいになりつつあった4月22日、米国疾病管理予防センター (CDC) が警告を出しました。

「SARSがどこに向かうのか、最終的にどこまで拡大するのか、予測がつかない」SARSの感染拡大は、公衆衛生を脅かすリスクになっただけでなく、経済にも打撃を加えた。4月末の時点でタイへの旅行者は70%、シンガポールへの旅行者は60%も減少しました。

.. 2025年10月24日 06:22   No.3353004
++ タク (社長)…4225回       
イギリス外務省は香港、中国の一部地域、トロントへの渡航を控えるように勧告しました。2003年4月、SARSの正体がやっと見えてきました。香港の研究者たちがSARSの病原体はコロナウイルスの新型である可能性が高いという論文を発表したのです。

「コロナウイルス」という名前はラテン語で「王冠」や「光環」を意味する「コロナ」に由来し、ウイルスの表面に王冠のような突起があることからこう呼ばれています。SARSを引き起こす特殊なコロナウイルスは過去に人間からも動物からも見つかった事がありませんでした。

コロナウイルス自体はありふれたウイルスで、通常は重症化することはなく、普通の風邪程度ですむのです。しかし、SARSのような特殊なコロナウイルスは命を脅かす存在になりました。SARSは主に感染者との濃厚な接触 (キス、ハグ、直接接触、食器やコップの共有、1メートル以内の接近)により感染すると考えられています。

SARSやMERSのワクチン開発は昔から続けられていましたが、いまだにワクチンは出来ておりません。だが、今回の新型コロナウイルスではワクチンを多くの方が接種して死亡しました。結局、ワクチン接種した人の方が感染しやすくなっていますし、重症化もワクチン接種者が大半なのです。

おそらく日本人で繰り返しワクチンを打っている人は5割とか6割とか、世界一ワクチンを接種した日本人は、これからどのような症状が出るのか多くの科学者が危惧しているところです。mRNAワクチンというのも人類向けには初めてです。SARSが流行して、それ以来ずっと、コロナウイルスの研究もしてきたわけです。それでも危険を伴う品物だったのです。

本家ホームページへ
https://taku-nakajo.wixsite.com/taku
石原莞爾平和思想研究会 https://www.ishiwara-kanji.com/
https://www.youtube.com/@taku-nakajo
ユーチューブ@taku-nakajoチャンネル
チャンネル登録お願い致します。
TikTok
https://www.tiktok.com/@takunakajo
フォローお願い致します。
X
https://x.com/takuminakajo
フォローお願い致します。

.. 2025年10月24日 06:34   No.3353005
++ 山崎久隆 (社長)…1849回       
続く攻撃でガザで民間人や報道関係者が犠牲に
 | 明かされるイスラエルの心理的拷問
 | 医療・生活物資の封鎖続き、人道危機深まる
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 2025年10月20日放送の『DemocracyNow!』では、アルジャジーラの記
者であるイブラヒム・アル=ハリリ氏がガザ市からの報告を行い、イスラ
エルによる停戦違反、パレスチナ人囚人の拘束状況、そして彼自身の家族
の体験について語りました。以下にその要点をまとめます。

◎停戦後の状況とイスラエルの攻撃

 アル=ハリリ氏は、米国が仲介した停戦合意が発効してから1週間以上
が経過したにもかかわらず、イスラエル軍による攻撃が続いていると報告
しています。
 特に、17日の金曜日にはガザ市に帰還しようとしたパレスチナ人家族の
乗った民間バスが銃撃され、11人が死亡しました。その中には5歳から
13歳の子ども7人も含まれており、この攻撃は「最も重大な停戦違反」と
して非難されています。
 また、ガザ市中心部にあるパレスチナ・メディア・プロダクション社の
本社が爆撃され、放送技師のアフメド・アブ・マター氏が死亡しました。
 これらの攻撃は、停戦合意が守られていないことを示す一例とされて
います。

◎19ヶ月の拘束と再会

 アル=ハリリ氏は、2024年3月18日にイスラエル軍に拘束された兄モ
ハメッド氏と先週再会したことを報告しました。モハメッド氏は19ヶ月
間、令状もなく拘束されていました。
 その間、過酷な拷問と劣悪な環境により、体重が30kg減少し、精神
的・肉体的に深刻な影響を受けていたと述べています。
 さらに、アル=ハリリ氏は、他のパレスチナ人囚人が家族の死亡を告げ
られた後、解放されて家族が生存していることを知った例や、家族が民間
登録簿から抹消されたことを知った例など、イスラエルによる心理的拷問
の手口についても言及しています。

◎停戦違反と人道的危機

.. 2025年10月25日 05:14   No.3353006
++ 山崎久隆 (社長)…1850回       
 ガザのメディアによれば、停戦合意発効後、イスラエル軍は47回の停
戦違反を犯しています。
 アル=ハリリ氏は、これらの違反がガザ市民に不安と恐怖を与え、帰還
した家族が瓦礫の中に家の痕跡を見つけるなど、状況が悪化していると指
摘しています。
 また、医療物資や食料、水などの基本的な必需品の不足が続いており、
依然としてガザが封鎖されているため、治療を受けるために国外へ出るこ
とができない患者が多数存在しています。
 医師によれば、慢性疾患患者の手術を行うための医薬品や医療機器も不
足しており、状況は非常に厳しいとされています。

◎ガザの現状に注目し続けることが重要

 アル=ハリリ氏の報告は、停戦合意が形式的に存在しているものの、
実際にはイスラエル軍による攻撃や人道的危機が続いている現状を浮き彫
りにしています。
 また、パレスチナ人囚人が無罪で拘束され、過酷な状況に置かれている
こと、そして家族との再会がもたらす喜びと同時に、戦争の影響が続いて
いることを伝えています。
 このような状況は、ガザの人々が直面している現実を理解する上で重要
な視点を提供しています。

.. 2025年10月25日 05:22   No.3353007
++ 佐藤大介 (小学校高学年)…29回       
10/20発行「ノーニュークス・アジアフォーラム通信196号」
 | 南台湾の人々が屏東で「第三原発再稼働反対!」と叫ぶ
 | 韓国ハンビッ原発1号機 永久停止宣言文…ほか
 └──── 佐藤大介(ノーニュークス・アジアフォーラム)

196号もくじ

・台湾は非核家園の実現へ、環境団体は No Nukes TAIWAN と訴える
・南台湾の人々が屏東で「第三原発再稼働反対!」と叫ぶ
                      (地球公民基金会)
・【脱原発の台湾から来日】さようなら原発全国集会での発言
                      (ツィ・スーシン)
・アジア初の非核国家へ (ツィ・スーシン、リン・ジョンイェン)
・映画『こんにちは貢寮(こんりゃお)』日本語字幕版 Youtube公開
                          (とーち)
・韓国ハンビッ原発1号機 永久停止宣言文
            (ハンビッ原発対応湖南圏共同行動ほか)
・老朽核発電所の寿命延長は気候不正義だ−
コリ2号機寿命延長審査を中止せよ(927気候正義行進組織委員会)
・フィリピン原子力新法と欠陥世論調査による政府の拙速を警告する
                      (非核バターン運動)
・世銀・ADBが原発支援を解禁!? 国際署名にご協力を!
                          (満田夏花)
・柏崎刈羽原発の再稼働を許さない (菅波完)
・再稼働の是非は私たち県民が決めたい (小木曽茂子)
・経産省前テントひろば14周年集会での発言 (武藤類子)
・核廃棄物中間貯蔵施設建設計画、上関町と周辺自治体の状況
                       (中川隆志)
・核ゴミ処分場と泊原発再稼働に反対する (井上敦子)
・JCO臨界事故から26年 (大泉実成)
・意見陳述「命と人権を守る立場に立った、正当な判決を!」
           (311子ども甲状腺がん裁判・原告8さん)

ノーニュークス・アジアフォーラム通信は、年6回発行。
購読料:年2000円。(196号10月20日発行、B5判28頁)
見本誌を無料で送ります。連絡ください → sdaisuke@rice.ocn.ne.jp

.. 2025年10月25日 05:29   No.3353008
++ 山崎久隆 (社長)…1851回       
高市政権の成立により具体化する
 | 原潜導入計画という「核の軍事利用」への道
 | 防衛力「抜本的強化」と原子力潜水艦導入構想の危険性
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 2025年9月19日、防衛省の有識者会議は「防衛力の抜本的強化に
関する有識者会議報告書」と題する文書を公表した。
 その中で注目すべきは、「VLS(垂直発射装置)搭載潜水艦の整備」と
「次世代の動力の活用」が明記された点である。
 この「次世代動力」とは、実質的に小型原子炉による原子力推進艦、
すなわち原潜を意味している。複数の関係者発言からも、この意図は
隠しようがない。
 報告書はあたかも「技術的検討」と装っているが、実際には原潜導入
への政策的地ならしにほかならない。日本の防衛政策の根幹を覆し、
憲法・法律・国際規範のすべてに抵触する危険な内容である。
 さらに10月に発足した高市政権は、自民党と日本維新の会による
連立政権として誕生した。両党が一貫して主張してきたのは「防衛力
の質的強化」「抑止力の次元の違う強化」であり、事実上の「攻撃型
軍拡」路線である。
 この政権の下で、「検討段階」とされてきた原潜構想は、いよいよ
現実の政策課題として具体化し始めている。
 「防衛力の抜本的強化」とは、単なる装備更新ではない。日本を
「核の軍事利用」へと踏み込ませる質的転換を意味する。
 戦後日本が築いてきた「非核・専守防衛・平和国家」という基盤を
根底から破壊する動きであり、断じて看過できない。

1 憲法9条と専守防衛の原則を蹂躙する

 報告書は「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有を当然視し、潜水艦
を「戦略的資産」として位置づけた。
 だが、長射程ミサイルを搭載可能な原潜は防衛装備ではなく、明白な
「先制攻撃兵器」である。これは憲法9条が禁じる「武力による威嚇・
行使」に該当する。
 1976年の防衛計画大綱(三木内閣)では、「他国に脅威を与える攻撃
的兵器は保有しない」と明記され、「攻撃型空母」「ICBM」「長距離爆撃機」
などを例示している。
 原潜はそのいずれにも匹敵する攻撃能力を持ち、しかも水中からの
隠密攻撃を可能にする点で、より危険である。
 報告書の提言は、専守防衛という戦後防衛政策の根幹を踏みにじる
憲法破壊行為である。

.. 2025年10月26日 05:59   No.3353009
++ 山崎久隆 (社長)…1852回       
2 原子力基本法・原子炉等規制法を無視した「違法」構想

 原子力基本法第2条は、「原子力の研究・開発および利用は平和の
目的に限る」と定める。
 原潜の推進動力炉は、その目的が「軍事行動の遂行」である以上、
明白にこの条文に反する。
 さらに、軍事用原子炉は「原子炉等規制法」の対象外とされ、安全
審査・運転認可・事故報告義務など、民生炉に課せられる法的監督を
一切受けない。
 防衛省は「安全は確保される」と繰り返すが、その根拠は皆無である。
日本には軍用原子炉の運転実績がなく、技術者養成も制度も存在しない。
 横須賀や佐世保に原潜が配備されれば、事故時の放射能拡散リスク
は甚大である。米原潜の事故(例・2006年の米原潜ヒューストンに
よる放射性物質漏出など)を見ても、軍事炉の危険性は立証済みである。
 しかも、防衛秘密保護を理由に情報開示が拒まれるため、住民も自治体
も安全確認を行う手段がない。
 「国防」の名の下に、原子力法体系を実質的に空文化させる暴挙である。

3 非核三原則とNPT体制を形骸化させる

 原潜導入には、高濃縮ウラン燃料の供与が不可欠である。
 米国や英国の原潜は、いずれも核兵器級(濃縮度93〜97%)の
ウラン235を使用しており、国際原子力機関(IAEA)の保障措置の
適用外に置かれている。
 オーストラリアのAUKUS協定をめぐり、IAEAは2023年に「原潜
燃料供与がNPT体制の抜け道となる」と警告を発している。日本が
同様の仕組みを導入すれば、NPTの信頼性は根底から揺らぐ。
 さらに、国産原潜を建造する場合でも、原子炉技術や燃料は米国
依存を免れず、「核の主権」を他国に委ねることになる。
 結果として日本は、核兵器を保有しないまま「潜在的核保有国」と
見なされ、今よりもはるかに厳しい立場に立たされる。
 被爆国日本が非核三原則の実質的放棄に踏み出すなら、道義的信頼
は完全に失われ、東アジアの核軍拡競争を誘発するであろう。

4 AUKUS型軍事連携による「従属型原潜導入」

.. 2025年10月26日 06:06   No.3353010
++ 山崎久隆 (社長)…1853回       
 オーストラリアが米英と締結したAUKUS協定は、米国製の攻撃型
原潜「バージニア級」を4〜5隻導入する計画である。
 米議会調査局(CRS, 2023年報告)によれば、1隻あたりのコストは
約45億豪ドル(約4.5兆円)に達する。
 この高額な艦艇を日本が導入すれば、防衛予算は膨張し、経済基盤
を圧迫する。
 加えて、燃料補給・保守整備・運用訓練などのすべてが米軍の統制下
に置かれることになり、日本の防衛自主性は事実上失われる。
 「日米同盟強化」の名の下で進むのは、従属的軍事連携の深化で
あり、独立国家としての主体性の喪失である。

5 「経済安全保障」政策による軍産複合体の再興

 報告書は「防衛と経済の好循環」「防衛産業の育成」を掲げるが、
その実態は軍需産業と官僚機構の結合強化である。
 防衛装備移転三原則の緩和、研究開発支援基金(約1兆円規模)の
創設など、政府主導による軍需産業再編が進行中である。
 さらに、政府は日本学術会議への介入を強化し、2020年の会員任命
拒否、2023年の組織改編の動きに続き、軍事研究への協力を事実上
強要しようとしている。
 大学・研究機関・民間企業を「安全保障研究」の名で軍事技術体系
に組み込む政策は、戦前の国家総動員体制を彷彿とさせる。
 併せて推進されているスパイ防止法制は、情報統制・思想弾圧を
補完する装置であり、民主主義の基盤を脅かすものである。

6 国民的議論の欠如と民主主義の崩壊

 報告書は「国民の理解を得て進める」と記すが、原潜導入の是非を
めぐる国会審議は一度も行われていない。しかも、計画の核心部分は
「防衛秘密」に分類され、情報公開請求すら封じられる。
 米国からの装備調達には、米側の機密保持契約が適用され、国内の
検証・監視は不可能となる。
 このような手法は、国民の知る権利と文民統制を完全に形骸化させる
ものである。
 「安全保障と経済成長の好循環」というスローガンは、軍事費拡大
を正当化するための政治的詭弁にすぎない。

7 市民運動・反核運動の再生こそ急務

.. 2025年10月26日 06:12   No.3353011
++ 山崎久隆 (社長)…1854回       
 広島・長崎の惨禍を経て、戦後日本は「非核三原則」と「憲法9条」
を国是としてきた。その理念を支えてきたのは、市民の不断の運動と
被爆者の証言である。
 しかし近年、政府の右傾化とメディア統制の中で、反核・平和運動
は厳しい圧力にさらされている。
 原潜導入構想は単なる装備計画ではなく、自らが「核抑止戦略」へ
と転換するターニングポイントであり、将来的な核武装の道を開く。
 市民社会が沈黙すれば、平和国家としての日本は終わる。
 いまこそ、非核・非戦を掲げる市民的連帯を再生させることが求め
られている。

8 「平和国家」から「潜在核国家」への転落を止めよ

 「次世代動力による潜水艦整備」という一文の背後には、原子力
の軍事利用を容認する国家構想が潜んでいる。
 これは単なる技術論ではなく、戦後日本の平和主義体制を根底から
覆す政治的転換である。
 いま日本に求められているのは、軍拡ではなく外交的信頼の再構築
であり、抑止力ではなく「対話力」である。
 日本が進むべき道は、原潜でも核でもない。東アジア非核地帯の
創設と平和共存の構築である。
 市民の監視と行動こそ、いまこの国に残された最後の民主主義の
力である。

.. 2025年10月26日 06:18   No.3353012


▼返信フォームです▼
Name
Email
ホームページ    
メッセージ
( タグの使用不可 )
Forecolor
アイコン   ICON list   Password 修正・削除に使用