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オーストラリアが米英と締結したAUKUS協定は、米国製の攻撃型 原潜「バージニア級」を4〜5隻導入する計画である。 米議会調査局(CRS, 2023年報告)によれば、1隻あたりのコストは 約45億豪ドル(約4.5兆円)に達する。 この高額な艦艇を日本が導入すれば、防衛予算は膨張し、経済基盤 を圧迫する。 加えて、燃料補給・保守整備・運用訓練などのすべてが米軍の統制下 に置かれることになり、日本の防衛自主性は事実上失われる。 「日米同盟強化」の名の下で進むのは、従属的軍事連携の深化で あり、独立国家としての主体性の喪失である。
5 「経済安全保障」政策による軍産複合体の再興
報告書は「防衛と経済の好循環」「防衛産業の育成」を掲げるが、 その実態は軍需産業と官僚機構の結合強化である。 防衛装備移転三原則の緩和、研究開発支援基金(約1兆円規模)の 創設など、政府主導による軍需産業再編が進行中である。 さらに、政府は日本学術会議への介入を強化し、2020年の会員任命 拒否、2023年の組織改編の動きに続き、軍事研究への協力を事実上 強要しようとしている。 大学・研究機関・民間企業を「安全保障研究」の名で軍事技術体系 に組み込む政策は、戦前の国家総動員体制を彷彿とさせる。 併せて推進されているスパイ防止法制は、情報統制・思想弾圧を 補完する装置であり、民主主義の基盤を脅かすものである。
6 国民的議論の欠如と民主主義の崩壊
報告書は「国民の理解を得て進める」と記すが、原潜導入の是非を めぐる国会審議は一度も行われていない。しかも、計画の核心部分は 「防衛秘密」に分類され、情報公開請求すら封じられる。 米国からの装備調達には、米側の機密保持契約が適用され、国内の 検証・監視は不可能となる。 このような手法は、国民の知る権利と文民統制を完全に形骸化させる ものである。 「安全保障と経済成長の好循環」というスローガンは、軍事費拡大 を正当化するための政治的詭弁にすぎない。
7 市民運動・反核運動の再生こそ急務
.. 2025年10月26日 06:12 No.3353011
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