|
|
ガザ停戦合意は「終わり」ではない (その1) (5回の連載) | イスラエルによる戦争再開を防ぐために何が必要か | 停戦は占領の終わりではなく、むしろ新たな支配の形態に過ぎない | 真の平和への第一歩とするためには国際社会の沈黙ではなく | 「国際社会の声と行動」が必要 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
2025年10月10日、イスラエル政府が米国支援の和平計画の第一段階 を承認し、ガザ地区に停戦が発効した。 イスラエルによる攻撃の一時停止、人質交換、そして人道支援物資の搬 入という合意内容は、表面的には前進のように見える。 しかし、この停戦は「終戦」ではなく、むしろ国際社会に対する試金石 である。 イスラエルによる戦争の再開を防ぐためには、単なる合意では不十分で あり、継続的かつ強力な政治的圧力が不可欠だ。
1.交渉の構造的な不均衡
パレスチナ人権派弁護士ディアナ・ブトゥ氏は、「ジェノサイドの終結 を、パレスチナ人自身が加害者と交渉しなければならない」という現実に 対し、強い嫌悪感を示している。 本来、国際社会がイスラエルに制裁を科し、虐殺を止めるべきだったに もかかわらず、パレスチナ人が自らの殺戮の終わりを「交渉」しなければ ならない状況に追い込まれている。しかも、交渉相手は飢餓を引き起こし た張本人であるイスラエルだ。 この構造的な不均衡は、囚人交換の内容にも表れている。 イスラエル側の人質は「全員帰還」として称賛される一方、イスラエル の刑務所に収監されている1万1千人以上のパレスチナ人の存在は、 ほとんど語られない。 彼らの多くは裁判もなく拘束され、拷問や性的暴力にさらされている。 今回釈放されるのは、政治犯250人と、ガザ出身の医師やジャーナリスト など1,700人に過ぎない。
2.停戦合意の限界と危機管理
.. 2025年10月17日 05:01 No.3348003
|