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■--第1次世界大戦を招いた要因
++ 仲條拓躬 (社長)…1294回          


1914年6月、オーストリアのフランツ・フェルディナント大公夫妻が、バルカン半島のサラエヴォでセルビア人の民族主義者に暗殺されます。第1次世界大戦の引き金になったサラエヴォ事件です。しかし、不思議な話です。

バルカン半島は当時、民族紛争で大荒れでした。そんなところになぜ、皇位継承者のフランツ・フェルディナント大公がわざわざ出向いたのでしょう。それは、オーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフ1世が賢くなかったからです。

ハプスブルク家は賢帝が出ない不思議な家系ですが、この人はまた、とんでもない頑固者でした。あまりの頑固さに息の詰まった妻が、放浪の旅に出てしまったくらいです。妻が放浪の旅をしている間に、2人の子どもの皇太子が、若い女性と心中してしまいました。

そこで甥にあたるフランツ・フェルディナント大公を皇位継承者にしました。フランツ・フェルディナント大公は、ボヘミア生まれの下級貴族のお嬢さんと恋をして、幸せな家庭を築こうとしていました。

フランツ・ヨーゼフ1世は頑迷そのものですから、下級貴族の妻を許しません。結婚は認めるが、子どもに皇位継承権は与えないし、ウィーンの宮廷で2人が並んで座ることも許さない、というのです。

そんな2人も、地方に出かければ、並んで座れて、拍手喝采で迎えられます。だからフランツ・フェルディナント大公は地方に頻繁に出かけ、そこで凶弾に倒れたわけです。ともあれ、皇位継承者がセルビア人に殺されたとあって、オーストリアは激怒します。

しかし、それならオーストリアとセルビアの戦争になるはずです。それがなぜ、第1次世界大戦に発展したのでしょうか。望まない戦争に引きずり込まれた、列強の愚かさがそこにあります。暗殺事件の1ヵ月後、オーストリアはセルビアに宣戦布告します。

ドイツもロシアもフランスも本来、これに何の関係もありません。ただし、ロシアはセルビアの後ろ盾になっていましたし、ドイツはオーストリアと同盟を結んでいます。ロシアは兵士に動員をかけます。戦争の準備くらいして見せなければ、格好がつきません。

ロシア皇帝のニコライ2世は、総動員を望んでいませんでした。総動員したら、ドイツを刺激してしまいます。ところが参謀の大臣たちは 「部分動員は技術的に難しい」などと主張して食い下がります。
.. 2025年10月12日 07:50   No.3347001

++ 仲條拓躬 (社長)…1295回       
すったもんだの末に疲れ果てた皇帝は、「しかたない」と、総動員を認めてしまいました。ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世もあまり賢くありませんでした。戦争をする気なんてなかったのに、ロシアが総動員したと聞いて「では、こちらも」と動員をかけます。

露仏同盟を結んでいるフランスも、「ロシアがやるなら、こちらも」と動員します。こうして悲惨な戦争が始まりました。愚かです。『夢遊病者たち、第一次世界大戦はいかにして始まったか』(クリストファー・クラーク著、小原淳訳 / みすず書房)という名著があります。

誰も望んでいない戦争にずるずると引き込まれていく第1次世界大戦前夜の様子が、見事に描かれています。ドイツ組と大英帝国組、アメリカの国力は「1:1:1強」です。第1次世界大戦の構図を確認します。もともと三国同盟がありました。

19世紀に、ドイツとオーストリア、イタリアが結んだ同盟です。しかし、オーストリアと領土問題を抱えていたイタリアは、第1次世界大戦では当初、中立を守ります。ドイツ側には、3B 政策で深く結びついていたオスマン朝 (トルコ) がつきました。

このドイツとオーストリア、オスマン朝の陣営を、現在では中央同盟国と呼びます。いわば「ドイツ組」です。この「ドイツ組」に対峙したのが、露仏同盟を結んでいたロシアとフランス、そしてドイツと覇権を争う大英帝国です。

こちらは「大英帝国組」と考えればわかりやすいでしょう。第1次世界大戦はまず、このような「3カ国 対 3カ国」の構図で始まったわけです。戦場はヨーロッパです。第1次世界大戦は総力戦でした。

軍事力だけでなく、国全体の経済力、生産力で戦う戦争ということです。そこで両陣営を工業生産力で比べてみると、中央同盟国のドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国と英仏ロシアの連合国3カ国の工業生産力は、かなり拮抗しています。

中央同盟国にオスマン朝が加わることも考えれば、ほぼ互角といっていいでしょう。しかし、この2つの陣営とほぼ同じか、それを大きく上回る工業生産力を、アメリカ1カ国が持っていました。

かなり大雑把にまとめれば、当時の列強の国力は、次のような数式で表せるでしょう。ドイツ組: 大英帝国組:アメリカ=1:1:1強の3強です。実際に戦ってみるとドイツが強く、 まず、東のロシアをタンネンベルクの戦いでこてんぱんにやっつけます。

.. 2025年10月12日 07:55   No.3347002
++ 仲條拓躬 (社長)…1296回       
次にドイツは、西のフランスを倒そうとしますが、フランスは意外にしぶとく、西部戦線は膠着するのです。

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.. 2025年10月12日 15:05   No.3347003
++ 浅野健一 (社長)…683回       
「総総分離」で石破茂首相続行がベスト
 | 極右・高市政権阻止で自民良心派と連携を
 | 年内限定の緊急経済対策・選挙管理内閣
| 内閣総辞職・首班選挙の延期合意で可能
 | 「メディア改革」連載第187回
└──── 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

◎村山富市元首相が17日死亡した。101歳だった。村山氏は1994年、
自民・社会・新党さきがけの連立政権で第81代首相に就任した。
当時、社会党委員長だった村山氏を首相に担いだのは自民党。アッと
驚く首班指名だった。

あれから31年。日本会議・靖国派の極右政治家、高市早苗自民党総裁
が10月21日にも開会予定の臨時国会で選任されそうだ。高市氏は10月
4日に総裁に就任したものの、10日に公明党が突然、連立離脱を決定。
15日に予定していた首班指名選挙のための臨時国会を開けない状態に陥った。

◎高市氏は最初、玉木雄一郎代表率いる国民民主党に連立入りを打診
したが、玉木氏は即答を避けた。高市氏は国民を諦め、維新との連携を
模索し、吉村洋文代表(大阪府知事)・藤田文武共同代表との党首会談
が16日に実現。17日には、連立政権の発足も視野に2回目の政策協議
を行い、両党は「大きく前進した」と公表した。

吉村氏は「高市さんの熱量、国家観に圧倒された」とまで言い放って
いる。維新側は(1)副首都構想(2)社会保険料軽減—を求めていたが、
12項目の要求を提出。吉村氏はにわかに「国会議員の定数削減」を、
高市氏への投票の絶対条件にした。自民側は、この要求も受け入れる
方向で検討している。

維新が、閣僚も出して連立を組むか、閣僚は出さない閣外協力にとど
めるかは不明だが、維新が高市氏に投票するのは確実だ。高市氏は参政
党の神谷代表とも党首会談。麻生太郎副総裁は無党派議員でつくる有志の
会メンバーに会い、高市氏への投票を要請した。

15日には、「NHKから国民を守る党」の齊藤健一郎参議院議員が自民党
の会派へ入り、「自由民主党・無所属の会」が発足した。斎藤氏は実業
家、堀江貴文氏の運転手兼秘書を経て政治家へ転身した人物。何でもあ
りの数合わせだ。

.. 2025年10月19日 08:00   No.3347004
++ 浅野健一 (社長)…684回       
◎マスメディアは、高市氏が首相になった時の危険性をほとんど伝えな
いが、高市氏を支えているのは旧安倍派、日本会議、神道政治連盟議員
懇談会に所属する議員たちだ。統一協会と癒着し、裏金議員の萩生田光一
幹事長代行が自民党を事実上仕切っている。高市政権は、維新、参政と
共謀して、歴史改竄、スパイ防止法、憲法改悪を本格化させるだろう。

高市氏は米国が求めるさらなる軍事費増額、中国侵略戦争・第二次
朝鮮戦争体制を露骨に推し進めると思われる。欧州各国で、極右政権の
発足を阻止するために、保守から左翼急進派までが協働したことから
学ばなければならない。

◎私は、公明の自民からの離脱のある前から、政権交代ができないなら、
石破内閣の延長がベストだとフェイスブックで書いてきた。その後、
「首班指名選挙で石破茂氏に投票を」という呼び掛けがなされている。
ジャーナリストの深月ユリア氏(官邸での首相会見に参加するフリー
記者)らが提案している。

私は、別に首班指名選挙をやらなくてもいいと思う。石破氏は総裁
の辞任を表明したが、「総理大臣を辞する」とは一言も言っていない。
朝日新聞によると、「私が退くまで、私が首相だ」と周辺に語っている。

石破氏に近い閣僚も石破氏の当面の留任を求めている。船田元(はじ
め)衆院議員も石破内閣の続行を提唱している。朝日新聞は16日、高市
総裁決定後、「総総分離」が20日に及ぶと書いた。18日の東京新聞特報
部に、「石破さんが続投してくれないかと0・1%の可能性に懸けて願っ
ている」(師岡カリーナ氏)とのコメントがあった。私はかなり可能性が
あると思う。

星浩氏ら「トランプ大統領との会談に高市氏以外が出たらみっともな
い」と指摘するが、米国にとって日本は植民地状態で、誰がリーダーか
をまったく気にしていないだろう。トランプ氏は高市氏の総裁選当選の
後、「高市総理大臣就任おめでとう」と表明している。日本の総裁と総理
の違いも分かっていない。

◎私は、石破氏を支持していない。安倍政治を引き継ぎ、大軍拡、対米
隷従を強化した評論家首相だ。しかし、高市氏が政権をとるのを阻止
するための最も現実的な策が、石破内閣の延長だ。石破氏の下で、緊急
経済対策、政治とカネの改革を実現し、石破内閣の下で、解散総選挙を
行い、比較第一党を中心に本格政権を作ればいい。

.. 2025年10月19日 08:12   No.3347005
++ 浅野健一 (社長)…685回       
 石破内閣の継続は自民党内の良識派にも賛同者がいると思う。今は、
タダの人になった玉木雄一郎氏は「日本は多党化時代のやり方に慣れて
いない。ドイツでは四カ月もかけて、百ページ及ぶ合意文書を作って
連立政権ができた。日本もじっくり学べばいい」と言っている。これは
正しい見解だ。高校の先輩の私が玉木氏を褒めたのは初めてだ。

.. 2025年10月19日 08:20   No.3347006
++ 山崎久隆 (社長)…1841回       
イスラエルの歴史家イラン・パペ (下)(了)
 | ガザ停戦実現
 | しかしパレスチナ人は『排除とジェノサイド』に直面している
 | イスラエルによる「民族抹消政策」は何も変わっていない
 | 国際社会は仲介ではなく「パレスチナ人の保護」に責任を負うべき
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

4.「世界の政治エリートはもはや調停者ではない」

 パペは、今や世界の指導者たちが「イスラエルとパレスチナの仲介者」
であろうとする段階を過ぎていると訴えた。
 「彼らの任務は仲介ではなく、パレスチナ人を破壊から守ることだ」と
強調し、次のように続けた。
 「これまで欧州と米国は、ガザで進行するジェノサイドに加担してきた。
今必要なのは、和平交渉ではなく、パレスチナの排除・抹消・民族浄化を
止める行動だ。」
 彼はまた、欧米の政治エリートと市民社会の間に大きな乖離があると指
摘する。
 欧米の市民の多くはパレスチナとの連帯を示しているが、政府は依然と
して「二国家解決」や「和平合意」といった虚構の議題に囚われている。
 「イスラエル政府がいまや歴史的好機とみなし、パレスチナを非アラブ
化し、民族としての存在を地上から消し去ろうとしている現実に、政治指
導者たちは目を背けている」と厳しく批判した。

5.「去勢された停戦」と国際社会の沈黙

 パペは、停戦合意の表面的な平和ムードとは裏腹に、イスラエルによる
「民族抹消政策」は何も変わっていないと繰り返し強調した。
 停戦後もイスラエル軍の占領体制、検問、物資制限、報道の統制は続い
ており、「この停戦は平和ではなく、支配の再編成にすぎない」と述べた。
 「この2年間、世界はジェノサイドを目の前にしながら黙って見て
いた。もし今も沈黙を続けるなら、国際社会そのものが共犯になる」と彼
は警告した。

6.「脱植民地化と共存」への展望

 最後にパペは、自身の新著『イスラエルの臨界点―脱植民地化と共存を
導く八つの革命』に言及し、イスラエル社会の内部変化こそが希望の鍵だ
と語った。
 「イスラエルの未来を変えるのは、外部の圧力だけではない。イスラエ
ル自身が支配者である自分を直視し、植民地国家から民主的共存社会へと
変わることが必要だ」と述べた。

7.番組が伝えようとしていることは

.. 2025年10月21日 05:21   No.3347007
++ 山崎久隆 (社長)…1842回       
 ガザ停戦は表面的なもので、イスラエルの「民族浄化・ジェノサイド」
政策は継続中であること。
 そして、ネタニヤフ政権は自己保身とメシア的シオニズムの結合体であ
り、戦争の継続こそが政治的延命策になっている現実。
 さらに、国際社会は仲介ではなく「パレスチナ人の保護」に責任を負う
べき段階であること。
 そして、欧米政治の沈黙は共犯であるとの指摘が厳しく私たちに突きつ
けられていること。
 今後、真の平和構築は「脱植民地化」とイスラエル社会内部の変革から
しか始まらないことだ。
 この報道は、停戦という名の「偽りの平和」の背後で進行する暴力と植
民地主義を暴き、イスラエル社会の構造的転換を迫るイラン・パペの強い
警鐘として放送された。

 翻って日本の現在地点は、いったいどこにあるのか。
 自民党の総裁選挙という、一政党のトップ争いに端を発した政治空白と
混乱は、世界の現状から照らせば、まさしく「コップの中の嵐」であり、
近い将来、本物の嵐の前にあっという間に砕け散ってしまうだろう。
 見ている世界が違いすぎるのである。

.. 2025年10月21日 05:27   No.3347008
++ 山崎久隆 (社長)…1845回       
「イスラエルの加害性の凝縮された姿」
 | アミラ・ハスが語る刑務所、入植者の暴力と沈黙の構造
 | 日本の報道姿勢が問われている…
 | ガザの現実を「遠くの悲劇」ではなく
 | 「私たちの倫理の問題」として報じる姿勢に転じるべき
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 2025年10月17日、イスラエルの日刊紙『ハアレツ』の記者であり、
長年にわたり占領下パレスチナ地域を取材してきたアミラ・ハス氏が、
米国の独立系報道番組『デモクラシーナウ!』に出演し、現在のガザと
ヨルダン川西岸地区の状況について語った。
 彼女の発言は、イスラエルによる占領政策の構造的な暴力と、それに対
する国際社会およびイスラエル国内の沈黙を鋭く告発した。

◎ガザの「英雄神話」と人々の疲弊

 ハス氏はまず、ガザにおける人々の現実に言及した。武力闘争を「英雄
的」と称賛する風潮がある一方で、実際には多くのガザ住民が瓦礫の中か
ら生活を再建することに疲れ果て、ガザを離れたいと願っているという。
彼女は、こうした声が無視されがちであることに警鐘を鳴らし、現地の
人々の苦悩を直視する必要性を訴えた。

◎刑務所に拘束されていたパレスチナの人々

 一部の被拘束者は逮捕後、長期拘束を経て釈放されたが、エジプトへ追
放された例も確認されている。ラーマッラーに戻った者の全容は把握しき
れていないが、多くは行政拘禁の対象であったと見られる。
 ある男性は裁判なしで数年間拘束され、6か月ごとに命令が更新され続
けた。彼は地域社会に影響力を持つ人物であり、だからこそ標的となった
可能性が高い。
 理由不明の拘束も多く、過去2年間でその傾向は顕著である。イスラエ
ルの刑務所はこの期間、「残虐性の縮図」と化し、囚人は病気や障害を負
い、極度の健康被害に苦しんだ。
 当初は「ガザの人質と同様の待遇」との説明があったが、人質が解放さ
れた現在も状況は改善されておらず、変化の兆しも見られない。

◎否認される加害の記憶

.. 2025年10月23日 07:02   No.3347009
++ 山崎久隆 (社長)…1846回       
 イスラエル社会における歴史認識について、ハス氏は過去に「いつか
子どもたちが親に『どうしてそんなことをしたの?』と問う日が来るだろ
う」と楽観的な見通しを持っていたと語る。
 しかし現在では、そのような問いかけすら起こらず、親たちも自らの行
為を悔いず、人々は「否認」の中で生き続けていると指摘する。
 これは、加害の記憶が社会的に共有されず、責任が曖昧にされる構造を
示している。

◎民族浄化が「公的議論」の一部に

 番組の共同司会者ネルミーン・シェイクは、国際危機グループの元ディ
レクターであるネイサン・スロールの発言を引用し、「10月7日以降、民
族浄化がイスラエルの主流の公的議論の一部となった」との見解を紹介
した。
 これに対しハス氏は、ヨルダン川西岸で日常的に行われている入植者に
よる暴力・・・土地やオリーブ畑からの追放、木の伐採、車の焼却、身体
的暴行など・・・が、国家の支援のもとで行われていると述べた。これら
の行為は「無法者の暴走」ではなく、「国家の計画の一部」であり、入植
者たちは「国家の使者」として機能しているという。

◎沈黙するイスラエル社会と国際社会

 ハス氏は、こうした暴力に対して、イスラエル国内の「野党」や主流派
からの実質的な反対の声がほとんど聞かれないことを批判する。現場で抗
議活動を行うのは、限られたイスラエル左派の活動家やパレスチナ人、そ
して一部の国際的支援者にすぎない。
 彼女は、パレスチナの警察や「抵抗組織」とされるグループもまた、入
植者の暴力から人々を守るために動いていないと指摘し、「武器を持たず
とも、大勢で現場に駆けつけるだけで状況は変わったかもしれない」と語る。

◎世界観としての暴力

 ハス氏は、SNS上で拡散された映像の中で、若い入植者が年老いたパ
レスチナ人女性に「あなたはここでは客人にすぎない。出て行くべきだ」
と語る場面を紹介する。
 これは単なる暴言ではなく、「あなたたちは一時的な存在であり、ここ
にいるべきではない」という世界観が、入植者の暴力の根底にあることを
示している。

◎変わらない構造、変わらぬ否認

.. 2025年10月23日 07:07   No.3347010
++ 山崎久隆 (社長)…1847回       
 ハス氏は、たとえガザからのパレスチナ人追放が完全には成功しな
かったとしても、入植者たちはその「失敗の埋め合わせ」として、西岸地
区での攻撃を強化していると述べる。
 そして、たとえイスラエル国内でこうした政策を支持する人々の割合が
減少したとしても、問題の根本は変わらないと強調する。
 イスラエル社会が「対等な二国間の争い」という誤った前提に立ち、占
領者と被占領者という非対称な関係を認めようとしない限り、構造的な暴
力は続くというのが彼女の見立てである。

◎沈黙を破る言葉

 アミラ・ハスの発言は、イスラエルによる占領政策の構造的暴力を明確
に可視化し、それに対する沈黙の構造、国内外の政治勢力、国際社会、そ
してメディアの無関心を鋭く批判する。
 彼女の言葉は、現地で起きていることを「例外的な出来事」ではなく、
「制度化された日常」として捉える視点を提示し、聞き手に対して倫理的
な問いを突きつける。
 このインタビューは、報道の役割とは何か、そして「見ること」「語る
こと」の責任とは何かを、私たちに改めて考えさせる。
 ハス氏のように、現場に身を置き、沈黙に抗して語り続けるジャーナリ
ストの存在は、今後ますます重要性を増していく。

◎日本の報道姿勢

 ガザの現実を「遠くの悲劇」ではなく「私たちの倫理の問題」として報
じる姿勢に転じるべき
 構造的暴力と沈黙の連鎖に対して、日本の報道はどう向き合っているの
だろうか。
 日本の主要メディアは、ガザの事件を単に「海外の出来事のひとつ」と
して扱い、海外メディアの報道を紹介する程度にとどまっている。
 現地の状況に目を丸くするか、せいぜい同情的な語調で報じるだけで、
加害の構造や国際的共犯性に踏み込む報道は、あまり見られない。
 その一方で、新政権の登場やトランプ政権の動向、国内の選挙や経済指
標など、政治経済の「話題性」を追い回すだけの傾向が強い。ガザのよう
な「遠くの現実」は、視聴率やクリック数に直結しないと判断され、報道
の優先順位から外されている。
 このような報道姿勢は、暴力の非対称性を覆い隠し、加害と被害の構造
を曖昧にし、結果的に沈黙の共犯者となっている。

.. 2025年10月23日 07:15   No.3347011
++ 山崎久隆 (社長)…1848回       
報道とは、単に情報を伝えるだけではなく、権力構造を問い沈黙を破る
行為でなければならない。
 日本のメディアがこの役割を果たすためには、「中立」の名のもとに加
害の構造を黙認する姿勢から脱却し、現場の声に耳を傾け、倫理的責任を
果たす報道へと転換する必要がある。
 アミラ・ハスの言葉は、報道の本質を根本から問い直す力を持っている。
 彼女のように、沈黙に抗して語る者の存在を伝えることこそが報道の使
命であり、社会の良心である。
 日本の報道機関がこの視点を取り入れ、ガザの現実を「遠くの悲劇」で
はなく「私たちの倫理の問題」として報じる姿勢に転じ、それを国内の報
道でも取り入れていけば「ネット言論」などに負けることはない。

.. 2025年10月23日 07:23   No.3347012


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