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■--現代の格差社会に生まれた若者
++ タク (社長)…4146回          


今、歴史に残る強欲な人物が世界を混乱に陥れています。 強欲な人物は話し合いによって問題を解決しようとするのではなく、力をもって自分自身の主張を押し通そうとします。多くの人が傷つき、命を落としていったとしてもまったく気にしないのです。

力による支配は社会を分断します。2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。ある書物には、侵攻前からイギリスとアメリカの国内で起こった分断のことが書かれていました。イギリスではEUからの離脱を巡って2016年6月23日に国民投票が行なわれ、大方の予想に反して離脱派が勝利を収めたのです。

一方、アメリカでは2016年の大統領選挙で、やはり大方の予想に反してドナルド・トランプが勝利しました。いずれもわずかな差での勝利であり、国民の間に大きな分断を残す結果となったのです。書物は Paul Collier and John Kay, Greed is Dead: Politics after Individualism (Allen Lane, 2020)の日本訳です。

書物が出版された2020年7月は、ちょうど新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、イギリスやアメリカでも多くの人たちが亡くなっていった時期でした。アメリカでもイギリスでも新型コロナに立ち向かうため、社会の分断を乗り越え、人々の連帯が求められ、それまでの行き過ぎた個人主義の時代が変わろうとしているように思われました。

その後、2021年1月にジョー・バイデンがアメリカ大統領に就任し、2022年9月にはイギリスでボリス・ジョンソンが首相を辞任しました。日本では2021年10月に「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄内閣が成立したことも、時代が変化しつつあることを告げているように感じられました。

しかし、2022年後半の時点で、アメリカでは依然としてトランプ前大統領への支持が強く、イギリスでは新しい首相が2か月ももたずに辞職し、日本では国葬をめぐって分断が起こり、「新しい資本主義」の姿は見えず、内閣支持率は低迷していました。イギリスとアメリカで起こったような社会の分断は日本でも起こっていたのだろうか。
.. 2025年08月23日 09:44   No.3308001

++ タク (社長)…4147回       
トランプが大統領選挙に勝利し、まだ大統領に就任する前に真っ先にトランプ氏の私邸を訪れ、54万円のゴルフクラブをプレゼントした安倍晋三元首相は、ポピュリストのトランプやジョンソンに似ているようにも見えますが、能力主義を推し進めたという点では違うようにも思われます。

書物の内容は、マイケル・サンデル『実力も運のうち能力主義は正義か?』(早川書房、二〇二一年)の内容と驚くほど似ています。 どちらも能力主義 (meritocracy) を批判し、コミュニティの重要性を主張しています。

違いは、サンデルがトランプの大統領就任とブレグジット(イギリスのEU離脱)能力主義の時代の終わりと捉えるのに対して、コリアーとケイは書物で極端な個人主義の時代はまだ続いていると考えています。

いずれの本も、能力主義の世界を「ディストピア」として描いたマイケル・ヤングの『メリトクラシー』(講談社エディトリアル、二〇二一年)を引用します。「能力が物を言う社会で、何の能力も持たないと判断されるのはとてもつらいことである。下層階級の人たちがこれほど道徳的に丸裸にされたことはかつてなかった」(118頁)。

労働者の政党であったはずのイギリスの労働党もアメリカの民主党も、能力主義を採用したために労働者の支持を失う一方、切り捨てられた労働者を味方に付けたのがトランプであり、ジョンソンでした。

日本では「桜を見る会問題」(2019年)を巡って野党に責められる安倍元首相の様子は、トランプの「ミスをして立ち往生する様子」(127頁)と重なって見えます。若者は倫理的な正しさを主張するエリート志向の政党に嫌気がさし、むしろ立往生する姿のほうに親近感を覚えます。能力主義の世界は格差を拡大させます。

グローバル化によって職を失い、移民に職を奪われた「何の能力も持たない」人たちの賃金は、40年にわたって低迷し続けてきました。日本でも厚生労働省の『毎月勤労統計調査」によると90年代以降、実質賃金は低迷したままです。

.. 2025年08月23日 09:49   No.3308002
++ タク (社長)…4148回       
高度成長期を生きた人たちは日本を平等社会だと思い込んでいますが、現代の格差社会に生まれた若い人たちは当然のように日本は格差社会だと思っているでしょう。「何の能力も持たない」と見なされないように若者は必死に頑張っています。それに対して、雇う側の人たちは自己責任を理由に何の罪悪感も持たず切り捨てていくのです。

日本の所得格差は拡大していないという主張があります。再分配所得を見れば格差は拡大していないのですが、当初所得では格差は顕著に拡大しています。単に使える金額が問題なら再分配所得を見ればいいのですが、書物においてもサンデルの本においても繰り返し強調されるのは労働の「尊厳」の問題です。

「給付金による消費は、働いてまともな生活を送ることから得られる尊厳 (dignity) にとって代わることはできない」(120頁)。格差は尊厳の問題でもあり、当初所得格差の拡大の意味は深刻です。格差を拡大させる政策は社会を分断します。アベノミクスに対する評価は大きく分かれています。アベノミクスの恩恵を受けた人たちはアベノミクスを高く評価するのに対して、その犠牲となった人たちはアベノミクスを批判しているのです。

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.. 2025年08月23日 09:59   No.3308003
++ 山崎久隆 (社長)…1798回       
イスラエルによるガザ攻撃はジャーナリストを標的にしている
 | 〜独立系メディア「デモクラシーナウ!」より〜 (上) (2回の連載)
 | 現場の惨状を記録しようと集まったジャーナリストたちを狙った
 | 精密なダブルタップ攻撃
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

はじめに
 イスラエルは月曜日(8月25日)、ガザ南部のナセル病院を空爆し、少な
くとも20人を殺害しました。その中には5人のパレスチナ人ジャーナリ
ストも含まれています。
 目撃者によると、イスラエルは「ダブルタップ」と呼ばれる戦術的攻撃
を行いました。
 まず無人機(ドローン)が病院の屋根を襲い、ライブ配信を準備してい
た1人の記者を殺害しました。
 続いて、最初の攻撃に対応しようと駆け付けた記者や救助隊員に対して
再び攻撃が加えられたのです。

 「イスラエルは、そこに誰がいるかを正確に知っていた」と、パレスチ
ナの作家でアナリストのムハンマド・シェハダ氏は語りました。
 「イスラエルはこれまでに244人ものジャーナリストを殺害しており、
それはベトナム戦争の20年間や第二次世界大戦の6年間をはるかに上
回っています」と強く抗議しています。

 エイミー・グッドマン:ガザ南部のナセル病院に対するイスラエルの空
爆により、少なくとも20人が死亡し、その中には5人のパレスチナ人
ジャーナリストも含まれています。目撃者によりますと、イスラエルは病
院に対して「ダブルタップ攻撃」を行ったとされています。
 最初にドローンが病院の屋上を攻撃し、ライブ配信の準備をしていた
ジャーナリスト1人が死亡しました。その後、最初の攻撃に対応していた
ジャーナリストや救助隊員を狙って、さらに別の攻撃が行われました。
現場からの生放送中に、アル=ガドTVがこの2度目の攻撃の様子を
撮影していました。

.. 2025年08月30日 07:08   No.3308004
++ 山崎久隆 (社長)…1799回       
エイミー・グッドマン(デモクラシーナウ!)
 ここからは、停戦と人質解放の最新情報をお伝えします。本日は2人の
ゲストをお迎えしています。
 ギデオン・レヴィ氏は、イスラエルのジャーナリストで、新聞『ハアレ
ツ』のコラムニストであり、著者としても知られています。数々の賞を受
賞されています。彼はテルアビブから参加しています。
 ギデオンさん、まずあなたから始めたいと思います。私たちが今放送し
ているこの時点で、安全保障内閣、いわゆる戦時内閣が、停戦合意に賛成
票を投じました。これから閣議全体に付託されます。これはどのような意
味を持ち、また抵抗の動きについてどのようにお考えでしょうか。

アル=ガドTV記者(翻訳):
「いま、いま、行政関係者が命を落としました!
ああ神よ! 彼らはこの人々を殺してしまったのです!」

エイミー・グッドマン:
 イスラエルの攻撃で亡くなったジャーナリストは、次の方々です。
 ロイター通信のフォトジャーナリスト、フサム・アル=マスリ氏、アル
ジャジーラのフォトジャーナリスト、モハンマド・サラマ氏、アソシエイ
テッド・プレス通信と協力していたフリーランスのマリヤム・アブ・
ダッカ氏、写真家のムアズ・アブ・タハ氏、そしてニュースサイト『ミド
ル・イースト・アイ』のフリーランサー、アフマド・アブ・アジズ氏です。
 ガザでは過去23か月間で、少なくとも244人のジャーナリストや
メディア関係者が命を落としています。
 本日ナセル病院への攻撃は、イスラエル軍が前日に少なくとも64人の
パレスチナ人を殺害した翌日に行われました。被害者の多くは北部に集中
しており、イスラエルはガザ市を掌握し、約100万人の住民全員を強制的
に立ち退かせようと進めています。ガザ当局によりますと、最近イスラエ
ルはガザ市のザイトゥーン地区とサブラ地区で1000棟以上の建物を破壊
したと報告しています。

.. 2025年08月30日 07:15   No.3308005
++ 山崎久隆 (社長)…1800回       
 一方、ガザの保健当局によりますと、過去24時間でさらに11人のパレ
スチナ人(うち子ども2人)が栄養失調で死亡しました。これまでに少な
くとも300人が餓死しています。金曜日には、国連が正式にガザ地区で飢
饉を宣言しました。
 さらに詳しくお話を伺うため、ガザ在住の作家・アナリストであり、『
ユーロ・地中海人権モニター』の広報責任者であるムハンマド・シェハダ
氏におつなぎします。
 ムハンマドさん、『デモクラシー・ナウ!』へ改めてようこそ。非常に
痛ましい状況下でのご参加となります。ナセル病院で目撃者が語る、
ジャーナリスト5人を含む少なくとも20人が死亡したダブルタップ攻撃
について、現場で何が起きたと理解されていますか。ロイター通信の
ジャーナリストは、攻撃が起きたとき屋上でライブ配信の準備をしていま
した。

ムハンマド・シェハダ:
 基本的には、ナセル病院のジャーナリスト、ハテム・オマル氏から始ま
りました。
 彼はイスラエルの監視用クアッドコプター型ドローンを発見し、位置を
特定しました。
 攻撃の1時間前に写真を撮ってアップロードし、『この地域を細かく監
視するクアッドコプター型ドローンがあります。身を隠してください。注
意してください』と呼びかけたのです。

 イスラエルは、そこに誰がいるか正確に把握していました。彼らは4階
に対して精密攻撃を行いました。というのも、ジャーナリストたちは
eSIMカードの電波を受信するためにその場所に集まるからです。
 イスラエルはガザの通信インフラを破壊しており、ジャーナリストたち
はイスラエルの通信塔からの電波を受信する電子SIMカードに頼らざる
を得ないのです。
 そのため、高層ビルの上層階など、より高い場所に行く必要があります。

 最初の攻撃を行った後、イスラエルは、より多くのジャーナリストや救
助隊員が現場に駆けつけるのをじっと待ちました。そして彼らが集まった
瞬間に、再び攻撃を加えました。
 つまり、現場で起きた惨状を記録しようと集まったジャーナリストたち
を狙った、精密なダブルタップ攻撃だったのです。
 イスラエルは、ジャーナリストたちが毎日立つであろう場所を正確に把
握し、その場所で殺害を行ったのです。」       (下)に続く

.. 2025年08月30日 07:41   No.3308006
++ 浅野健一 (社長)…665回       
「世紀の誤報」連発の読売新聞の劣化
 | 社内検証でなくフジ並みの第三者委設置を
| キシャクラブでの記者教育が元凶
| 官憲依存の“前打ち”報道を見直せ
 | 「メディア改革」連載第181回
└──── 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

◎ 日本で発行されている新聞の部数は昨年末、約2660万部で、ピーク時
の1997年(5376万部)の49.5%にまで落ち込んだ。かつて「1000万部」を
誇った読売新聞も今年5月、550万部を下回った。2番手の朝日新聞は現在
約320万部で、読売は依然として圧倒的な首位だ。

日本で発行されている新聞の4分の1を占める読売新聞に“世紀の誤報”
が連続して起きた。読売新聞は27日の朝刊1面で「公設秘書給与 不正
受給か 維新衆院議員 東京地検捜査」という見出しで、日本維新の会の
池下卓衆院議員=大阪10区=が採用していた公設秘書2人について、国から
秘書給与を不正に受給していた疑いで東京地検特捜部が捜査していると報じた。
 
読売新聞オンラインも27日午前5時に記事を掲載。しかし、実際にその
疑惑で捜査対象となったのは、同じ維新の石井章参院議員(維新は29日に
除名、石井氏は議員辞職を表明)だった。この報道を受けて27日午前、
池下氏は「この記事は事実無根」と強く否定。読売新聞は午前10時43分、
記事を削除した。

◎午後4時半ごろ、東京本社の竹原興局次長ら2人が大阪府高槻市の事務所
を訪れて池下氏と面会し、記事は誤報と認めて謝罪した。読売新聞オンラ
インは28日未明、<記事は誤報 おわびします」という見出しの記事を
出した。28日の紙面では次のような囲みの訂正記事を出した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250827-OYT1T50209/

<捜査の対象を誤った記事を掲載することになり、正確な報道が求めら
れる新聞社として、あってはならない重大な誤報だったと考えています。
記事を訂正し、池下議員および関係者の皆様に深くおわびいたします>(要旨)

.. 2025年08月31日 08:38   No.3308007
++ 浅野健一 (社長)…666回       
報道各社が池下氏に面会した竹原氏ら二名を「編集幹部」「編集局次長と
編集局管理部長」などと仮名報道したのも納得できない。竹原氏を実名報道
したのは近畿の準キー局、朝日放送(ABC)とテレビ朝日だけだ。事件事故
報道で被疑者・被害者の実名原則をかたくなに主張しているメディアの
二重基準だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e3658eeab17e1893ca7d339cfa79c9c548edc05

◎報道陣の取材に応じた池下氏によると、読売新聞の竹原次長は謝罪時に
池下氏の姓を「タケシタ」と言い間違えたという。池下氏は「SNSの時代
なので、報じた内容はデジタルタトゥーとして残る。誤報の再発防止の対策
とともに、SNSの対策もしてほしい」と要望した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a76b6239d08db3a5bfd6699399d7846d0595b469

 訂正記事が出た後、池下氏はXで「要望したレベルの記事とはかけ離れ
ています」とあらためて抗議。「他のメディアは多く取り上げられていま
すが、当事者の大メディアとしては如何なものか。推移を見つつ、法的措置
に向け検討します」「ペンは人を殺すかもしれないということを理解して
いない」と書いた。

読売新聞は30日、担当記者の思い込みが原因だったとする検証結果を
明らかにした。記事化に向けてマイナス情報が軽視され、社内のチェック
機能も働いていなかったとして、編集役員や担当記者らを処分する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/28ac2ef41e2b1f15d66939bfb85f670fb13e281b
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250829-OYT1T50142/

◎記事には沢康臣早大教授(元共同通信記者)の「都合良く解釈 プロ意識
欠如」というコメントがあるが、「意識」が問題ではない。私は、記者が
キシャクラブメディアで先輩たちから見よう見まねで受ける記者教育に
問題があると思う。

.. 2025年08月31日 08:44   No.3308008
++ 浅野健一 (社長)…667回       
 メディアの社員記者は捜査当局者と仲良くなって情報をもらう“御用
聞き”記者になっている。今回の誤報も、司法記者が検察幹部への夜討ち
朝駆けの取材で情報を得て報じたのだと思う。検察がキシャクラブで広報
する前に、一秒でも早く書く“前打ち”競争の中で起きた。取材報道の構
造を変えるべきだ。

◎ 読売新聞は7月23日、「石破首相退陣へ」という見出しの号外を配った。
「石破首相(自民党総裁)は23日、参院選で自民、公明両党の与党が大敗
した責任を取って退陣する意向を固めた」と報じた。

 翌24日朝刊でも、「退陣」の続報を出した。23日付の同紙オンライン記
事でも、「月内にも退陣を表明する方向だ」と報じた。この誤報は、戦後
最大の報道不祥事とされたが、読売新聞はこの記事を訂正していない。

◎「週刊文春」は「石破首相強気のウラに読売の"謝罪"があった!」と題
する記事を掲載。文春記事によれば、グループ本社の山口寿一社長が25年
8月に入り、石破茂首相と面会。読売新聞が石破氏の「退陣」を報じた記
事について、山口氏は謝罪の意を表明した、と報じた。

 同記事を受け、グループ本社は19日、文藝春秋に抗議書を送付。読売
新聞の19日付のオンライン記事によれば、「事実無根の記事で名誉が著し
く毀損された」と抗議し、謝罪と記事の取り消しを求めた。

読売新聞は2つの誤報について記者会見も開かず、第三者を入れた検証
委員会の設置もしない。せめて、フジテレビが中居正広氏の事案で設置し
たレベルの第三者委員会をつくるべきだ。

.. 2025年08月31日 08:50   No.3308009
++ 山崎久隆 (社長)…1801回       
イスラエルによるガザ攻撃はジャーナリストを標的にしている
 | 〜独立系メディア「デモクラシーナウ!」より〜 (下) (了)
 | 現在までに、イスラエルは244人のジャーナリストを殺害
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

エイミー・グッドマン:
 イスラエルの対応についてお話しいただけますか。
彼らは調査を行うと言っていますが。

ムハンマド・シェハダ:
 それは、2018年にヤーセル・ムルタジャ氏が、プレスと明記され
たベストを着ていたにもかかわらず、狙撃によって殺害された際に
イスラエルが示した対応とまったく同じです。当時はまず彼をハマス
だと言い、その後事故だと言いました。そして、すべての虚偽が繰り
返し暴かれた後で、『調査します』と言ったのです。しかし、その後
7年間にわたり何も報告はありませんでした。
 ここでいう『調査』とは、イスラエルが時間を稼ぐための手段です。
私には、イスラエル市民社会の『沈黙を破る会』や『ベツェレム』と
いった団体に知人がおり、以前からイスラエルは自国の行為を調査す
る意思がなかったと聞いています。現在の状況でも、自らを調査する
ことは事実上不可能です。

 なぜなら、イスラエル軍は宗教的シオニスト過激派で溢れており、
ガザでジェノサイド(民族虐殺)を実行している軍は、特に『ヒルトッ
プ・ユース』と呼ばれる極端な入植者で構成されているからです。
 そうした人々が自らの行為を調査することは期待できませんし、そ
の前にいた人々についても同様です。
 イスラエルの調査は、基本的に時間稼ぎのための形だけのものです。
だからこそ、ベツェレムは何年も前に、イスラエル国家による調査への
協力をやめることにしました。彼らによれば、これらは単なる演劇の
ようなもので、現場で行われたイスラエルの行為を取り繕うための
パフォーマンスにすぎず、まったく意味がないのです。

.. 2025年08月31日 09:09   No.3308010
++ 山崎久隆 (社長)…1802回       
エイミー・グッドマン:
 ほかのジャーナリストや彼らの取材内容についてもお話しいただけますか。
 たとえば、ロイター通信のフォトジャーナリスト、フサム・アル=
マスリ氏は、屋上でライブ配信の準備をしていました。そして、マリ
ヤム・アブ・ダッカ氏もいました。彼女はアソシエイテッド・プレス
通信のフリーランスであり、母親でもあります。ナセル病院で特に子
どもたちの取材や人物紹介などを行っていました。

ムハンマド・シェハダ:
 マリヤム・アブ・ダッカ氏は、それ自体で非常に象徴的な存在です。
基本的にはジャーナリストであり、母親でもあります。最近は密かに
腎臓を提供して命を救ったこともあります。息子のガイスさんはガザ
の外で治療を受けています。
 彼女は、2018年の『大帰還行進』で再び標的の狙撃を受けて亡く
なった救急医ラザン・アル=ナッジャール氏と非常に親しい友人で
もあります。
 マリヤム氏は当時のデモを取材していました。あるとき、病院に
友人が到着した際にライブ配信をしていましたが、後ろを振り返ると、
それはイスラエルの厳しい封鎖に対して上半身裸で行進していた際に
殺害された、彼女自身の兄であることが分かり、すぐに涙に崩れ落ち
ました。彼女はこの虐殺の過程でさらにもう一人の兄も失っています。

 また、彼女は同じ攻撃で命を落としたジャーナリスト、モハンマド・
サラマ氏の隣人でもあります。
 モハンマド氏は最近婚約したばかりで、結婚の準備をしていました。
彼は同じカーンユニスのアバサン地区出身の若いジャーナリストで、
その村はイスラエルによって完全に破壊され、何も残されませんでした。
 しかもイスラエルはそれをカメラの前で自慢していました。アバサン
が荒れ果てた廃墟に変わった様子を詳しく記録し、それをガザの人々に
見せて衝撃を与えたのです。
 イスラエルの刑務所内でも、イスラエルのベン=ギブリル治安相は、
ガザが瓦礫と化した巨大なポスターを掲示し、パレスチナ人の人質が
毎日見て、ジェノサイドが進行していることを認識させるようにして
います。

.. 2025年08月31日 09:16   No.3308011
++ 山崎久隆 (社長)…1803回       
 その他のジャーナリスト、ムアズ・アブ・タハ氏とハムザ氏も含め、
4人のジャーナリストはいずれもハマスや武装勢力とは関係がありません。
 それにもかかわらず、イスラエルのテレビ局『チャンネル14』は、
『ナセル病院を2回爆撃した。ジャーナリストを殺した。彼らはテロ
リストだ。それで話は終わりだ』と自慢しています。
 英語では『間違いだった』と言い、ヘブライ語では自慢しているの
です。ジャーナリストを殺害したことを喜んでいるのです。

 現在までに、イスラエルは244人のジャーナリストを殺害しており、
ベトナム戦争20年や第二次世界大戦6年をはるかに上回っています。
 エイミーさん、覚えていると思いますが、ベトナム戦争ではナパー
ム弾で焼かれた少女の写真が世論を動かしました。
 1982年のレバノンでは、両腕に包帯を巻いた少女の写真が出て、
レーガン大統領がイスラエル首相に電話し、『これはホロコーストだ。
今すぐやめなければならない』と言わせました。
 しかしガザの場合、国際社会においてそのような決定的な転換点は
まったく見られません。
 イスラエルが何をしても、その行為を止めるための転換点は存在せず、
それがイスラエルによるジェノサイドを助長しているのです。

エイミー・グッドマン:
 そして、200人をはるかに超えるパレスチナ人のジャーナリストやメ
ディア関係者が命を落としていることも忘れてはなりません。ムハンマ
ドさん、先ほど244人とおっしゃいましたね。イスラエルの首相や軍は、
国際的なジャーナリストの立ち入りを許していません。
 ムハンマド・シェハダさん、ガザ在住の作家でありアナリスト、そして
『ユーロ・地中海人権モニター』の広報責任者として、本日お話しいた
だき、誠にありがとうございました。

.. 2025年08月31日 09:22   No.3308012


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