|
|
「記者への攻撃から守る」と新聞界(労使) | 冤罪作り共犯の警察広報垂れ流しを放置 | 「ペンを持ったお巡りさん」からの脱却を | 7・12人報連結成40年記念シンポに参加を | 「メディア改革」連載第176回 └──── 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)
◎ 私が1984年に第一作『犯罪報道の犯罪』(学陽書房、講談社・新風舎 で文庫に)を出版し、企業メディアによる報道被害者の救済を訴えたとこ ろ、当時の報道界(労使)は「我々を報道加害者、犯罪者扱いするのか」 と猛反発した。 私は同書で、“ペンを持ったお巡りさん”を止め、権力監視の報道をと 訴え、1.官憲の広報に依存する実名報道主義から、北欧型の匿名報道主 義(公人の職務上の嫌疑は顕名)への転換 2.報道界で統一した倫理綱 領を制定し、報道評議会を設置—を柱とした報道改革を提言した。 拙著は20数万部発売され、日本弁護士連合会、法曹界、学界が私の提 言を受け入れ、メディア界へ報道改革を求めた。1985年7月には報道被 害者の救援を目的とする市民組織、人権と報道・連絡会(人報連)が結成 された。
◎ 人報連の最初の代表世話人は奥平康弘東京大学教授(憲法、15年死 去)だった。その後、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡などにも、同じよ うな市民組織(人報連を除き現在は存在しない)が誕生した。 人権を無視した取材報道を変えようという動きがメディア労組にも あったが、オウム事件、光市母子事件などで社会全体に処罰欲が強まり、 逆風が起きて現在に至っている。捜査段階で警察・検察の記者クラブでの 広報を垂れ流した起訴前報道を検証する動きがほとんどない。
◎ 今年6月5日、日本新聞協会が交流サイト(SNS)を中心に近年、 報道機関の記者が根拠なく誹謗中傷されたり、プライバシーが侵害された りする例が増えているとして、「記者等への人権侵害行為には厳正に対処 していく」とする声明を発表した。 協会は、全国の新聞、通信、放送119社で構成し、キシャクラブを運営 する企業メディアと重なっている。声明は、報道に対する正当な批判や論 評には真摯に向き合うとした上で、個人の顔写真をSNSにさらして容姿 をあげつらったり、脅迫的な言葉で業務を妨害したりするような不当な攻 撃は「断じて許されない」とした。
.. 2025年07月12日 08:12 No.3286001
|