東京電力は補償に公正かつ迅速に対応するという。私は極東軍事裁判所条例を想起した。第一条「極東における重大戦争犯罪人の公正かつ迅速なる処罰のため、・・・」公正かつ迅速というのはjust and prompt の訳語である。戦勝国がうらみに思っている相手に公正な裁判をするというのは、悪い冗談のようだ。聖人なら自分につらくあたった人にも公正に対応できるが、ふつう人には無理だ。まさか文明国が邪険な処罰といえないから、公正ととりつくろった?のだ。迅速というのはBC級戦犯裁判の場合によくあてはまる。不正かつ弁護の準備の時間がないように急いで行われた裁判が多い。まさか、こういう「公正かつ迅速」の先例があるのを意識したわけではあるまいが、補償問題にこの語を使っているのを聞いて、何を言っているんだと思った。
蛇足ですが、会合の名前の英文は"high-level U.N. meeting on nuclear safety and security"なので、セキュリティの部分が抜けているのが気にかかります。核セキュリティ、つまり核には常に兵器の問題が付随することを意識させる名称です。日本のマスコミはこれを意図的に国民の目に触れないように細心の注意を払っているのでしょう。