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下北核半島を歩く 「虚構の核燃料サイクル」に終止符を打つ
鎌田 慧(ルポライター)
「さようなら原発」運動の有志と2泊3白で、青森県の下北核半島を まわった。 わたしが「核半島」というのは、原発ばかりか、ウラン濃縮、使用済 み核燃料再処理、MOX燃料加工、高レベル放射性廃棄物貯蔵、低レベ ル廃棄物最終処分、さらに「使用済み燃料中間貯蔵」などの核施設が、 集中しているからだ。 いまもまだ「核燃料サイクル」などと、まるでプルトニウムを核燃料 として永遠に回転させるような夢が語られている。
が、すでに「夢の増殖炉もんじゅ」は破綻、「サイクル」は傾いて いる。 肝心の再処理工場は1993年に着工したが、32年たっても完成せず、27 回も延期宣言。再処理工場が完成しなければ核廃棄物の捨て場を探さな ければならない。
下北核半島は最も危険な核施設と核廃棄物が密集し、さらに米軍三沢 空軍基地、空対地射爆場、海空の自衛隊基地があり、沖縄に匹敵する危 険な「犠牲区域」になっている。 再処理工場が完成しなければ、核燃料サイクルは原発を維持するため の巨大な虚構と化す。
これまで日本の核廃棄物の再処理を依頼していた英国で「核燃料サイ クル」を断念。「貴重」な使用済み燃料はゴミ扱いとする。 各地域の個別な原発反対運動がこれから「虚構の核燃料サイクル」に 終止符を打つのにどう関わっていくのか。 その課題をかみ締めるツアーだった。 (5月13日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
.. 2025年05月15日 05:49 No.3252001
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