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対米隷属を続ければ日本の繁栄と安全はない 米国は本気で日本を守ってくれない…77%世論 日本外交と政治の正体(559)
孫崎 享
第2次大戦以降、日本政府の米国に対する姿勢は、田中角栄内閣時代 を除いてほぼ一貫している。それは、米国に隷属していれば、「経済は 繁栄する」「軍事上の安全は保たれる」と信じてきた、ということで ある。 もっとも、日米両国間の歴史的な事象を検証すれば、そんなことは決 してないのだが、ともかく日本政府、国民はそれを信じて米国隷属の道 を選択してきた。
石破首相が2月上旬に訪米した際も、この姿勢は変わらず、石破首相 はトランプ大統領と密接な関係を築くことができたとアピールした。 しかし、トランプ大統領は4月8日の「共和党全国議会委員会の夕食 会」という準公式的な場で、こう発言したのだ。 「(日本を含む)これらの国々は我々を訪れ、私の尻にキスをしている。 彼らは死んでもディール(取引)ををしようとして、『何でもします。閣 下』と言っている」
トランプ関税を巡る日米関税交渉が本格化し、米国は自動車関税に関 して交渉に応ずる意思がないことが分かった。 すると石破首相は5月2日、「我々の国益を譲ってまで早く妥結をす ればいいというものではない」と踏み込んだ。 日米両国における長い歴史の中で、日本の首相の口からこうした毅然 とした言葉を聞くことはほとんどなかったが、関税交渉の雰囲気を反映 し、日本国内の世論も変化しつつある。
朝日新聞は世論調査の結果として「日米間には安全保障条約がある」 と前置きした上で、「いざという場合」に米国が本気で日本を守ってく れると思うか尋ねていた。その結果、「守ってくれるは15%にとどま り、「そうは思わない」という懐疑派が77%に達した、と報じていた。 これまでの世論調査で「米国が本気で日本を守ってくれるとは思わな い」の回答が8割近くを占めた例はほとんどなかったのではないか。 「良好な日米関係」が日本の経済発展に資すると強く主張しているの が経済界である。
.. 2025年05月11日 09:47 No.3250001
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