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治安維持法 100年 各地で集会 進む法整備 危機感 秘密保護、共謀罪・・・国民監視に警鐘
戦前・戦中に言論や思想の弾圧に猛威を振るった治安維持法の制定 から100年。現代に警鐘を鳴らす集会や声明が各地で相次いでいる。 共通しているのは、人々を迫害した希代の「悪法」を遠い日の不幸で はなく、気を抜いたら市民生活が脅かされかねない「人災」と捉えて いること。「新しい戦前」ともいわれる昨今、流れにあらがう声を聞き、 今の空気に似通った治安維持法制下の日本を見つめ直す。(西田直晃)
「絵を描いただけでも獄舎に入れられた。歴史の証言者のバトンを 受け取り、物語を私たちは語り継がないといけない」 今月19日、都内であった「治安維持法100年」と銘打った集会で、 東京芸術大講師の川嶋均さん(63)は言葉に力を込めた。1941年に 北海道・旭川師範学校の美術教師と学生たちが検挙された「生活図画 事件」。人々の暮らしをありのままに描く美術教育が「共産主義を広 めかねない」として弾圧されたが、学生たちはほとんど何の知識も持っ ていなかった。 治安維持法は1925年3月19日に成立し、4月22日に公布、5月12日に 施行された。事件は、1941年の法改正で結社や集団に属していない 個人の行為に対象が拡大される中、検挙が行われた。
2018年から、事件を調べてきた川嶋さん。事件着手の方針をまとめ た資料を示し「権力側が都合の良い方針で捜査を進めた。かん口令を 敷き、事件は全く報じられなかった」と思想検事の暗躍を批判した。
ただ問題は現代にも通じる。1928年6月、緊急勅令によって法改正 され、最高刑が死刑に引き上げられた点に触れ、「いま自民党が改憲案 に掲げる『緊急事態条項』との類似性を感じてしまう。背筋が寒くなる」。 集会前日に衆院で審議入りした日本学術会議を特殊法人化する法案への 懸念が口をついた。「学問の自由が弾圧され、言論の自由の息の根が 止められた当時と二重写しのように情勢は緊迫している」
.. 2025年04月27日 07:26 No.3235002
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