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■--4/19原発賠償関西訴訟第116回訴訟学習会
++ 原発賠償関西訴訟 (幼稚園生)…2回          

4/19原発賠償関西訴訟第116回訴訟学習会
 | 「全国連2025年活動方針と関西訴訟の今後のとりくみ」
 └──── 原発賠償関西訴訟

4/19原発賠償関西訴訟第116回訴訟学習会のおしらせ

日 時:4月19日(土)13時〜14時30分
 「全国連2025年活動方針と関西訴訟の今後のとりくみ」
・「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」総会の報告:森松明希子さん他
・関西弁護団から:加藤高志弁護士
主 催:原発賠償関西訴訟 KANSAIサポーターズ
協 力:原発賠償関西訴訟 原告団・弁護団
連絡先:kansaisapo@gmail.com
※この後、関西訴訟原告・弁護士・支援者による情報交流会があります。
 学習会だけのご参加も歓迎です。
Zoom参加ご希望の方 kansaisapo@gmail.com
上記アドレス宛に、件名:4月19日訴訟学習会参加希望
メールアドレス、氏名、所属団体等(あれば)をご記入の上、
お申込みください。折り返し、ZoomミーティングID、パスコードを
お知らせします。

 関西訴訟は、原告本人尋問が7月に終わり、その後最終弁論・結審・
判決と進んでいきます。
 4月6日には全国各地の訴訟団で構成する「原発被害者訴訟原告団全
国連絡会」の総会が開かれ、関西からも原告が参加発言しました。
 このような状況から、全国連共同代表でもある森松さんに、全国連20
25年活動方針や総会の様子を報告していただき、全国の情勢も踏まえた
上で関西訴訟として今後どのように行動していくべきか、について
皆さんと考えていきたいと思います。
.. 2025年04月15日 05:44   No.3230001

++ 浅野健一 (社長)…638回       
出自ヘイト投稿の高校同窓生を訴え勝訴
 | 在日朝鮮人で日本国籍取得の金正則さん
 | 大学で通名から本名を決断し差別に遭う日々
 | 多様性社会のため都議選(杉並)に立候補
 | 「メディア改革」連載第172回
└──── 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

◎ 2017年に始まったたんぽぽ舎での<浅野健一が選ぶ講師による「人
権とメディア」連続講座で、在日朝鮮人(2023年に日本国籍を取得)
で、「在日の金くんヘイト裁判>の原告だった金正則(きん・まさの
り)氏を講師にした学習会を4月23日に開いた。講演会のチラシが私
のブログにある。  
こちら

 講座の会場は新装となったたんぽぽ舎のセミナー室。有料入場者は16
人とやや少なかったが、高校の同窓生による執拗な出自に関係するヘイ
ト投稿だけでなく日常的な差別と闘った生々しい報告を受け、参加者は
多くを学んだ。日本の企業メディアの社員記者は一人も来なかった。

UPLANの三輪佑児さんが取材してくれ、動画をユーチューブに配信して
くれた
https://www.youtube.com/watch?v=8nRXtIRkfVI
月刊「イオ」(朝鮮新報社)の張慧純記者も取材してくれた。

◎ 宮崎県生まれの金氏は「公共事業の仕事をしていた父親は、在日朝
鮮人であることをずっと隠して生活し、家族の中で朝鮮名を使ったのは
私だけだった」「日本人女性と結婚してアパートを探した時、不動産屋
に断られた」「朝鮮名での就職活動は大変だった」などと話した。

 金氏の約3時間の講演と質疑応答を聞いて、日本で戦後生まれ育った
在日朝鮮人3世と家族が今もこんなにひどい差別を受け、人生を生きな
ければならなかったのかと改めて知って愕然とした。

◎ 金氏の名前を挙げて差別投稿をしたのは福岡県の名門、県立修猷館
高校の同級生。彼は2021〜24年に「X」(旧ツイッター)で、金氏の通
名も明らかにして、「朝鮮人は明らかに性犯罪が多いですよね」「もう
日本にたかるの止(や)めなよ」「本当に朝鮮人は汚い事ばかりするよ
ね」などと投稿した。

.. 2025年05月11日 08:09   No.3230002
++ 浅野健一 (社長)…639回       
◎ 東京地裁(衣斐瑞穂裁判官)は3月18日、特定の国籍や人種を犯罪
と結び付ける「犯罪者みなし」について、「原告に嫌悪感を示し、著し
く侮辱」と指摘。
 ヘイトスピーチ解消法が定める「不当な差別的言動」と認定し、請求
通り110万円の賠償を同級生に命じた。
 被告は控訴せず、4月9日、一審判決が確定した。
https://www.asahi.com/articles/AST3L3H0HT3LUTIL01NM.html
 金氏の両親は1935年ごろ、父10歳、母6歳の時、それぞれの家族で
渡日。高校までの姓は「林」。卒業後に上京し、上智大学文学部独文科
に入学。「金」に改姓した。広告代理店に就職。上智大から初めて朝鮮
名で大手企業に就職したという。その会社も「外勤は無理だから、社内
で働いてもらう」と告げた。

◎ 差別的な投稿で金氏の名誉を傷つけたこの同級生は判決後も、金氏
を特定しない工夫をして、在日朝鮮人や少数者へのヘイト投稿を続けて
いる。
 金氏は、高校の同窓会事務局に対し、同窓生のメーリングリストなど
での差別投稿の禁止を規則に明記するよう求めたが、拒否されたという。

◎ 金氏は「他人に頼らず自分の二本の足で進むしかない」と思って生
きてきたが、この裁判で、多くの日本人の支援者が現れ、支えられた。
 「この経験から積極的に仲間をつくり、女性、外国人、性的少数者、
障がい者、貧困、1人世帯高齢者のことなどで一つずつ、一緒に闘おう
と思った」と述べた。

 金氏は「子どもの時、日本国憲法の『われらは、平和を維持し、専制
と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会
において、名誉ある地位を占めたいと思ふ』という前文を読んで感動し
た」という。

◎ 「この憲法を持つ国ならきっといつかは在日にも投票権を与えてく
れると60年間待った。ところが2021年末、隣の武蔵野市で松下玲子市
長(当時)が住民投票条例に外国人投票参加を明記する案が否決され
た。住民投票でさえダメなのかと衝撃を受けた」

◎ 2023年に日本国籍をとった金氏は昨年10月衆院選で初めて投票し
た。「69歳で初めて選挙権を使った。今度は70歳で被選挙権も行使した
い」と思い、6月22日の都議選(杉並区、定員6)に無所属で出ること
を決意した。

.. 2025年05月11日 08:14   No.3230003
++ 浅野健一 (社長)…640回       
◎ 金氏は「『金』という姓の都議の誕生が『差別や格差のない社会』
実現の大きな一歩になると確信し、頑張りたい」と立候補予定の挨拶で
話した。
 共同通信の後輩でフリージャーナリストの桑原亘之介氏の記事が
ネットの「note」で読める。
https://note.com/kuwa589/n/n37e81995a6b1
https://note.com/kuwa589/n/n5ee2dc5d6fbb
 
◎ 6月7日午後2時〜4時半、浅野講座で多原良子氏(札幌アイヌ協
会事務局次長)の講演会を開催する。
 テーマは「アイヌ民族とメディア」。
 多原氏は杉田水脈氏に人権侵犯されたとして札幌地方法務局に人権侵
害被害を申し立て、法務局が人権侵犯と認定した。今度の講演会は、ア
イヌ民族文化財団の講師派遣補助金を受けての開催だ。

◎ 6月21日(土)午後2時〜4時半、共同通信の後輩、三浦元博・元
大妻女子大学教授が「ウクライナ戦争とトランプ米大統領の停戦ディー
ル」をテーマに講演する。6月の二つの講座に、多くの参加者の来場を
お願いしたい。

.. 2025年05月11日 08:20   No.3230004
++ 鴨下美和 (小学校中学年)…10回       
不当判決に屈しない
 | 原発事故被害者の戦いはまだまだ続く
 | 共に歩んでくださる皆さまに感謝を込めて
 └──── 鴨下美和(福島原発被害東京訴訟原告)

 5月8日の「東京都による避難者追出し訴訟(控訴審)」を応援くだ
さった皆さま、本当にありがとうございました。
 法廷に駆けつけてくださった方はもちろん、心配してお声掛けくだ
さった方々、お祈りくださった皆さまに支えられて、私たちもなんとか
法廷に向かうことができました。

 これは夫の言ですが、正直なところ法廷に着くまではものすごく行き
たくなくて、このまま帰りたいと何度も思ったそうです。でも高裁前に
着いたら、応援に駆けつけてくださった人たちが見えて、力が湧いて
来た。判決は悔しかったけれど、皆が一緒に怒ってくれて胸が一杯に
なった。報告会では自然に想いと言葉が溢れた。その後も多くの方から
励まされ、帰る頃にはすっかり気持ちが軽くなって、むしろ判決前より
も元気になった。本当に応援してもらえると元気が湧くということを
実感した。凄く嬉しかったし感謝を伝えたい。と申しておりました。

 実際、あの判決を聞いたのが私たちだけだったら、どれだけ凹んだか
知れません。きっと晩ご飯を食べる気力も無かったと思います。
 でも皆さまが、私たちと一緒に嘆き、一緒に怒ってくださったこと、
そして温かく励ましてくださったことに、何よりも救われました。
 改めて、心より感謝申し上げます。

 さて、私たちの戦いはまだまだ続きます。
 来たる5/21(水)には、東京訴訟第二陣の本人尋問期日があります。
 この日は宇都宮大学教授の清水奈々子先生も専門家証人として証言
してくださいます。またその後も尋問期日が続きます。10:00〜16:30
の長丁場ですが、是非、傍聴をお願い致します。

◆今後の尋問期日
 5/21(水)、7/2(水)、9/3 (水)、10/15(水)
  (いずれも10:00〜16:30、103号法廷)

 晴天なら9時半から門前アピール
 昼休みに門前でプチ報告会
 終了後も門前で報告会の予定です

 私たちも頑張ります
 また法廷でお会いできれば幸いです。

.. 2025年05月11日 10:43   No.3230005
++ 小林和博 (小学校中学年)…11回       
東海第二原発運転差止訴訟〜原告団総会に参加して
 | 裁判所が2026年12月の再稼働を指標にして審理
 | 2026年で結審、2027年早期に判決の予定
 └──── 小林和博(原告団賛同人)

 5月24日、茨城県民文化センターにおいて原告団総会に参加してきま
したので報告します。
 まず昨年度の総括として確認しておく点は、
1.防潮堤欠陥工事を法廷の中でも明らかにして工事完了延期に追い
込んだこと、
2.「避難計画不備は人格権侵害の具体的危険を基礎づける」ことを立
証したことです。

 例えば、東海村、日立市の避難計画について避難退域時検査は住民ら
の生命、身体保護のために正確な検査と迅速な避難のいずれも必要であ
り、いずれかを犠牲にすることはできない原子力災害特有の矛盾である
ことを明らかにしたことです。

 次に今後の裁判について、裁判所が2026年12月の再稼働を指標にして
審理しており、2025年は3回の期日により双方の主張を終え、2026年で
結審、2027年早期に判決の予定であることが紹介されました。
 これについてどう対応するかです。

 そして2025年の活動における重要方針ですが、「すべての主張・立証
を準備書面(14)の命題に集約する」となっています。
 つまり「避難計画不備は人格権侵害の具体的危険を基礎づける」とい
うことを、次回第7回(8月)期日以降において住民が被る被害の具体
的実相を訴えていくことになっています。

 さらには、1層から5層防護についても水蒸気爆発の危険性、基準地
震動、火山灰気中濃度、防潮堤の作り直しについて重大な誤りがあるこ
とを立証していくことも課題です。
 これらを実現してくために、裁判傍聴の強化のみならず調査活動、防
潮堤欠陥工事における日本原電や規制委追及、原発いらない-再エネ拡
大を街頭宣伝や司法(最高裁)の追及などさまざまな分野において盛り
上げ、控訴審勝利につなげていくことが問われています。

.. 2025年06月07日 14:17   No.3230006
++ 熊本一規 (大学生)…93回       
上関原発をめぐる裁判に関し、祝島島民の会の裁判を支援する会が
| 証人申請のために本年1月に提出した陳述書を小冊子に
| 小冊子と6月出版の本を紹介 
└──── 熊本一規(たんぽぽ舎アドバイザー)

 そろそろ梅雨入りも近いようですが、いかがお過ごしでしょうか。

 さてこの度、上関原発をめぐる裁判(令和4年(ワ)第70号妨害予防
請求事件)に関し、祝島島民の会の裁判を支援する会が、証人申請のた
めに私が本年1月に提出した陳述書を小冊子にしてくださいましたので、
同封してお送りいたします。
 編集・割付に工夫してくださっていますので読みやすくなっています
し、表紙には、「公有水面埋立法とはなにか?自由漁業とはなにか?海
は誰のものか?これらの問いを持つ全ての人びとに解を示す驚きの陳述
書」ととても興味を引く紹介をしてくださっています。

 大正10年に公有水面埋立法が制定されて以来約百年もの間、埋立免
の効力は絶大であり、埋立免許取得者は他の水面使用を排除して埋立工
事を行えるかのように思わされてきましたが、陳述書は、従来の解釈を
覆す見解を提示していますので、お目通しいただければ幸いです。
 ちなみに、証人申請のほうは裁判所に認められ、本年9月18日に行わ
れることになりました。

◎ 令和4年(ワ)第70号妨害予防請求事件
    原告  中国電力株式会社
    被告  上関原発を建てさせない祝島島民の会
          陳述書     熊本一規
※発行2025年5月27日 25頁   定価 300円

  編集発行/祝島島民の会の裁判を支援する会
     TEL:0834-31-4132    FAX:0834-32-8091 
 
 ◎また、陳述書に示した私見をさらに詳しく展開した拙著『埋立と漁業
の法律問題』を6月下旬に上梓する予定です。

まもなく梅雨入りし、その後猛暑の日々が続くことになりますが、
くれぐれもご自愛ください。
 ご健勝をお祈り申し上げます。

 ※熊本一規さん(たんぽぽ舎アドバイザー)は定期的に
 「権利に基づく闘い」を連載中
  最新は、6月6日発信【TMM:No5208】に「その43」を掲載

.. 2025年06月08日 08:18   No.3230007
++ 山崎久隆 (社長)…1756回       
2025/6・6東電株主代表訴訟高裁判決がもたらすものは何か
 | 原発再稼働を推進する国策におもねった判決だ
 | 1995年1月17日阪神淡路大震災…原発が地震に遭遇する、
 | 具体的な危険性を考えないとやばい…この時点から始まり
 | 2007年中越沖地震によって東電柏崎刈羽原発は日本で初めて
 | 原発が地震の直撃を受けて全停止
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 6月6日の株主代表訴訟高裁判決。既に報道等で、この判決について
様々な論説が出されています。
 概ね、判決に批判的なものが多いように感じますが、この判決の背景
にある問題について深掘りされているものは少ないようです。

◎2011年に至るまでに震災の結果は決していた

 この裁判、「3.11」から始まるのではありません。
 1995年の阪神淡路大震災による甚大な被害がパラダイムシフト(*1)
ともいえる状況の変化をもたらしていました。
 その後、地震と津波に対して、国と事業者が取り組んできたこと。
 その全てが「3.11」に繋がっていきます。

 勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社
長、小森明生元常務の5人が原子力部門と経営に責任を有していた時期
に、東電は世界で初めて原発が地震に遭遇し、大破する経験をしました。
 また、原発から遠くない地点、日本海中部地震(*2)と北海道南西
沖地震(*3)による津波災害を目の当たりにしました。

 地震や津波の発生予想が出来ないことは、当時も今も変わりません。
 だからこそ、「起きるはずがない」「調査は十分してきた」という予
断を持ってはならないことは、原発を運転する責任者には肝に銘じるべ
きことでした。
 いま、判決文についての分析を進めていますが、その前に、判決を聞
いた直後に感じたことを述べておきます。
 当日午後、弁護士会館講堂で報告集会がありました。
 その場で話した内容を書き起こしたものです。
 当時の感情が直接表現されているので、言い回しで分かりにくい点や
正確ではないところもありますが、そのままスクリプト(原稿)を掲載し
ます。

6月6日報告集会で私が語ったこと

◎はじめに

.. 2025年06月10日 05:03   No.3230008
++ 山崎久隆 (社長)…1757回       
 結局、この判決は、国の長期評価をもって、東電が地震・津波対策を
する公的義務があるのかないのか、さらに切迫した津波の襲来を予見で
きたかどうか、そこのほんの入り口の一点だけで、それが成立しなけれ
ばあと全部責任がない、という実にわかりやすいけれど、「そんな馬鹿
な」というストーリーになっていました。

 かつ一番最後に、木納裁判長は、『でもこれは東電の話だけで、今
後、もし過酷事故が起きるとしたら、こんなんじゃすみませんよ』とい
う趣旨のことを、付け足しといいますか、そこのところだけ、大きな声
で読み上げていたことが印象に残ります。結局「これで許してね」と言
わんばかりのそんな判決だったのかな。

 結局のところ、2011年の津波・地震が襲来するまでの間に、東京電力
は本当に予見もできなければ切迫していることも気が付かず漫然と過ご
すことができるような社会情勢だったのか。

◎1995年阪神淡路大震災から始まっていた「3.11」への道

 皆さん思い返してください。
 1995年、阪神淡路大震災が1月17日ですね。これによって6600人以上
の人たちが亡くなるという未曽有の大災害に見舞われました。
 そこには原発はなかったのだけれども、その地震動は、岩盤の上に
立っていたとされる海洋気象台の地下の地震計が800ガルを超えたん
です。

 その瞬間、全国の原発がすべて、「やばい!」という状況に追い詰め
られました。
 なぜならばその時点で基準地震動、当時はS1、S2とか言っていま
したけど、そんな800ガルなんて想定した原発なんてひとつもなかったか
らです。浜岡すら当時650ガルですよ。
 で、その時点から始まるのです。

 この国において原発が地震に遭遇する、具体的な危険性を考えないと
やばいぞ、という話が、その時点から始まってるんですよ。1995年と
いう。
 そして2006年までの間に、耐震設計審査指針を見直すために、当時
は、考えられもしなかった、原発に批判的な地震学者がその会合に参加
して、原発は危険であるということを堂々と国の審議会で述べる、そう
いう事態になっていたのです。

.. 2025年06月10日 05:09   No.3230009
++ 山崎久隆 (社長)…1758回       
 さらにその後に、東電の福島第一・第二、柏崎刈羽の原発の周辺にあ
る活断層が大きな地震、津波を起こす可能性があるという地震学者、津
波学者、変動地形学の学者さんが、次々と論文を発表する時代
だったんですよ。
 そのこともあり、さらに2007年、中越沖地震によって東電は、日本で
初めて原発が地震の直撃を受けて全停止するとともに、冷温停止ができ
るかという瀬戸際に追い詰められたんです。
 それが、東京電力という会社だったのです。

◎取締役に切迫感がないなど、およそあり得ない

 切迫性がないとか、具体的な危険性を予見できなかったとか、そんな
レベルではありません。
 中越沖地震では、もしあの時に、冷温停止に失敗していたら、福島第
一の前に柏崎刈羽原発がメルトダウンしていました。

 そのような危機に見舞われていた東京電力で、さらに日本海溝沿いで
大きな地震が起き、地震だけではなくて津波も襲ってくるということを
警告されたら、普通常識のある人間ならば、中越沖地震の柏崎刈羽が頭
をよぎるでしょう。
 それ、自分のことでしたからね。

 当時武藤さんだって、他の役員だって、責任ある立場にいたんです。
 だからこそ、何とかしなくちゃいけないと、考えなくちゃいけない
し、当時の吉田所長も東電内で、柏崎刈羽原発の後始末をさせられてい
た原子力管理部だったんです。
 そういう人たちがよってたかって、福島第一原発に津波が襲ってくる
まで漫然と過ごしていられると本気で考えていたんですか?

◎東電経営破綻目前で津波対策を先送りしたのは経営判断

 そうではなくて、本当は地震や津波が怖いけれども、それに勝る経営
破綻の寸前にあるから、何とかしなくちゃいけないのはどちらかって、
そっちの方だと、銀行団に説明もしなくちゃいけない、明日になってお
金がないかもしれない、2年連続赤字(*4)ですよ。
 その時点では、とてもじゃないですけど国も原発事故の後に交付国債
発行するなんて、そういう今は非常にお優しい国になってしまいました
が、当時は東京電力の経営に対しても、厳しい姿勢を示していたんです。

.. 2025年06月10日 05:16   No.3230010
++ 山崎久隆 (社長)…1759回       
 したがって、東電はその時点で財政破綻も含めて、経営の危機と、地
震と津波の危機の両挟みになっていて、さあどっちをとるか、そんな判
断をしたわけです。
 とてもじゃないですけど、具体的に切迫する危険性がなかったから会
議したのではありません。

 それよりも、経営破綻寸前というところで原発を止めると電力を他か
ら調達しなくちゃならなくなり、景気も後退していて高い電力を売るこ
とができない。
 そういう経営状態の中で、原発の津波対策を思いっきり先送りしてし
まったんです。

 そのことに全く触れずに、中越沖地震のことも知らないような、そう
いう判決を書かれたのでは、私はこの東京電力に40年近くかかわってい
ますけれども、それは歴史を知らなすぎでしょうと言わざるをえません。

◎「3.11」直前に似てきた東電の経営

 今の状況は、「3.11」前の状況と似ています。東電は経営破綻寸前
です。
 そのような状況の中で、今回の判決が出された。
 それはどんな意味をもつのか。
 問いかけられているのは、今回の判決を出した判事たちであり、その
判決を受け取った日本社会の私たちなのだと思います。

◎終わりに

 この先もコメントは続きますが、繰り返しなどがありますので、スク
リプトの紹介はこれで終わります。
 なお、TBSの報道ステーションで私の発言部分が流れていました
が、部分でしたから、全文を紹介しておきました。

 この判決は、たった一点を認めれば逆転します。
 それは「予見可能性」です。
 大枠として、取締役の主観でしかないことを基礎に、責任がないとい
う結論に導くために書かれています。
 これは、現在14基、今後も柏崎刈羽原発を含め続々と再稼働させる
国の計画、国策に干渉しない判決にしなければならないからです。
 原発裁判はいま、国策対市民の構図になっています。
 それを打ち破らなければ、次の事故は止められません。

〔注〕
*1:パラダイムシフトとは、ある分野において、従来当たり前とされ
  ていた考え方や価値観が根本的に変化することを指す。
*2:日本海中部地震・1983年5月26日秋田県能代市西方沖で発生した
  地震。マグニチュード7.7、地震と同時に津波が発生し、多くの死
  者が出た。
*3:北海道南西沖地震・1993年7月12日北海道奥尻島沖で発生した

.. 2025年06月10日 05:25   No.3230011
++ 山崎久隆 (社長)…1760回       
地震。マグニチュード7.8、日本海側で発生した地震としては近代
  最大規模。奥尻島では最大29mの津波が襲い、甚大な被害をもたら
  した。
*4:東電決算説明会資料より
   2008年度:経常損失 47億円
   2009年度:経常損失 840億円

.. 2025年06月10日 05:34   No.3230012


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