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■--冷酷すぎる最高裁
++ 東京新聞 (社長)…3230回          

冷酷すぎる最高裁 鎌田 慧(ルポライター)

 最高裁第3小法廷は先月25日、97歳、鹿児島県の介護施設で寝たっき
り、原ロアヤ子さんの再審請求を棄却した。
 これまで地裁や高裁が再審決定しても、検事の抗告を受けた最高裁が
認めなかった。
 しかし、今回は4対1。5人の裁判官のうち1人が棄却に反対した。
 なぜ4人の裁判官は97歳の女性を救おうとしなかったのか。弁護団は
「最高裁判事の矜持を疑う」とのコメントを出した。最高裁は「人権救
済の最後の砦」であり、市民に希望を与える拠り所ではないのか。

 「大崎事件」は、酒に酔って帰宅したアヤ子さんの義弟が、道路脇の
溝に転落、負傷して死亡していたことから始まった。犯罪性のなかった
事故死だったが、アヤ子さんの夫やその弟などが連続逮捕された。彼女
は逮捕されても45年間、一貫して無実を主張してきた。

 「再審開始決定すべきだ」と、今回の決定に1人だけ反対意見だった
宇賀克也裁判官は、新証拠の遺体写真を採用、「殺人事件であることの
直接証拠は皆無」とした。
 原口さんの共犯とされ、有罪が確定した親族3人の自白を「精神的な
プレッシャーによる虚偽の自白」と判断した。

 今まで地裁や高裁で再審開始決定が3回なされていた経過を見れば、
それだけでも「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則に従
うべきだ。
 冷酷な最高裁を脱却してほしい。
        (3月4日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
.. 2025年03月11日 08:27   No.3206001

++ 東京新聞 (社長)…3231回       
恐怖と侮辱の原発社会
                    鎌田 慧(ルポライター)

 あれから14年。福島原発事故直後の反省を忘れ「原発を最大限活用す
る」と強弁、同じ過ちを犯そうとしている政府の鈍感さには憤りを感じ
させられる。
 亡くなる前、 大江健三郎さんは事故後の再稼働を「恐怖と侮辱」と言
い、坂本龍一さんは「野蛮」と批判していた。ともに「さようなら原
発」運動を呼びかけた集会での発言だ。

 能登半島の用地買収が進んでいた珠洲原発は、住民の反対運動に
よってようやく救われた。もしも原発が完成、稼働していたら地震に直
撃されて、目を覆う悲惨な状況になっていた。その想像力が岸田文雄前
首相、石破茂首相にはない。
 事故以外でも、原発が不合理な存在であるのは、子孫に危害を与え続
けることだ。原発解体後の始末も難しいし、放射性廃棄物の行き場も
ない。

 たとえば、青森県六ケ所村の「核燃料サイクル」の例をひとつ見るだ
けでも絶望的だ。中心の再処理工場は1993年に着工したが、32年たって
も完成していない。
 2009年、高濃度の放射性廃液がガラス固化建屋に漏れ、人間が中に入
れない状態に。完成延期を言い続け、すでに27回。当初、予定の建設費
7千億円がいまは3兆円。消費者の電気料金に」のしかかる。
 8日、代々木公園で「さようなら原発集会」を開催。
 11日は午後2時経産省前、同6時45分東電前で集会があります。
        (3月11日「東京新聞」朝刊25面「本音のコラム」より)


.. 2025年03月13日 08:25   No.3206002
++ 東京新聞 (社長)…3232回       
これでいいのか予算修正
  防衛費の無駄を削って教育、福祉、医療などに回すべき

        前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 2025年度予算案が修正され、日本維新の会の賛成を得て衆議院を通過
した。高校生への就学支援金は、民主党政権時代と同様に所得制限をな
くし、私立高校生に対する支給上限額は一律45万7千円とすることに
なった。
 例えば4人家族で年収1千万円の世帯に私立高校に通う生徒がいると
して、その年間授業料が50万円だとすると、現在は所得制限に該当する
ので全額が家計の負担だが、2026年度からは4万3千円の負担で済むこ
とになる。

 一方、年収200万円の世帯の公立高校生はこれまでも全額無償だったか
ら変化はない。高校無償化に関する限り、この予算修正は富裕層に有利
に働き、格差を広げるということは知っておく必要がある。
 修正予算案に賛成しなかった国民民主党は、103万円の「壁」を一律
178万円に引き上げる減税策にこだわり続けているが、これも富裕層に
より有利に働く政策だ。
 格差を広げる政策に多くの国民が賛成するのは、その中身を十分理解
していないからではないか?

 高額療養費の白己負担上限額の引き上げが凍結されたのは結構なこと
だが、第1、第2、第3野党はいずれも防衛予算に切り込もうとしない。
 防衛費の無駄を削って教育、福祉、医療、生活インフラ整備、被災者
支援などに回すという修正案がなぜ出てこないのだ?
 トランプが怖いのか?
(3月9日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)

.. 2025年03月13日 08:31   No.3206003
++ 共同通信 (課長)…168回       
原発運転延長、取り消し認めず 高浜、美浜の3基、名古屋地裁

 運転開始から40年を超える関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜
町)と美浜原発3号機(同県美浜町)の運転期間延長を認めた国の審査
は不当だとして、福井、愛知両県などの住民が延長認可の取り消しを求
めた2件の訴訟の判決で、名古屋地裁(剣持亮裁判長)は14日、いずれ
も原告側の訴えを退けた。
 高浜1号機は1974年、2号機は75年、美浜3号機は1976年に営業運転
を開始。
 2011年の東京電力福島第一原発事故後にできた新規制基準に基づく審
査に合格し、2016年に最長20年間の運転延長が認められた。
 訴訟では、原子炉の劣化状況を審査する基準の合理性などが争点と
なった。            (3月14日15時44分「共同通信」より)

.. 2025年03月15日 09:21   No.3206004
++ 週刊新社会 (中学生)…34回       
沈思実行(229)
  下北核半島の現在 (下)
  石破首相も英国のようにプルトニウムは
  「ゴミとして廃棄」というべきだ          鎌田 慧

◎ 青森県六ヶ所村の歳入の7割以上を固定資産税などが占める、とす
る福田進治・弘前大学教授の論文(「青森県の経済と核燃マネー」、『
原発・核燃と地域社会』北方新社)を前回紹介した。全国9電力と日本
原子力発電が共同出資している、日本原燃(資本金4千億円、社員3千
人)の本社が置かれ、核燃料サイクルの完成を目指している。
 しかし、使用済み核燃料再処理工場は、1993年4月に着工したが、試
運転に失敗したまま。
 それでもこの会社の固定資産税と電源三法交付金などによって、
六ヶ所村は地方交付税の不交付団体である。

◎ 核燃サイクル施設の建設は、低レベル放射性廃棄物の永久処分場か
ら始まったが当初は濃縮ウラン工場も含めて1兆円、この内、再処理工
場は7600億円と言われていた。
 しかしすでに再処理工場だけで3兆2100億円も費消した。

◎ 再処理工場が存在するだけで、政府からカネが流れてくる。その秘
密は政府の原発政策の宣伝塔だからだ。
 使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出します。そのプルト
ニウムMOX燃料にして、また原発で発電します。その「夢の増殖炉
もんじゅ」も廃炉、核燃料サイクル構想が破綻しても、政府はまだプル
トニウムにこだわっている。

◎ 「英、プルトニウム地下廃棄へ 再処理後の100トン超『資産』から
一転」(「朝日新聞」2月2日)。
 英政府は、これまで「資産」としてきた、民生用プルトニウム100
トンを、地中に埋めて廃棄する方針を発表した。これは画期的な決定で
ある。
 原爆の原料であるプルトニウムは、日本でも英国に再処理を委託した
21.7トン、フランスへの委託分14.1トン、国内に8.6トン。合計44.4
トンを所有している。プルトニウム原爆で5千5百発分以上である。

◎ さすがの軍備強化一本槍の石破茂首相も、まだ核武装とまでは言わ
ないが、「資産」「運用」などと言わず英国に倣って「廃棄」と明確に
言うべきだ。

◎ ただ、活断層まみれの日本の場合、埋める場所はどこにもない。
 下北半島が狙われるのだろうか。
            (2月19日発行「週刊新社会」1391号

.. 2025年03月15日 09:26   No.3206005
++ 東京新聞 (社長)…3233回       
「福島原発の近く、放射線やはり不安」
  常磐線運転士の「被ばく線量」大丈夫? 
  自主測定の結果とJRの消極対応
JRが用意した機器は100μSv未満を測定できず「意味がない」

東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)付近を走るJR常磐線の
運転士や車掌について、JR東日本が十分な被ばく管理をしていないこと
が分かった。労働組合の自主測定では、年間の被ばく線量は国際放射線
防護委員会(ICRP)が勧告する上限には達していないものの、運転士ら
からは不安の声が上がる。だがJR東日本は、労働組合が求める低線量の
被ばく管理には消極的だ。(宮尾幹成)

 2025年3月14日。福島第1原発事故後、9年間にわたり不通となって
いた常磐線の富岡(富岡町)〜浪江(浪江町)間は、2020年3月14日の
再開から5年が過ぎた。線路や駅周辺の避難指示は解除されたが、沿線
には放射性物質による汚染で人が住めない「帰還困難区域」が多く残さ
れている。
 JR東日本が富岡〜浪江間に設置する空間線量計は、現在も毎時1μSv
(マイクロシーベルト)前後を示す。東京都内の空間線量が毎時0.03〜
0.04μSv程度で推移しているのに比べれば、依然として高い数値だ。
 JR東日本やJR東日本輸送サービス労働組合への取材によると、JR東日
本は社内文書で、原発近くの屋外で設備点検や修繕工事に当たる作業員
の年間の追加被ばくを1mSv(ミリシーベルト)=1000μSv以下とする
目標を掲げている。原発作業員や放射線技師などを除く一般公衆の被ば
くを年1mSv以下に抑えるとするICRP勧告に基づくものだが、この区間
を通過する運転士や車掌は対象外だ。
 JR東日本は運転士や車掌にも、ガラスバッジと呼ばれる積算線量計を
携行させている。だがこれは、原発作業員などが使う、比較的高い線量
を測るタイプ。100μSv未満の低線量は測定できないため、運転士らは
「いつもND(検出限界未満)としか表示されず、意味がない」とこぼす。
(後略)

(注)[交通機関の乗務員では、航空機のパイロットや客室乗務員は
宇宙からの放射線による被ばくが避けられないことから、国は各航空
会社に年間の追加被ばく限度を5mSv以下とするよう求めている。
一方、鉄道の乗務員については、こうした対応は行われていない

.. 2025年03月16日 08:48   No.3206006
++ 茨城新聞クロスアイ (小学校高学年)…25回       
東海第二原発 相次ぐ火災「信頼失う」 2年半で11件 茨城

◎ 日本原子力発電(原電)東海第二原発(茨城県東海村白方)で火災が相
次いでいる。2022年9月以降に11件が集中し、今年2月には原発の要の
中央制御室で発生した。
 村議会は14日、全員協議会(全協)を開き、原電担当者から、調査状況
などを聴取した。県や村は人的ミスとみて「県民の信頼を根幹から揺る
がす」「深刻な案件」と、原電の防火意識の低さを厳しく批判。

 山田修村長は出火原因の対応次第で「再稼働にも影響が出る」と指摘
するなど、地元の安全への懸念は強まっている。
 この日の全協では、議員側からは、火災が頻発する現状に「火災のた
びに取ってきた対策の効果はあったのか」「頻発する根本的な理由は何
か」など、原電の対応を厳しく問う声が相次いだ。原因の徹底的な究明
や再発防止を求めるとともに、住民への丁寧な説明を求める声も出た。

 原電の担当者は「多大な心配をおかけし、お詫びする」とした上で、
「社を挙げて、今まで取り組んできた改善策で何が不足しているか検証
し、さらなる安全管理を徹底するための措置も検討する」と述べた。

◎ 2月4日、東海第二の中央制御室で、制御盤からこぶし大の炎と煙
が出たのを原電社員が発見、消火器で消した。制御盤の内部に高さ約10
センチ、幅約30センチ、奥行き約15センチの範囲で焦げ跡ができ、黒い
すすが付いた。
 制御盤は原発運転時、管理区域内にある中性子線の量や分布を計測す
るセンサー(中性子検出器)を動かす装置を管理するもの。原電は出火当
時、制御盤の弁の作動試験を行っていた。

 出火原因について原電は作動試験の際、交換したヒューズの通電時間
が長すぎたため、制御盤の抵抗器に発熱が生じたと推測する。
村松衛社長は、事前の点検手順の確認不足や社員間の引き継ぎ不足な
どがあった可能性もあるとした。

.. 2025年03月18日 05:40   No.3206007
++ 茨城新聞クロスアイ (小学校高学年)…26回       
◎ 東海第二では2011年7月、廃棄物処理建屋で低レベル放射性廃棄物
を溶かす作業中に火災が発生。同12月にはケーブルが焦げ、2014年12月
には溶接作業で生じた火種が落ちて給気フィルターが燃えた。
 2022年9月以降は屋外に設置した変圧器が出火したのを皮切りに、同
年に2件、23年に5件、24年に3件と相次いだ。特に2023年10月31日〜
11月9日は10日で3件が発生。県や村は2022年12月と2023年11月、それ
ぞれ原電を厳重注意して「組織風土を含めて見直す必要がある」と改善
を求めていた。
 原電は2024年12月、新たに責任者を置き、防火に関する活動を全社間
で連携するとした再発防止策を発表。その矢先に発生した中央制御室の
火災に、大井川和彦知事は「意識の緩みが中央制御室の火災につな
がっている」と厳重注意の文書を村松社長に直接手渡した。

◎ 県と同様に厳重注意をした山田村長は「今後どういう体制で安全管
理を徹底するか(原電に)答えてほしい」と強調。
 再稼働については「信頼される会社として評価されるための姿勢や努
力が、どう示されるかに懸かっている」と述べた。
              (3月15日「茨城新聞クロスアイ」より)

.. 2025年03月18日 05:45   No.3206008
++ 共同通信 (課長)…169回       
東電、再建計画を一部改定 柏崎刈羽、1基稼働想定

 東京電力ホールディングスは17日、福島第一原発の廃炉と賠償の費用
確保を目的に策定している経営再建計画を一部改定した。
 2026年3月期の収支に関し、柏崎刈羽原発(新潟県)が1基再稼働し
た想定で経常利益が1181億円になると見通した。経済産業省が同日認定
した。
 再建計画は「総合特別事業計画(総特)」。
 東電は2024年度内に抜本的な改定を目指していたが、柏崎刈羽の再稼
働時期が不透明なため、2025年度に持ち越した。
                   (3月17日「共同通信」より)

.. 2025年03月18日 05:50   No.3206009
++ 東京新聞 (社長)…3234回       
 ◆妻は職業を諦めろ?
  日本は「女性の地位後進国」

前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 14日の本紙タ刊によれば、宮崎産業経営大で男性教授と女性助教が結
婚したことを理由に、女性助教が雇い止めを通告されたという。学園側
は「夫婦共稼ぎはご遠慮いただく不文律がある」と言っているそうだ
が、そんな人権侵害の不文律に存在の余地はない。

 かつて一部の教育委員会で、夫婦とも教員の場合に、夫が管理職に
なったら妻は依願退職するという不文律が存在していた。そんな陋習(ろ
うしゅう)は、さすがに今はなくなっでいると信じたいが…。
 ちなみに文部科学省にはそんな不文律はない。夫婦とも局長になった
例もある。

 しかし、職業を持つ女性が夫や家族のために白分の職業生活を諦める
のは当然だという観念は、日本社会のあちこちにまだ残っている。
 そんな古い観念を、道徳教育を通じで再生産しようとする人たちもい
るのだ。

 日本教科書という会社がつくった中学生用道徳教科書には「ライフ・
ロー ル」という題の教材が載っている。
 祖母の介護について、夫婦と子どもたちで話し合った結果、妻が介護
することを決め、職場での管理職への昇進を諦めるという話だ。
 ライフ・ロール(人生の各局面で担うべき役割)に名を借りて、女性
は家族のために職業を諦めるべきだという考えを生徒に植え付ける。
 こんな教科書を書く人たちがいる日本は、やっばり「女性の地位後進
国」だ。    (3月16日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)

.. 2025年03月18日 05:58   No.3206010


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