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■--東電刑事裁判、最高裁の上告棄却決定に抗議する声明
++ 福島原発告訴団 (小学校低学年)…6回          

東電刑事裁判、最高裁の上告棄却決定に抗議する声明
 | 被害者を踏みにじり、次の原発事故を準備する最高裁を許さない!
 └──── 2025年3月6日 福島原発告訴団
               福島原発刑事訴訟支援団

 東京電力福島第一原発事故の刑事責任を問う東電刑事裁判において、
最高裁判所第2小法廷(岡村和美裁判長)は3月5日付で、業務上過失
致死傷罪で強制起訴された武黒一郎、武藤栄両被告について、検察官役
の指定弁護士の上告を棄却し、1〜2審の「無罪」の判決を維持する決
定をしました。

 最高裁第2小法廷は、三浦守裁判官を除く裁判官3人(岡村和美裁判
長、草野耕一裁判官、尾島明裁判官)全員一致として「業務上過失致死
罪の成立に必要な予見可能性があったものと認定できず」「発電所の運
転停止措置を講じるべき業務上の注意義務が認められない」とし、被告
人を無罪とした第1審判決を是認した原判決の判断は「不合理な点があ
るとはいえない」と最悪の決定をしました。

 私たちは、東京電力との深い関係にある草野耕一裁判官が裁判の公正
を妨げると考え、事件の回避を求めてきましたが、3月21日の定年退官
の直前の判断に強い憤りを禁じえません。
 一方で、2022年、東電民事裁判の最高裁6.17判決で、少数意見を書
いた三浦守裁判官が事件を回避したことにも驚きました。

 そもそも、第1審判決は、地震本部の長期評価に基づいて東電設計が
算出した15.7mの津波高をもとに、東京電力が常務会で津波対策を承
認していながら武藤らによって先送りした事実が公判で明らかになり、
予見可能性は十分立証されたにもかかわらず、東京地裁永渕健一裁判長
が握り潰した不当判決でした。

 この最高裁の決定は、本件の双葉病院から避難の途中で亡くなった被
害者とその遺族をはじめ、万余の人々の生活と人生を壊した、日本最大
の公害事件である福島第一原発事故の全ての被害者と被災者を踏みにじ
るものです。

 さらに、人災事故を引き起こし、国民の生命と財産を窮地に陥れ、甚
大な被害をもたらしながら、原子力発電事業者は何らの責任も問われず
免責されるという法的前例をつくり、むしろ、新たな原発事故を準備す
るものです。
 決して許されるものではありません。満腔の怒りをもって抗議するも
のです。
.. 2025年03月08日 07:34   No.3204001

++ 福島原発告訴団 (小学校低学年)…7回       
 私たちは、2012年、福島原発告訴団を結成し福島地検に告訴して以
来、事件が移送された東京地検における不起訴処分と検察審査会の起訴
議決を経て、市民の力で強制起訴を勝ち取り、2016年の福島原発刑事訴
訟支援団結成、2017年から東京地裁の37回の公判の中で多くの真実を明
らかにしました。
 2019年東京地裁の不当判決。2021年からの控訴審と2023年の控訴審判
決、さらに2023年から2024年にかけての最高裁で上告審と13年にわたる
道のりでした。

 私たちは、改めて無念の死を遂げた被害者、その遺族、そして被災者
の14年の想い、これまでの道のりの中で鬼籍に入られた多くの方々の想
いを、決して忘れることはできません。

 私たちは、兄弟姉妹関係の東電株主代表訴訟はじめ、全国で裁判を続
ける仲間の皆さん、各地に生きる原発事故被災者の皆さんと共に、今も
続く過酷な福島原発事故の被害に真摯に向き合い、原子力行政におもね
る司法をも変えるためにも、これからもあきらめずに活動を継続して参
ります。

.. 2025年03月08日 07:39   No.3204002
++ 松原 明 (幼稚園生)…4回       
3/12レイバーネットTV・第211号放送
 | 「あれから14年 原発避難者の苦しみとフクシマの現実」
 └──── 松原 明(レイバーネットTV)

放送日:3月12日(水)19:30より20:40(70分放送)
テーマ:「あれから14年 原発避難者の苦しみとフクシマの現実」
・ゲスト
 鴨下美和さん
  (いわき市から東京都への避難者/福島原発被害東京訴訟原告団)
 鴨下全生さん(大学生)、飛田晋秀さん(社会人カメラマン)
・司会 堀切さとみ
 配信場所:「たんぽぽ舎(東京・水道橋駅西口4分)
https://www.tanpoposya.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
*今回は、脱原発運動の拠点「たんぽぽ舎」の新事務所からの放送です。
 ぜひ直接、見に来てください。ギャラリー参加費:500円
 連絡先:松原 明 mgg01231@nifty.com

 東電福島第一原発事故から14年がたったが、「緊急事態宣言」は続い
たまま。
 今も放射線管理区域の基準を超えたままの地域は多い。
 しかし国は次々と避難指示を解除し、原発周辺地帯に住民を住まわせ
ている。
 この2月、東京高裁で、ある裁判の控訴審が行われた。
 被告は、東京都の国家公務員住宅に、家族4人で避難していた鴨下
祐也さん。
 いわき市にある自宅の放射能汚染は依然として4万ベクレル/平方mを
上回る危険な状態だ。
 しかし、国と福島県は、区域外避難者への住宅提供を打ち切り、避難
住宅で避難を続ける鴨下さんを、なぜか東京都を使って提訴させたのだ。
 被害者に損害賠償請求するという異常な裁判の中で、鴨下さんは「被
ばくを回避する手段を、これ以上奪わないでください」と訴えている。
 家を追い出し、訴訟まで起こして、どこまで避難者を苦しめれば気が
済むのだろうか。
 レイバーネットTVでは、鴨下さん親子と、原発周辺の放射能測定を
続けるカメラマン・飛田晋秀さんをゲストに、原発避難者が背負わされ
たものと、マスコミが伝えない福島の現実を伝えていきたい。

.. 2025年03月08日 07:47   No.3204003
++ 尾崎憲正 (幼稚園生)…4回       
見えない憲法改正(あるいは、<権力の番犬>の誕生)
 | 「権力におもねる裁判官は自在に職権を行ふことができる。」と
 | 見えないインクで記されている
 └──── 尾崎憲正(香川県在住)

◎ 最近になって憲法9条改正の話題が背景に後退する一方、水面下の
見えない所で密かに76条の改正が行われたようです。
 このように断言することは無謀だと非難されるかも知れませんが、沖
縄の基地問題や各地で闘われている原発に起因する訴訟の結果などを見
ると、憲法76条は変えられたと結論しても間違いなさそうです。

◎では具体的にはどのような改正が行われたのかと言うと、76条第3
項の「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この
憲法及び法律にのみ拘束される。」の後に、第4項が設けられたのです。
 この第4項は、「前項の規定に拘わらず、権力におもねる裁判官は自
在に職権を行ふことができる。」と、この国の主権を持つ国民には見え
ないインクで記されているのです。

◎辺野古基地建設に関わる沖縄県と国との裁判においても、福島第一発
電所の事故を発生させた東電役員に対する刑事責任を追及する訴訟にお
いても、また事故に伴う放射線障害の謝罪と補償を求める裁判において
も、各地で提訴された原発の運転停止を求める夥(おびただ)しい数の訴
訟においても市民の側が勝利を得たものは殆ど皆無と言える状況です。

◎憲法9条を変えることは私たちの社会とこの国が堅持してきた平和主
義を捨てることに繋がり、非常に危険な企てです。
 当然のことながら、平和を守りたい国民の激しい抵抗を呼び起こし
ます。
 しかしながら、憲法76条第3項の後に見えないインクで「前項の規
定に拘わらず、権力におもねる裁判官は自在に職権を行ふことができ
る。」と書き加えることで、権力者は国民に気づかれることなく何でも
できるようになります。

◎権力者は何をやっても責任を問われません。
 戦争でも、原発推進でも、CO2の排出増加でも、増税や福祉の切り
下げでも、民族浄化の手助け、米軍と一体的な海外侵略でも、およそ考
えられるものは何でも可能です。
 市民の抵抗を受ける9条に手を付ける必要はないのです。そもそも狡
い権力は肥大化、悪質化し、ついには腐敗するものです。

.. 2025年03月13日 08:15   No.3204004
++ 尾崎憲正 (小学校低学年)…5回       
◎四国には弱小ながら原発事業を展開する電力会社があり、運転開始後
約30年の原発を運転しています。
 この会社を相手に松山、広島、大分、山口の裁判所で原発の運転差止
裁判が起こされています。
 大分では第一審が住民側敗訴で控訴審が福岡高裁に移り、広島でも地
裁判決で住民側の敗訴となりました。
 この2つの裁判は原告側が緻密な理論と証拠を積み上げて弁論を展開
したのに対して、被告側は殆ど反論もできないにも拘らず、原告側が敗
れました。

◎過去には「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を
行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と76条第3項にあるよ
うに、裁判官は<司法の番人>と思われていましたが、「前項の規定に
拘わらず、権力におもねる裁判官は自在に職権を行ふことができる。」
と4項が見えないインクで書き加えられた現在は、多くの痩せ衰えた<
権力の番犬>が生まれたと考えられます。

.. 2025年03月13日 08:20   No.3204005
++ 山崎久隆 (社長)…1736回       
どんどん後退する日本の司法
 | 原発安全神話におもねる姿勢に復帰  (上) (2回の連載)
 | 「国の原発推進政策に呼応した司法は問題」
 | 「科学的根拠とリスク評価の判断基準の劣化」
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

1.国の原発推進政策に呼応した司法は問題

 東日本震災から14年を前に、立て続けに原発に関連した司法判断が出
された。
 しかしそれは、全て国の原発推進政策に大転換した行政に追従する司
法の姿勢を見せつけるものだった。
 いったい何が起きているのか、解読してみよう。

 司法判断は次の3つ。
◎川内原発差止訴訟判決(2月21日)
◎伊方原発差止訴訟判決(3月5日)
◎東電元副社長の刑事裁判無罪決定(3月6日)
 これらの共通する判断根拠について、どう考えたら良いのだろうか。

2.科学的根拠とリスク評価の判断基準の劣化−
  裁判所は被告(東電)の主張を支持

 東電福島第一原発事故に関連し、業務上過失致死傷罪で強制起訴され
た旧経営陣に対する裁判では、検察側(指定弁護士)と被告側の主張に
ついて、最終的に裁判所は被告側(東電)の主張を支持した。

 以下に、両者の主張と裁判所の判断を詳述する。

 津波の予見可能性について、検察側は2008年から2009年にかけて、政
府の地震調査研究推進本部(地震本部)が公表した「長期評価」に基づ
き東電は、最大15.7mの津波が福島第一原発を襲う可能性を試算してい
たと指した。
 この試算結果は、当時の経営陣に報告されていた。

 したがって検察側は、経営陣は津波リスクを予見し、防止措置を講じ
る義務があったと主張した。
 この適切な対策を怠った結果、2011年の東日本大震災に伴う地震と津
波で原発事故が発生し、避難中の双葉病院の患者ら44人が死亡するなど
の重大な被害が生じた。これらは経営陣の過失によるものである。

 一方、被告側の主張は、まず長期評価の信頼性について、長期評価が
科学的根拠の不十分なもので信頼性に欠けると主張した。
 そのため、この評価に基づいて具体的な対策を講じる義務は東電経営
陣にはなかったとした。
 なお、予見可能性の否定に関しては、当時の科学的知見や技術的限界
から、15.7mの津波を具体的に予見することは困難であり、したがって
過失は成立しないと主張した。

.. 2025年03月20日 07:20   No.3204006
++ 山崎久隆 (社長)…1737回       
 最高裁の判断は、まず長期評価の信頼性と予見可能性では、政府の
「長期評価」について「信頼度も低く、10mの高さを超える津波が襲来
する現実的な可能性を認識させる情報だったとまでは認められない」と
判断した。
 これで事故の予見可能性は否定され経営陣を無罪とした一、二審判決
を支持する結果となった。

 科学的根拠の信頼性やリスク評価の判断基準が刑事責任の有無に直結
することを示した今回の判決は、今後の原発事故への対応や防災体制全
体についても大きな後退を意味することになり重大である。

 このほか、川内原発、伊方原発差止訴訟の判決でも、同様に予見可能
性の是否について判断されているが、基本的には事業者の想定に加え、
規制委が行った再稼働申請時の新規制基準適合性審査を経ていること
で、科学的根拠をもって運転しているから問題がないとしている。

 裁判所は、自ら原発のリスクを評価し、そのリスク評価が法的に許容
される範囲内であると判断しなければならないところ、結局、規制委な
どの判断により基準を満たせば運転出来るとし、最高裁に至っては原発
事故に際しても地震本部の長期評価に予見可能性がないため、津波に対
する災害防止対策を行う義務は生じなかったとした。これでは、あまり
にも事業者寄りの判決である。

3.「原子力規制法制」の明確性に関する後退

 日本では原発の運転や事故時の責任について規定がある。
 以下に、関連する法律との関係を整理する。

◎原子力基本法−原子力を安全保障と絡めてエネルギー安保だけでなく
        軍事利用への道にも

 原子力利用を「平和目的に限る」と定め、研究・開発・利用に関する
基本原則を示す。
 事故対応や責任についての直接的な規定は原子炉等規制法(炉規法)
で規定しているので存在しない。
 第2条の基本方針では「安全の確保については、確立された国際的な
基準を踏まえ、国民の生命、健康および財産の保護、環境の保全並びに
我が国の安全保障に資することを目的として行うものとする。」とする。

.. 2025年03月20日 07:30   No.3204007
++ 山崎久隆 (社長)…1738回       
 しかしこの条文には大きな問題がある。
 第一に原子力推進を前提としており、原子力安全規制の基盤となる規
定というよりは原子力推進の意味合いが強いため「安全」と「稼働の是
否」との衝突が起きた場合の優先度が明記されていないため行政・事業
者よりになりがちだ。
 第二に、原子力を安全保障と絡めており、エネルギー安保だけでなく
軍事利用への道にも繋がる。 (下)に続く
          (初出:2025年3月発行「たんぽぽ舎ニュース」)

.. 2025年03月20日 07:37   No.3204008
++ 井戸川克隆 (小学校低学年)…6回       
東電原発事故は事故発生前から発電所周辺自治体
 | 及び住民にウソをついていた
 | 判決は7月30日(水)−東京地裁
 └──── 井戸川克隆(井戸川裁判 福島被ばく訴訟原告)

 東電原発事故は原告に対する反乱と言うもので、事故発生前から発電
所周辺自治体及び住民にウソをついていたことを、大津波という自然現
象がウソを露見させたのです。
 事故発生後、被告国と被告東電は優越的地位を悪用して、地元自治体
を事故対応から排除して、加害者の東電と国が自己の真因を滅却して、
世論を騙し被害者の権利を矮小化して被害がなかったかのように装い、
国民の税金を使い廃炉を産業化して、被告東電は焼け太りをしている有
様です。

 これを知っている原告井戸川克隆は、去る平成27年5月東京地裁に提
訴して、ウソと偽証を暴き、事故の真実を法廷の場で10年間闘ってきま
した。
 去る2月5日結審しましたので、これまでのご支援に感謝し、お礼申
し上げます。
 なお、判決は来たる7月30日(水)です。

.. 2025年03月20日 07:45   No.3204009
++ 山崎久隆 (社長)…1739回       
どんどん後退する日本の司法
 | 原発安全神話におもねる姿勢に復帰 (下) (了)
 | 「司法の役割は行政の追認ではない」
 | 「市民の命を第一に考えた踏み込んだ審理が求められる」
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◎原子炉等規制法及び原子力規制委員会設置法

 原発の設置や運転に関する安全規制を具体的に定めている。事業者に
対しリスク評価や安全対策の実施を義務付ける条文がある。
 第23条で安全対策の基本原則を示し、原子炉の設置者や運転者が遵守
すべき安全対策の基本原則が定められている。具体的には「リスク評価
の実施」として、事業者は原子炉の運転に伴うリスクを評価し、その結
果に基づいて必要な安全対策を講じなければならない。また「安全対策
の実施」として、事業者は原子炉の安全を確保するために必要な技術
的・管理的措置を講じることが義務付けられている。

 第24条の安全規格の遵守では、原子炉の設計、建設、運転、保守に関
する規格が定められており、具体的には「設計基準」として設計段階で
地震や津波などの自然災害に耐えられるようにしなければならない。
 さらに「建設基準」として、設計基準に従って行った建設の品質管理
を徹底しなければなならない。「運転基準」として、運転においては保
安規定の安全基準に従って行い、定期検査や保守業務を行うことが義務
付けられている。

 さらに第25条の「緊急時の対応」として、原子炉の運転中に発生する
可能性のある緊急事態に対する対応策が定められている。
 事業者は「緊急時対応計画の策定」として、運転中に発生する可能性
のある緊急事態に対応するための計画を策定し、定期的に訓練を行うこ
とが義務付けられている。

 また「緊急時対応設備の整備」として、緊急事態に対応するための設
備を整備し、常に使用可能な状態にしておかなければならない。
 さらに原子力規制委員会設置法では、規制委の役割が定められている。
 規制委は炉規法の規定に基づき安全規制を監督し、安全対策を事業者
が適切に実施しているかどうかを監視することが義務付けられている。

 また、第4条の規制の透明性と公正性では、規制委が行う規制の透明
性と公正性が定められている。
 規制の過程を公開し、公正な判断を行うことが義務付けられている
のだ。

.. 2025年03月22日 06:11   No.3204010
++ 山崎久隆 (社長)…1740回       
 炉規法と規制委設置法は安全を確保するための重要な法律だ。
 事業者はリスク評価や安全対策の実施が義務付けられており、規制委
は規制を監督する役割を担っている。
 ただし、これらの法律をもってしても、予め実施される対策が妥当で
ある保障はない。

 また、大きな地震や津波の際には想定通りの揺れや津波が来る保障も
ない。
 そのため、安全確保のためのマージン(想定津波が6mなら3倍の
マージンを取って18mとか)を確保すべきであり、それが余りにも巨大
になる(例えば20mを超えるなど)の場合は設置不適当と考えるべきだ。

 敦賀2号機のように、新規制基準適合性審査の際に活断層上に重要構
造物を作らないとの規定により再稼働を不可としているのは典型例だ。
 規制委は新規制基準適合性審査を経た原発の安全性を保障しているわ
けではない。
 それは規制委が明確に語っている。
 法律上もそのような規定になっていないことを、伊方、川内の判決で
は無視している。

 刑法の業務上過失致死傷罪や重過失罪などは、業務上の注意義務を怠
り、人命を損なった場合、刑事責任が問われる。今回の場合は最高裁の
判決において審理されるべきものが、されなかった。

4.原発事故を軽視する裁判所の判断−
  原発事故は甚大かつ長期にわたる被害

 最高裁第二小法廷は、刑法の業務上過失致死傷罪で起訴されているが
「原発事故を予見できたか」「適切な対策を講じる義務があったか」が
争点になっていた。

 これについて裁判所の判断は「政府の長期評価(津波想定)の信頼性
が低く、津波を現実的に予見できなかった」として、過失責任を否定し
たうえ「業務上過失致死傷罪」は、個人の刑事責任を問うものであり明
確な義務違反が必要であるが明白な過失は認められなかったとして無罪
としている。

 伊方、川内原発の運転差し止め訴訟での争点は「原子炉等規制法や新
規制基準に基づく安全性」と「原発のリスクが住民の生命・身体に具体
的な危険を及ぼすか」であり、裁判所の判断は「新規制基準は合理的で
ある」「これを事業者がクリアしている以上運転継続は容認される」と
いうものである。

.. 2025年03月22日 06:17   No.3204011
++ 山崎久隆 (社長)…1741回       
 これでは震災前の司法判断に戻ってしまった印象だ。差止めを認めた
過去の判決や決定と比較すると、それがよく分かる。
 原発事故はひとたび起きれば国の存亡に関わる重大事を招くことは、
チェルノブイリ原発事故や福島第一原発事故で明らかである。

 この甚大かつ長期にわたる被害に鑑みれば、原発が安全であるかを国
の審査を通ったからという論理で認める裁判所の判断は極めて安易で不
十分である。
 しかし、最近の差止め棄却の判断は、裁判所が原発の安全性を慎重に
検討した様子は見受けられず、規制委員会の審査通り、被告電力会社の
主張通りに無批判に原発の安全性を認めており、原発事故の可能性を否
定している。

 問題点をまとめると
 「司法の役割は行政の追認ではない」
 「市民の命を第一に考えた踏み込んだ審理が求められる」
 「これを放置すると、再び『安全神話』が構築される危険がある」と
いうことである。 (初出:2025年3月発行「たんぽぽ舎ニュース」)

.. 2025年03月22日 06:25   No.3204012


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