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かつてないほど健康に対する意識が高まっている現在。どうやったら健康的に痩せられるのか、どうしたら少しでも老化を防げるのか、病気にならないために何に気をつけるべきなのか。その答えを求めて、書籍やテレビの特集番組をチェックしたり、インターネットで情報を探したり、友人と情報交換をしたり、熱心な人が増えていると感じます。
また、食事の摂取カロリーを考えることはもちろん、栄養バランスを考えたりジムでの運動を取り入れたり、さまざまな工夫や努力がされています。ただ、努力に相当する効果を実感しているかといえば、それは疑問です。
特にダイエットに関しては、「週4〜5回ジムに行っているのに、まったく痩せないのでやめてしまった」「カロリー抑えめの食生活を3ヵ月ほど続けているのに、体重がまったく変わらない」「若い時ならすぐ痩せたのに、同じことをしてもまったく痩せない」など、あきらめの声を多く聞くような気がします。
ところが、その同じ努力を、ちょっと時間を変えてやってみると、効果が違ってくるとしたら、どうでしょうか。実は、食べる、運動する、休む、といった身体活動が、体のなかでどのような変化につながるのかということは、時間によって差があることがわかってきたのです。
2017年に3人のアメリカ人科学者がノーベル医学生理学賞を受賞したことで注目されたのが、体内時計を司る時計遺伝子のメカニズムです。この時計遺伝子の働きが複雑に絡み合い、体のなかで時間によって違う作用が起こるという、そのしくみが少しずつ解明されてきているのです。
つまり、同じ人が同じものを食べても、1日の中でいつ食べたかによって太りやすくなったり痩せやすくなったり、血圧が高くなったり変わらなかったり、と違う反応が起こることがあるわけです。
また、ヒトには早起きが得意な朝型タイプ、夜更かししても眠くならないような夜型タイプ、どちらともいえない中間型タイプがいますが、それも時計遺伝子がかかわっていて、食事の時間や内容によって、タイプが変わることもあるのです。
食べることで朝型、夜型に影響し、朝型か夜型かによって太りやすさが変わる(いくつかの他の要因が絡む場合もありますが)など体への影響を及ぼす、つまり相互に影響しあっているのです。このようなことを研究するのが「時間栄養学」です。
.. 2025年03月02日 09:01 No.3202001
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