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矢ヶ崎克馬『放射線防護の科学と人権』−国際放射線防護 | 委員会は市民に放射線被曝を受忍させ健康と命を奪い続けている | 【書籍紹介】 └──── 上岡直見(環境経済研究所代表)
◎ 矢ヶ崎克馬氏が2024年12月に刊行した最近の著書である。 よく知られるように、矢ヶ崎克馬氏はこれまでも、原爆から福島第一 原発事故に至るまで、放射線の人体に対する被害について多くの専門的 な情報を発信してきたが、正直なところ私(上岡)も、専門的な記述を 単発的に読むと全体像がよくわからない。 しかも、さまざまなできごとの時間的関係が前後した記述を個別に読 むとさらにわかりにくい。
その点、この本では、記述がおおむね時間的経過に沿って並べられて いるので改めて知識を整理することができる。 さらに専門的な情報が必要ならば、多数の引用文献が巻末に掲載され ているので、それを参照することができる。
☆出版社ウェブサイトより紹介文
原爆投下による「放射性降下物は極少だった」とする米国の核戦略に より、放射線被曝分野では、戦後一貫して内部被曝の隠蔽に政治も科学 も総動員され、内部被曝を無視した被爆者援護法は巨大な差別を生み出 した。さらに東電福島原発事故では、国際放射線防護委員会(ICR P)に追随する政府は放射線被曝を受忍させ、若者に多数の甲状腺がん が発症しても因果関係を認めない政策をとっている。政府は事故後の死 亡者数や健康被害を明らかにすべきである。本書は、ICRPをはじめ 国際原子力ロビーが「被曝の現実を知らしめない」ために構築されてき た虚偽の世界を、科学的・人権的な原点に立って批判し、放射線防護の 在り方を提言する。
矢ヶ崎克馬『放射線防護の科学と人権』緑風出版, 2024年12月
.. 2025年01月30日 05:26 No.3178002
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