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トランプ次期大統領が「金正恩の囁き」に飛びつく可能性 中国と米国が結んだ休戦協定を自分も米国と結びたい 永田町の裏を読む〈連載 570〉 ジャーナリスト高野孟 先週、朝鮮総連の旧知の元幹部と懇談する機会があったので、来年は 早々に朝米首脳会談を実現し、その場で金正恩からトランプに「朝鮮 半島の和平と非核化を実現し、ノーベル平和賞をもらおうじゃないか」 と持ちかけるべきだと提言した。 北朝鮮が経済苦境の中でも核開発を進めているのは、金正恩が頭が 狂った独裁者であるからではない。彼はむしろ極めて冷静な戦略家で あって、第1に、韓国軍が米軍の支援を得て突如として38度線を突破 して北に陸上侵攻するというシナリオは今では全くあり得ず、従って それを北朝鮮軍 100万歩兵の人海戦術で押し返し勢いに乗ってソウルに 殺到すると言う先祖伝来の北側の作戦シナリオも、もはや意味をなさ ないことをよく知っている。 第2に、しかし、米軍が、イスラエルがイランの核施設に対して行お うとしているピンポイント爆撃や、米海軍特殊部隊がビンラディンに 対して行ったような金正恩の”斬首“作戦は実施される可能性がある ので、十分な備えをしなければならないと、彼は考えている。 第3に、そのような場合のほか、何らかの偶発的な要因により北と 米韓との全面的な戦闘になることもあり得ないではなく、その際に米軍 は戦術核兵器の使用に踏み切る公算が大きい。それを防ぐには、北が 韓国、日本、グアムにある米軍基地を叩ける短・中距離ミサイルのみ ならず、米本土に撃ち込める戦略核ミサイルを保有することが何より 肝心である。この核抑止態勢を完成させれば、米国は核攻撃のみならず、 第2に述べたような特殊作戦を発動することをもためらうに違いない。 従って、核開発に資源と予算を集中することは、軍事体制の効率化・ 合理化なのである、と金正恩は思っていることだろう。
.. 2024年12月22日 08:34 No.3158001
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