|
◎ 核武装の別のルートとして石破首相も言及した「核シェアリング」 がある。日本の場合でいえば米国が提供する核兵器を国内に保管し、自 衛隊機に搭載して運用する方式である。ただし提供されるのは射程距離 が短く威力が限定された「戦術核」で、しかも管理権は米国側にあり米 国の承認がなければ使用できない。数量としても10発ていどだろう。
核抑止力の対象として中国・ロシア・北朝鮮が想定される。 しかし長射程・大威力の弾道ミサイルを多数保有する中国・ロシアに 対して、あるいは国家目標のためには自国民の犠牲も意に介さない北朝 鮮に対して、少数の戦術核が「抑止力」になるかどうかはきわめて疑わ しい。抑止力というのは、こちら側でいくら抑止力だと主張しても、相 手側がそう思わなければ意味がないからである。
◎ 日本の原子力と核開発のまとめとして、まず日本での自主開発は技 術的に不可能であり、核武装論者は技術的知識もなくファンタジーで騒 いでいるだけという事実に基づく必要がある。 それでも核武装論が主張される理由は、福島のデブリ取り出しと同じ く、「国策」を口実に実現性のない計画で関連企業に金を流すことがで ある。 脱原発の議論では、危険性を強調するだけでなく、この点を強調する ことも重要ではないか。
(※1)安全保障調査会『日本の安全保障1968年版』 「わが国の核兵器生産潜在能力」朝雲新聞社 (※2)山崎正勝「理化学研究所の原爆開発計画と戦後の原子力開発」 日本平和学会2019年春季研究大会 (※3)武田康裕・武藤功『コストを試算!日米同盟解体』 2012年毎日新聞出版 (※4)『朝日新聞』1971年7月19日掲載、 『週刊朝日』2014年4月25日号に再掲 (※5)佐藤優「日本の核武装が「どう考えても無理」な具体的根拠」 https://toyokeizai.net/articles/-/828411 (※6)石原慎太郎が「三国人」発言, 2000年4月9日
.. 2024年12月24日 05:38 No.3156008
|