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巨額にのぼるODAは、「戦争賠償の代わり」という受けとめ方が中国の当局者ばかりでなく国民にもあります。だから、日本の援助金を利用してインフラの整備が進められたものの、中国では国民に伝えず、日本側に謝意が示されることもないのです。
そして、その事が日本側の不満をかきたてるという悪循環が続いているのです。また、歴史認識を強調する中国ですが、教育のウェートは日中戦争の歴史に置かれています。このため、戦後の日本の歩みや国民生活のありようについて教えたり、報道したりすることがないので、バランスが欠けているのです。
一方、日本側では、隣に現存する中国と公式な関係のない不正常さを打開し、台湾が全中国を代表するという虚構から脱却する必要性は、国交正常化前から、かなり広く認識されていました。ただ、それを実行するとなると、政治家も国民大衆も過去の「不幸な歴史」を踏まえた堅固な心構えが求められていたのです。
中国との国交正常化は、ニクソン・ショックと田中角栄ブームを受け、国会承認のいらない共同声明方式で実現しました。田中首相は北京での歓迎宴会挨拶で「中国国民に多大なご迷惑をおかけした」と述べ、翌日の首脳会議で周恩来首相に「着物に水かけて軽くわびるような言葉」と批判されたことがありました。
そのとき、田中首相は「日本語では、『ご迷惑をおかけした』は誠心誠意謝罪することで、さらに、もういたしませんからと赦しを求める意味も含んでいる。みなさんにより適切な言葉があればそれにより改めてもいい」と言い切りました。
当時の姫鵬飛中国外相は後の著作『水を飲むとき井戸を掘った人を忘れるな―――中日建交紀実』でこの田中発言を紹介し、「(これにより)謝罪訪問は解決した」と結論づけたのです。だが、解決したはずの問題が今なお蒸し返される不幸は、田中角栄首相も悲しんでいることでしょう。
国民の運命を握っているのだから、外交では、ワルと呼ばれる政治家の方が必要なのです。昔、オイルショックで日本国民が苦しんでいる時に、日本はアラブの石油ランクでは「非友好国」のランクだったので石油が突然ストップして、パニックになりました。
.. 2024年12月13日 05:17 No.3153001
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