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凄まじい量の情報にさらされるほうが、集中力を高める訓練になると思うかもしれません。スマホに気を散らされるのにも徐々に慣れるのでは? 筋肉がジョギングや筋トレによって鍛えられるのと同じでと。問題は、普通の人の脳がその逆を行くことです。
交通重大事故が多発している中にイヤホンしながらのながら運転が指摘されています。2024年11月から自転車のスマホ運転も法律で禁止されました。それは、気を散らすものが多いほど注意力が散漫になるのです。
常にデジタルな邪魔が入ることで、気を散らされることにますます脆弱になるようです。それがこの数年、これだけ大勢の人が、インターネットを使っていないときでも集中できない理由ではないだろうか。私自身も、本を集中して読むことが難しくなりました。
スマホをサイレントモードにするくらいでは効果がなく、集中したければ別室に置いておかなくてはいけない。そこまでしても、100年前と同じように本にのめりこむのは難しい。集中を要するページにくると、スマホに手を伸ばしたい欲求に駆られるのです。
もう昔みたいな努力はできなくなったようです。多くの人に同じような経験があるはずです。気を散らされる存在が当たり前になると、それが存在しないときでも強い欲求を感じるようになります。現代社会では集中力は貴重品になってしまったのです。
ただ、私たちの注意持続時間(attention span) が12秒から8秒に下がり、金魚以下だというのはありがたいことに作り話です。スマホの使用に特に慎重になったほうがいいのは、学校や大学の教室内です。そこで脅かされるのは集中力や作業記憶だけではありません。
長期記憶を作る能力にも悪影響が出るのです。スマホやパソコンがそばにあるだけで、学習能力が落ちるのです。ある研究で、2つの大学生のグループに同じ講義を聴かせました。片方のグループは自分のパソコンを持参し、もう片方は禁止されていました。
パソコンを持参したグループが講義中に何をしているかを調べてみると、講義に関するウェブページをいくつも見ていて、そのついでにメールやフェイスブックもチェックしていました。
.. 2024年11月18日 05:16 No.3141001
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