返信


■--2024年9月14日現在の原発稼働状況
++ 山崎久隆 (社長)…1668回          

稼働中原発は10基…大飯3、4、美浜3、高浜1、2、3、
 | 4、玄海3、4、川内1(大飯、美浜、高浜は関西電力、
 | 玄海、川内は九州電力)
 | 関電は40年超原発高浜1、2、美浜3号を含めて全原発7基稼働
 | 2024年9月14日現在の原発稼働状況
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

電力会社 号機 状態 運転開始日 停止日 出力(万kW)
関西電力 美浜3 運転中 2022.10.25    82.6
   大飯3 運転中 2024.04.07    118
   大飯4 運転中 2023.10.27    118
   高浜1 運転中 2024.08.28    82.6
   高浜2 運転中 2023.09.16    82.6
   高浜3 運転中 2023.12.25    87
   高浜4 運転中 2024.04.24    87
四国電力 伊方3 定検中     2023.07.19  89
九州電力 玄海3 運転中 2024.02.02    118
   玄海4 運転中 2024.06.03    118
   川内1 運転中 2024.08.29    89
   川内2 定検中       2024.09.14 89
合 計 12基 運転中10基 停止中2基   982.8/1160.8

*伊方3、川内2が定検中で10基が稼働中。夏のピークも過ぎたのに
10基運転する理由は一体どこにあるのでしょう。
*運転開始日は営業運転開始の日なので原子炉起動の日とは
一月程度違いがある。
*運転可能な12基の原発のうち稼働中は10基(83%)、
 その出力は1160.8万kWに対して982.8万kW(85%)
.. 2024年09月19日 04:50   No.3103001

++ 山崎久隆 (社長)…1672回       
日本の電力需要は年率1%程度で減少する(「日経クロステック」)
 | 発電所を増設する必要はない (下)(了)
 | 核のごみを生み出すものこそ廃止するべき
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

[2]電力需要は現状から「激増」するのか、否…年率1%程度減少する

◎ 河野氏は原子力への対応を大転換した。
 その最大の理由が「将来電気が足りなくなる」からだと、記者会見で
明らかにしている。
 データセンターや生成人工知能など新たな電力需要が増えていて「再
稼働しても足りない可能性がある」と主張している。

◎ では、本当に電力不足に陥るのだろうか。検証してみる。
 電力中央研究所(電中研)による将来予測は、意外な値だ。
 「基礎的需要・省エネ・電化を考慮した電力需要は2050年度8290億〜
1兆75億kWh」(電力中央研究所)。
 なお、中位推計は9230億Kwhである。
 この中では最大値が3割以上増加していることから、報道では次のよう
な記事を出したところもある。

◎「膨大なデータ計算が必要な生成AI(人工知能)の利用拡大で電力の
消費量が急増する。データの計算や保存を行うデータセンターを新設す
る企業が相次ぎ、日本では2050年に4割弱増えるとの予測がある。技術
革新に伴い、想定以上に電力消費が進む。脱炭素化を進める政府のエネ
ルギー戦略に影響を与える可能性もある。」(日経新聞4月11日)

 しかし2023年度の消費電力量は8020億Kwhである。これは前年度比
2%減、過去10年で消費電力量が12%減少している。
 ピークだったのは2010年で、震災の前の年の1兆1237億Kwhと比較
すると約3割も減っている。

◎ 電中研は原発を推進する電力会社系の研究機関で、平岩芳朗理事長は
元中部電力副社長、評議員には東電や原電の社長も名を連ねる。
 その研究機関の2050年の電力需要見通しは、最小値では「激増」どこ
ろか、微増にすぎない。最大推計でもわずか34%の増でしかない。わず
か、というのは、これが2050年と、今から25年も先の話だからだ。
 最大想定でも年率1.36%しか増加しない。データセンターだ、AIだ
といっても、一年で3割も増加するわけではない。

.. 2024年09月22日 06:44   No.3103002
++ 山崎久隆 (社長)…1673回       
◎ これで原発を稼働させても間に合わないなどということは起こり得
ない。河野大臣は何のことをいっているのだろうか。
 それでも、猛暑に厳冬と、電力の消費量のピークが増大するから電力
が逼迫するということだろうか。
 しかし現実にはこれも、年々低下し続けている。今年の夏は日本の気温
は観測史上最大を記録した。
 しかし電力消費量は大幅に減っているのである。
 日本は少子高齢化が進むと同時に、人口減少時代に入った。

◎ さらに、電気料金は高止まりしているため、省エネの努力が一般
家庭だけでなく産業規模でも進んでいる。

 日経新聞系の「日経クロステック」は、日本の電力エネルギー構造に
ついて次のように書いている。
 「日本では2010年をピークに年間消費電力がほぼ右肩下がりに低減して
いるからだ。ちょうどそのころから、地球温暖化の抑制に向けた温暖化
ガス削減の世界的取り組みが盛り上がって、LEDや高効率モーター、
そして太陽光発電など各種の省エネルギー技術の開発や実用化が進んだ。
また、2011年3月には東日本大震災が発生した。これらによって、日本
におけるエネルギー消費の“体質”が変わったと考えられる。その意味
で2010年は大きな分水嶺になった。(中略)2010年と2022年の日本の年間
消費電力を結ぶとその傾きは年率1.2%減。仮にこれが2050年まで続く
とすると、電中研がAIデータセンターや水素生産などに必要になる最大
電力量の年率増加率1.0%を相殺して、まだお釣りが出る。」
 このような視点は、原発推進派には全く理解されていないようだ。

[3]本当の問題はどこにあるのか

◎ 2023年6月末に東京電力管内では確かに電力逼迫警報が出される事態
になった。
 しかしこれは発電所が不足したわけではない。
 季節外れの猛暑に、発電所の定期検査の時期がぶつかり、運悪く逼迫
状況が生まれただけである。その際も東電以外のエリアには十分余裕が
あったので、広域的に電力の相互供給体制があれば起こらなかった。

.. 2024年09月22日 06:59   No.3103003
++ 山崎久隆 (社長)…1674回       
◎ 問題は、原発などの大規模な発電所が不足しているのではなく、電力
システムの問題なのだ。
 特に、再生可能エネルギーの大きな供給力を有するのは北海道や九州
で、消費地から遠い。従って、これらの電力を広域的に融通するシステム
を構築すれば有効活用ができる。
 また、日中に発電する太陽光については、蓄電システム(バッテリー
だけではない。物理的な蓄電システムもある)を構築すれば夜間も使える。

◎ 電力のリスクは、発電所不足にあるのではない。台風や地震に脆弱な
広域に張り巡らされた送電システムや、老朽化した火力、大規模発電所
に依存している供給システムにある。
 これを解決するには、小規模で環境負荷の少ない発電所と、蓄電シス
テムの接続、コンパクトな送電網の構築が喫緊の課題だ。
 日本のように、地震や台風災害の多発する国では、大規模な発電所が
停止するリスクがそのまま大規模停電の引き金になる。

◎ 北海道で最大震度7の北海道胆振東部地震が起こったのは、2018年
9月6日3時7分。この地震にともない、北海道エリアにおいて、3時
25分、日本で初めてとなるエリア全域におよぶ大規模停電(ブラック
アウト)が発生している。
 台風被害では、2019年9月23日に千葉でブラックアウトが発生した。
 台風15号は千葉県房総で鉄塔2基、多数の電柱をなぎ倒し、約100万戸
の停電が発生、千葉県内では16日になっても6万戸が停電したまま。
東電は他電力会社の応援を含め16,000人で復旧作業を行ったが完全復旧に
3週間を要している。
 こうした自然災害に原発も極めて脆弱である。

◎ 原発そのものに重大な損害がなくても、原発の基礎盤付近で120ガル
程度の揺れが観測されれば自動停止する。
 安全のため自動停止する設計になっているので、安全上止めなければ
ならない。その後点検して、安全確認後に運転開始できても1週間程度
は止まっている。
 地震被害で電力が必要な時期に原発は動かない。南海トラフの地震な
どが発生すれば、西日本全域の原発は止まると考えられる。
 浜岡や伊方は甚大な被害を受ける危険性が高いし、福井県や九州の原発
も危険にさらされるだろう。

.. 2024年09月22日 07:05   No.3103004
++ 山崎久隆 (社長)…1675回       
◎ 巨額の原子力予算は、電力システムの強靱化や自然災害対策に
使うべきだ。
 広域的な電力送電システムの構築よりも、地域で電気の地産地消を取
り組むことも重要だ。
 原発や再処理工場など、電気を生むより核のごみを生み出すものこそ、
廃止するべきだ。
     (初出:たんぽぽ舎月刊ニュース No345、2024年9月号)

.. 2024年09月22日 07:10   No.3103005
++ 佐々木和子 (幼稚園生)…1回       
8/24東海第二原発うごかすな! いばらきバスツアーに参加して
 | 村上元東海村村長の話が良かった、有意義なバスツアーでした
 | 東海第二原発の再稼働阻止に参加していく
 | 新たな決意につながりました
 └──── 佐々木和子(千葉県在住)

 昨年10月、再稼働をめざす東海第二原発・防潮堤の取水口付近の鋼製
防護壁を支える基礎部分の重大な施工不良(=工事の失敗)があること
が、内部告発により公けになりましたが、日本原電は施工不良が発覚し
てから4ヵ月も公表しませんでした。
 何が何でも今年9月に工事完了できるように、公表しなかったのか?
 さすがの規制委員会も、日本原電に工事のやり直しを命じざるをえず、
再稼働予定は2年延期になりました。
 こんな東海第二原発の再稼働を許すなんてとんでもないと、今回の
「東海村核関連施設バスツアー」に初参加しました。

*バスの中で

◇1999年9月30日に、国内初めての臨界事故を起こした核燃料加工会社
JCOの建物およびJCOから道路を1本隔てた場所にある、被曝した
大泉さんの自動車部品工場も車内から確認できました。
 当時のNHKで放映された壮絶な治療の様子が目に浮かび、悔しい思
いがこみ上がりました。

 「動燃」によるデタラメな発注により、作業効率・作業時間短縮のみ
が重視されつつも臨界にならないように工夫された「裏マニュアル」さえ
無視した結果の臨界事故。
 しかも、現場労働者は、臨界事故の危険性を知らされていませんでした。
 その結果、臨界は20時間も続き、作業員2人が亡くなり、記録担当者
1人が重度の被曝、事故を収束させたJCOの労働者たち、周辺の住民
700人近くが被曝したのです。

 日本政府は、この事故を教訓とはせずに、新たな「原発安全神話」を
呼び起こして、原発の運転期間の延長と再稼働を加速しています。許し
がたいことです。

.. 2024年09月22日 07:20   No.3103006
++ 佐々木和子 (幼稚園生)…2回       
◇東京新聞にも取り上げられた、特別養護老人ホーム「常陸東海園」の
大看板のことが紹介されました。
 「東海村をつぶすな!!! 原発はいらない!!! 廃炉に」
 しかし、行路にあるはずの2枚の大看板はありませんでした。帰りの
車内で聞いた話だと、看板は撤去したとのことでした。
 このツアーの世話人の方が、電話で「東海園」に理由を聞いたところ、
最初は「老朽化して危ないので撤去した」とか言っていましたが、その後、
「周辺との関係で……」となり、最終的には口ごもってしまったそうです。
 雰囲気的には、相当圧力があったようでした。詳細はわかりません。

 配布された・東京新聞に掲載されていた大型看板の写真には、スロー
ガンの下に「社会福祉法人淑徳会 入居者・職員一同」と書かれていました。
 これ、すごいな、勇気ある行動だなと思います。看板を設置した時に
は、住民から多くの共感の声があったそうです。看板を撤去する際には、
入居者や職員の方々は、さぞかし辛く、悔しい思いをしたのではないか、
と想像しました。

*大集会の会場で(※会場は、冷房が効かなくて、うだるような暑さでした…)

◇元東海村村長・村上達也さんの話…「訴え」の中で、一番心に響きました。
 〔珠洲市に、この地震列島に10基もつくろうとしていた、いい加減な
国。どこが科学的なんだ!どこが安全なんだ!これを忘れないでもらい
たい。珠洲市の人たちは、浄土真宗の門徒であり、27〜28年間闘ってき
た。あの人たちの闘いがあって、今私たちはここにいる。中国電力が、
山口県の上関(かみのせき)町に、使用済み核燃料の貯蔵地をつくろうと
している、道をつくってあげる、トンネルをつくってあげる、というよ
うにやっている。金で、その地方の歴史や文化や人心を買う、最も悪質
なやり方だ。議論をするのではなく、上から金をもってやってくる、
これが原子力界の体質である。原子力界は、軍事警察国家の体質をます
ます強めている、と思う。〕

 1999年のJCO臨界事故の時に、国の指示を待たずに村民を避難させ
た村上さんのメッセージは、会場内の異常な暑さに負けていた私に、
ピシャッと水をかけてくれたように感じました。

.. 2024年09月22日 07:25   No.3103007
++ 佐々木和子 (幼稚園生)…3回       
◇講演:「能登半島と危険な原発再稼働」講師:北野進さん(志賀原発
を廃炉に!訴訟原告団 団長)…スライドを使っての講演は、駆け足
でしたが、分かりやすかったです。
 〔能登半島は、活断層だらけ 考えてほしいこと、震度7の地震が
あって、地域が壊滅する、という中で原子力災害が起こったら、救助にも
入れない。こういう中で、原子力災害への対策はどこまで可能か?〕と
いう北野さんのメッセージが印象に残りました。
 原子力を推進する側は、住民の安全を真剣に考えていません。その
ことは、東海第二原発の防潮堤の不良工事隠しにおいても明らかなこと
だと思います。

 *今回のツアーに参加して、東海村の核関連施設を視察したことは、東
海第二原発の再稼働阻止の運動に参加していく新たな決意につながりました。
 また、「東海園」の大看板が撤去されていたのを見て、それぞれの地域
で原発に反対していくことの困難さを改めて知りましたが、同時に、それ
ぞれの闘いとして地域的に孤立させないことが大切だ、地域で闘っている
人達自身が全国の原発反対運動とつながっている、と感じることができる
ことが大切だと実感しました。
 とても有意義なバスツアーでした。
 スタッフの皆様、ありがとうございました。

.. 2024年09月22日 07:30   No.3103008
++ 山崎久隆 (社長)…1676回       
JCO臨界被曝事故から25年
 | 「事故の教訓」は生かされていない
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◎ 1999年9月30日午前10時35分頃、東海村にあった核燃料加工会社「
ジェー・シー・オー(JCO)」の「転換試験棟」内で、作業員3人が
硝酸ウラニル溶液の混合均質化処理中に「臨界事故」が発生した。
 臨界は約20時間続いた。
 18.8%のウラン235を含むウランの粉末を、硝酸溶液を使ってバケ
ツで溶解して製造した溶液を「沈殿槽」と呼ばれるタンク状の容器に入
れていたところ、7回目を投入している途中で、核分裂の連鎖反応が継
続し中性子線やガンマ線が連続して放出される「臨界状態」になった。

◎ この作業手順は、規則に反するもので臨界管理上重大なミスを引き
起こしたが、作業工程は発注元である「旧動撚」(当時は「核燃料サイ
クル開発機構」で現在は「原子力研究開発機構」)にも安全性に問題は
ないかと問い合わせをおこなって実施されており、正規の手順を守らな
い工程は「旧動燃」も知っていた。
 この事故で2人が1999年12月21日と2000年4月27日にそれぞれ死亡、
1名が重傷を負った。

◎ この事故の最も大きな特徴は、日本で初めて「原子力防災」が発動
され、周辺350m圏内全員退避、10キロ圏内に屋内退避が発令されたこと
である。
 その後の調査では、近隣住民667人が被曝したことも明らかになって
いる。
 2003年3月の水戸地裁判決では元所長ら6人が業務上過失致死罪など
で有罪、他に会社に対しても罰金100万円の有罪とした。
 しかし発注元の「核燃料サイクル機構」は訴追されず、法的責任も追
求されなかった。

☆真の事故原因

◎ この事故は一般の原発で使う「低濃縮ウラン」の燃料製造で起きた
のではなく、「核燃料サイクル開発機構(旧動撚)」が所有する高速増
殖炉「常陽」のための燃料製造の工程で発生した。
 一般の燃料と異なり高速炉用の燃料は「中濃縮ウラン」ともいうべき
濃度で製造される。それが「18.8%ウラン」の意味である。
 一般の燃料は「3〜4%」なので、18.8%もの濃度の燃料は臨界管理
は極めて難しい。

.. 2024年10月02日 04:33   No.3103009
++ 山崎久隆 (社長)…1677回       
◎ 通常のウラン燃料を扱う設備では、未臨界を維持する運用が出来な
いので、バケツをたくさん並べて少量ずつ硝酸溶液にしておき、これを
少しずつすくい取って混合する「クロスブレンディング法」という方式
で均質化を行うはずだった。
 これにはかなりの時間がかるため、大きな沈殿槽というタンク状の容
器に入れて均質化することを考え、実行した。

◎ 原子力安全委員会の報告書や裁判では、作業自体が違法なものであ
り、作業員に原因があると結論づけているが、こうした危険性について
旧動燃も認識せず、教育も不十分な状況でこうした作業を発注した責任
について不問にしたまま幕引きをしてしまった。

◎ これが後々の原子力産業全体で繰り返される事件事故につながって
いる。
 高速炉「常陽」は「もんじゅ」の1つ前の段階の実験炉だ。燃料は本
来プルトニウムを使うが核兵器材料であるため核物質防護上、ウランと
混ぜて燃料製造を行う「ウラン・プルトニウム混合法」が定められてい
る。なお、プルトニウムと混ぜる硝酸ウラニルの溶液は均質濃度でなけ
ればならない。
 この均質化作業をJCOに発注した。それを臨界管理ができない沈殿
槽で行われた。
 特殊な燃料の作業なのに過去の経験も少ない従業員に任せる構造が、
JCOにあり、そのような実態であることを知っていた「旧動撚」が容
認した。
 核燃料サイクル政策を担う先端に位置するはずの事業者で、この実態
である。

◎ 既に「もんじゅ」が廃炉になり、目的を失った「常陽」を再稼働さ
せる計画が進行中だ。すでに新規制基準適合性審査を通過しており、20
26年中ばの再稼働に向けて安全対策工事中だ。
 2007年に装置をぶつけるなどして炉心部に部品を落下させる事故を起
こしてから停止中で、その部品も発見できていない。
 新たな「危険因子」がまた1つ動きだそうとしている。

☆JCO事故と原子力災害

.. 2024年10月02日 04:42   No.3103010
++ 山崎久隆 (社長)…1678回       
◎ 原子力災害は、本来対策をしておかなければならないことができて
いない場合、想定を遙かに超える災害になる。
 JCOの場合は「臨界」というものを軽視した結果、引き起こされた。
 高速炉燃料の均質化を発注していた「旧動燃」の担当者も臨界管理の
基本を理解していなかった。
 原子力に従事する人々の非常識極まりない無知と功利主義は、数々の
災害を招いてきたが、その頂点に位置するのが東電福島第一原発事故だ。

◎ 1999年の事故を教訓化できなかった原子力事業者は、その後も災害
を繰り返す。
 2004年の関西電力美浜原発3号機の2次系配管破断事故で死者5名、
重軽傷者6名を出した。
 臨界事故では、JCO事故よりも前に発生していた北陸電力の1999年
6月18日の志賀原発1号機での制御棒脱落による臨界事故。これを約8
年間隠蔽した。JCOの事故があっても公表しなかった。
 当時は「公表すると2号機の工程が遅れる」「作業員は被曝していな
い」と、日誌を改ざんしてまで事実を隠蔽している。

◎ 地震に伴う災害も。
 中越沖地震により甚大な被害を受けた東京電力が、東日本太平洋沖地
震で地震と津波による災害を防止する対策を怠った結果、福島第一原発
事故を招いた。

☆今も実態は変わらない

◎ JCO事故を、原子力産業は教訓化しているのか。
 1999年以後の歴史は、それを否定しているのではないか。
 しかし政府はGX脱炭素電源法を成立させ、原発の再稼働、新増設、
核燃料サイクル政策の推進へと大きく動きだそうとしている。

◎ 現実は、六ヶ所再処理工場も完工見通しは立たず、老朽原発の再稼
働はリスクを高めるだけ。新増設のために経済産業省が、建設費を電気
料金に上乗せする制度の導入を検討していることが報じられている。
 資金調達ができない産業を無理に延命させることは、危険である。原
子力産業は資金に問題があるのではなく、「人」に問題があるのだ。

◎ 原子力を支える人材は、2011年以降激減している。
 東電の柏崎刈羽原発でも運転経験のある人が半分しかいない。
 再処理工場の審査では申請書に大量の誤植や乱丁があった。作成者が
書類の内容を理解していない証拠であり、そんな人々が実際に再処理工
場の運転に携わるとしたら恐怖でしかない。

.. 2024年10月02日 04:47   No.3103011
++ 山崎久隆 (社長)…1679回       
◎ 日本は諸外国と異なり、原子力施設が原発以外に多種多様だ。原発
だけが原子力施設ではないことが問題を更に複雑にしている。
 JCO臨界被曝事故が起きた際も、JCOという施設が何をしている
ところか知っている人がほとんどいなかった。
 今の日本は、当時に比べても更に人材がいない。
 原子力災害が何処で、何時起きるか、恐ろしい状況を変えるためにも
原子力からの安全な撤退を早急に進めていく必要がある。

◎ 当時、東海村村長で、独断で住民避難を決行した村上達也さんは、
「明治以来、欧米の科学文明に驚いて殖産興業を進めてきたが、いまで
もブレーキのない社会のままだ」(時事通信9月30日)と語っている。
 同感である。

.. 2024年10月02日 04:53   No.3103012


▼返信フォームです▼
Name
Email
ホームページ    
メッセージ
( タグの使用不可 )
Forecolor
アイコン   ICON list   Password 修正・削除に使用