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立憲の2文字はどこへ行く? 前川喜平(現代教育行政研究会代表)
立憲民主党ができた時のことを覚えている。 小池百合子都知事が国政に乗り出そうと、当時の前原誠司民進党代表 らと談合して希望の党をつくろうとしたが、憲法改正と安保法制の容認 という踏み絵を踏まなかったため小池氏から「排除します」と言われた 民進党議員たちが、「枝野立て」の声に押された枝野幸男氏を中心に立 ち上げた。
だから、安保法制による集団的自衛権の行使容認を違憲とする立ち位 置は、同党の原点だったはずだ。 その後の野党共闘は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民 連合」が共産党や社民党との橋渡しをする形で構築されてきた。 ところが今、同党の代表選で最有力候補と目される野田佳彦氏は、日 本維新の会と組もうとしている。
今年3月にはBS番組で、関東は立民、関西は維新という「すみ分 け」を提唱。8月には維新の勉強会に講師として出席し、候補者一本化 を訴えた。 しかし維新は安保法制の「存立危機事態」を限定すると言うだけで、 集団的自衛権の行使は認めている。 そんな党とどうして組めるのか。
5日の会見で野田氏は従来の安保政策を踏襲すると言ったが、安保法 制も踏襲するつもりなのか。2014年7月の集団的自衛権の行使容認の閣 議決定以前に戻れと、なぜ言わないのか。 党名の立憲の2文字はどこへ行ってしまうのか。 (9月8日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
.. 2024年09月10日 07:38 No.3100001
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