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子や孫の未来のために、東海第二の再稼働を阻止するのが 大人たちの責任 防潮堤問題に触れると再稼働推進のシナリオにつながりかねない
元土木技術者・日下部伸さん(74)
昨年、東海第二原発(茨城県東海村)の工事関係者による情報提供 で、防潮堤工事でのコンクリートの充填(じゅうてん)不足や鉄筋の変 形が見つかった。 これは日本原子力発電(原電)が、しっかりと施工記録をチェック し、請負業者に指摘していれば防げたはずだ。ずさんな施工にずさんな 管理。単純ミスだと考えている。 原電にも施工責任者がいるだろう。 土木関係の管理者は少ないのだろうか。 工事への知識不足や、業者に「丸投げ」していた可能性もある。 防潮堤工事に限っていえば、原電には発電設備を造り、維持、管理す る能力がない。原発を管理する意識が疑われる。 もし、施工不良が隠された状態で工事が進んでいたら、原電は 「シャンシャン」で終わらせていたのではないかとも思う。
施工不良を受け、原子力規制庁は「一部建て直しを含めた再検討」を 要求しているが、これもどこまでやり直せと言っているのか分からない。 今の工法で補修し完成させるか、別の工法で完成させるか、具体的な 内容が不明だ。 施工不良があった部分の工事は「地中連続壁工法」で進められている。 取水口付近で鋼製防護壁の両端を、長さ50mを超える15.5m四方の角 柱で支える大規模なものだ。
この工法は1980年代には大手ゼネコンが土留めや止水で採用してきた。 だが、防潮堤建設での採用実績が少ない。 ゼネコン側にしてみれば、もうけが少なく「うまみ」がない。 もし、私がゼネコンの社長だったら実績の多い在来の工法で完成さ せ、利益率を上げる選択をしていただろう。
原電は、防潮堤などの事故対策工事を9月に完成させるという姿勢を 崩していない。 大半のゼネコンが受注を避けたと推測される防潮堤工事の現場で、施 工業者はどう補修を進めるかを考えているのだろう。 ただ、私は施工不良の問題に触れること自体に危惧を感じている。 防潮堤による津波対策や事故時の避難計画の策定は、再稼働を進めた い人たちが一方的に描いたシナリオで、再稼働の議論に乗ることにつな がりかねないからだ。
.. 2024年08月10日 09:05 No.3076001
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