|
政府の被ばく基準根拠「ICRP勧告」「恣意的で誤り」
内部被ばく研究の国際的権威、バズビー博士に聞く年0.1mSv 避難の目安に
○福島第一原発事故の放射能汚染問題で、欧州放射線リスク委員会(ECRR)の科学議長を務めるクリス・バズビー英アルスター大客員教授(65)が来日し、本紙の単独インタビューに応じた。日本政府が被ばく基準の根拠にしている国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告について「内部被ばくを考慮しておらず、恣意的な基準に過ぎない」と厳しく批判した。
○バズビー氏は体内に入った放射性物質による内部被ばく研究の国際的権威で、チェルノブイリ事故の健康被害にも詳しい。ECRRは,1997年、欧州議会の環境派グループ「緑の党」によって設立され,同氏は中心人物だ。今回、学校ごと疎開する措置を求めて仮処分申請した福島県郡山市の児童と生徒らを支援するため来日した。
○―ICRPの被ばく限度は、一般人は通常年間1mSv、緊急時は20〜100mSv。これに対し、ECRRは「内部被ばくの影響が大きい」との主張に基づき,年間0.1mSvをこえないよう勧告している。「内部被ばくは、体内のDNA近くで起きるため、外部被ばくよりも低い線量で非常に高い危険性を持つ。1mSvという基準は、外部被ばくにしか有効ではない」
○―ECRRは、今後がん発症などの健康被害が出ると予測し、公表した。この数値はICRPの基準による試算の70倍にも上るが。「最近20年間で、ICRPが間違っていたという証拠がたくさん集まっている。多くの国がICRPのモデルを取り上げてきたことは事実だが、ECRRと同じ独立した第三者機関だ。ICRPに特別な地位は与えられていない」
○「詳細な汚染マップの作製や、第三者機関による健康影響調査、放射能に汚染されていない水や食料を確保することが必要となるだろう」
学校疎開に関する声明 ○バズビー氏は、「学校疎開」の仮処分申請に関して声明を発表した。要旨は次の通り。 ▽外部被ばく線量が地上1mで毎時1μSvを超える地域に住む子どもらは退避すべきだと考える。 ▽文科省や県などの被ばく線量の計測はセシウムなどガンマ線値であり、環境中に存在する多くのベータ線やアルファ線が出てこない。呼吸や飲食からの内部被ばくが過小評価されている。 ▽原発から60`離れた地点での汚染レヴェルは、1平方mでセシウム137は1000〜1万`ベクレル、 それ以外の物質は300`ベクレルに相当する。子どもたちに何かしらの健康障害をもたらすことになり、文化社会で許されることではない。 (東京新聞7月20日より抜粋)
.. 2011年07月21日 09:02 No.305002
|