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一日で5,500万円の税金消え−「もんじゅ」原発 核兵器開発に転用可能―住職が反対運動
東京新聞『こちら特報部』の7月4日号は、核兵器に転用可能な「もんじゅ」(特殊原子炉)と反対運動住職中島哲演氏の記事を載せています。「もんじゅ」は、危険=配管が地震に弱い、浪費(一日で5,500万円,総経費1兆円の税金食い虫)、事故多発の特殊原子炉です。文部科学省の所管ということもあって、なかなか話題になりにくいですが、重大で危険な原発で、税金を多額に浪費してきた原発ですので、ぜひ多くの人に関心をもってほしい。そのイミで「もんじゅ」の重要点について報道した東京新聞の抜粋を紹介します。
○“夢の原子炉”のはずが、稼働すらできない日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。17年前に動き始めた直後、事故で14年半も停止。昨年の運転再開後、また事故で止まった。命名の由来は文殊菩薩。「危険な施設に、御仏の名を使うとは」と、長年反対運動を続けてきた地元の住職は憤る。 ○長年地元で反原発運動を続けてきた中島住職は、もんじゅのキーワードとして「超危険」「超浪費」「反平和」の三つを挙げる。まず「超危険」。もんじゅは、動き始めて間もない1995年12月、ナトリウム漏れ火災事故を引き起こした。 「配管が、大蛇のようにのたくっていた」。中島住職は、「もんじゅ」の内部を視察した時の光景を強烈に覚えている。軽水炉を使う原発が工場施設とすれば、「もんじゅ」は複雑な精密機械。冷却材のナトリウムは危険物で、接触すれば大爆発する水と、薄い金属板一枚を隔てて流れている。しかも、「もんじゅ」の下を二本の活断層が走る。 ○次に「超浪費」。「もんじゅ」の本年度予算は二百十六億円。今後も年間約二百三十億円の経費が見込まれる。停止中も維持管理や点検などで一年に約二百億円かかった。何もしなくても、一日当たり約五千五百万円の税金が消える。同機構の発表で、これまでの総経費は九千四百八十一億円。燃料関係費などを入れると一兆三千億円を超える。 それなのに、2050年度に実用化を目指すとしていた目標も、いまや「福島の事故もあり、『もんじゅ』の運転再開や実用化のめどは立てられない」(同機構)との状況だ。 ○命を奪う核兵器と、高速増殖炉とのつながりは深い。核兵器に転用できる高濃度のプルトニウムを生み出すからだ。「現在の政治判断はともかく、『いつでも核武装できる手段』として高速増殖炉を位置づける政治家や官僚の意図が、これまで外交文書などで明らかになっている」 ○元京大原子炉実験所の、小林圭二氏によると、高速増殖炉で発電を目指すのは、いまや世界で日本だけ。米国は1983年に開発停止。英国は87年に原型炉が大事故を起こし、開発から撤退。積極的だったフランスも、事故続発で2009年を最後に廃止した。 現在稼働する原発の使用済み核燃料は、将来的に高速増殖炉で処理する建前だ。小林氏は、「もんじゅを止めないのは、国の原子力政策や電力会社の原発運転が破綻するからだ。だが、すでに実用化は幻想の域に達している。廃炉しか道はない」と話す。 ○福島原発事故の被害は甚大で長期化し、拡散している。この現実に目を向ければ、軽水炉より地震に弱く、危険な高速増殖炉の開発を続けてよいわけがない。国策でも過ちに気付いたら、ためらわずに改めよう。いまこそ原発依存から脱却し、日本の政治力を見せつける時だ。世界が注目している。
.. 2011年07月05日 09:52 No.301002
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