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世界の足並みが揃わない中、影響力を増しているインドやインドネシアなどを、どう味方につけることができるかが大きな課題となっています。 途上国にはもともと中国やロシアと関係の深い国が多くあります。
アメリカはこのところ一貫して「アメリカ・ファースト主義」で、アフガニスタンからもさっさと撤退してしまいました。世界からは無責任という声も上がっています。それでもアメリカのジョー・バイデン大統領は、新たな中国包囲網をつくろうと「IPEF」(アイペフ)を発足させました。日本語にすると「インド太平洋経済枠組み」です。
アメリカは2010年からTPP(環太平洋経済連携協定)を結ぼうと各国に働きかけました。太平洋をグルリと取り巻く国々で経済協力を強めようというのです。アジア太平洋地域で影響力を増している中国を牽制する狙いがありました。
ところが2017年にドナルド・トランプ大統領が誕生すると、「アメリカ・ファースト」をスローガンにTPPから脱退してしまいます。TPPに代わって注目を集めたのが、中国が交渉を主導したアジアの自由貿易協定「RCEP」(アールセップ)です。
日本語にすると東アジア地域包括的経済連携。参加国は中国・韓国・日本・ラオス・タイ・ミャンマー・ベトナム・シンガポール・カンボジア・マレーシア・ブルネイ・フィリピン・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランドの15カ国。こちらはアメリカ抜きで発足しました。日本と中国が同じ協定に含まれるのは初めてです。
「これではアジア太平洋は中国のものになってしまう」と焦ったバイデン大統領が苦し紛れに打ち出したのがIPEFというわけです。参加国はアメリカ・日本・オーストラリア・ニュージーランド・韓国・インドネシア・シンガポール・タイ・フィリピン・ベトナム・マレーシア・ブルネイ・インド・フィジーの14カ国です。
ただしこれは「協定」という言葉が使われていません。協定のように縛りが厳しくなく、関税の撤廃や引下げの交渉をしないというざっくりした枠組みです。「これから仲良くやっていきましょう」程度の緩い枠組みだからこそ、TPPにもRCEPにも入っていないインドを引き込むことができました。
.. 2024年03月29日 04:36 No.2989001
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