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ドキュメンタリー映画「ターニングポイント・原爆と冷戦」 3/12Netflix配信
大矢英代(カリフォルニア州立大助教授)
共同プロデューサーとして制作に携わったドキュメンタリー映画「 ターニングポイント・原爆と冷戦」の封切りが決まった。 広島・長崎への原爆投下から冷戦下の核開発競争、そしてロシア・ウ クライナ戦争へとつながる70年余の冷戦史を伝える。来月12日(米国時 間)、動画配信サービス・ネットフリックスで世界約2億6千万人の加入 者へ配信が始まる。 9時間に及ぶシリーズの第1話で、第2次世界大戦下の原爆開発プロ ジェクト「マンハッタン計画」と広島・長崎への投下を伝えたのは、数 少ない日本人スタッフとしての執念でもある。 米国では「原爆投下は戦争を早期終結させた」「多くの米兵の命が救 われた」という声が圧倒的だ。 広島 ・長崎の歴史は「正義の暴力」という米国のナラティブ(物語) を支えるために使われてきたとも言える。 だからこそ、被爆者の声と核兵器の恐怖を正面から伝えねばならない と思った。第3話に第五福竜丸事件を織り込んだのもこのためだ。 タイトルの「ターニングポイント」とは「分岐点」を意味する。 核抑止力や核共有などの声が高まる今日の日本は、新たな「分岐点」 に立っている。押し流されるのか。 それとも戦争被爆国でありながら米国の核の傘の下に隠れ続けた矛盾 に終止符を打てるのか。世界が日本の選択を見つめている。 (2月19日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
.. 2024年02月29日 05:26 No.2971005
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