返信


■--能登半島地震でわかった
++ 上岡直見 (社長)…328回          

能登半島地震でわかった−原発避難計画の破綻
 | 強い地震・津波が発生した時点で原子力防災計画は機能しない
 └──── 上岡直見(環境経済研究所代表)

◎ 2024年1月1日に「令和6年能登半島地震」が発生し、北陸電力志
賀原子力発電所(停止中)が立地する石川県志賀町で震度7が記録され
た。
 これは福島第一原発事故後に「原子力災害対策指針」が制定されてか
ら初めて立地自治体での震度7と大津波警報である。それまで川内や伊
方でそれに近い地震が発生したが、ぎりぎりのところでかわしている。

◎ 志賀町は原発周辺の5km圏と、その他全域が30km圏に入る。
 そこで「志賀町原子力災害避難計画」を改めて検討したが、他の地域
に比べても著しくレベルの低い内容に呆れた。公開されているのは2017
年11月版で、それ以降は改訂されていないようである。8割方は国(規
制委員会)の資料をコピペしただけで具体的な内容は何もない。

 「指針」では、原発の所在市町村(原発敷地ではない)において「震
度6弱以上の地震」「所在市町村沿岸を含む津波予報区において大津波
警報が発表」に該当すれば、放射性物質の放出の有無にかかわらず「警
戒事態」に該当し避難準備を始めなければならない。ただし今回は原子
炉の燃料が抜かれている状態のため適用されない。

◎ 志賀町の計画に示されている町民に対するアナウンスでは「○○地
区、○○地区のみなさんは、今後の事故の状況により屋内避難または避
難の可能性があることから、無用な外出は控え、自宅に留まり、今後の
町からのお知らせや、テレビ、ラジオなどの情報に十分注意してくださ
い。今後、屋内退避又は避難が必要と判断される場合には、追ってご連
絡しますので、自宅にて落ち着いて待機してください」という文面が用
意されている。
.. 2024年01月11日 05:52   No.2935001

++ 上岡直見 (社長)…329回       
◎ しかし今回の地震では、NHKのアナウンサーが「テレビを見てい
ないで逃げてください」「家に戻らないでください」などと絶叫して
一部では危機感を伝える適切なアナウンスと称賛された。
 危険要因が津波だけならそれでよいかもしれないが、原発の緊急時対
応が加わったらどうなるのだろうか。
 一時的に高台などに避難したとして、現在でも停電が続き携帯・
ネットが通じない。道路損傷で広報車も動けない、防災無線も停電、と
いう状態になったら、放射線防護に関する情報提供をどうするのだろうか。

◎ その後の事態の進展によって避難する状況になった場合に、志賀町
は能登町と白山市に避難するとされているが、今回の地震では能登半島
全体に大きな被害を受けており他町の避難者受け入れどころではない。
 それ以前に映像でみられるように、道路が損傷したりブロック塀が倒
壊したりでそもそも自宅から何十kmも離れた場所に移動する方法が
ない。

◎ 屋内退避について国の「指針」では、屋外にいるよりも放射線の
遮へいや汚染大気の吸入を防げるという試算に基づいている。
 しかし映像でみられるように、家屋が倒壊しないまでも扉や窓が外れ
たり瓦が落ちたりして屋外とほとんど変わらない状態である。

 志賀町の避難計画には「ヨウ素剤の予防服用」が一言あるだけでどの
ように配布・服用するのかも不明だが、いずれにしてもヨウ素剤配布な
ど不可能だろう。
 たまたま志賀町の例を取り上げたが、強い地震・津波が発生した時点
で原子力防災計画は機能しないことが露呈した。

.. 2024年01月11日 06:02   No.2935002
++ 桑原亘之介 (幼稚園生)…1回       
能登半島地震と原発
 | 「原発をとめた裁判長」として知られる樋口英明さんに聞く
 | 「地震の予知予測は出来ません…」
 | 「短期的に国を滅ぼすのはCO2でなく戦争か原発のどちらか…」
 └──── 桑原亘之介(著述家)

◎ 「原発事故のもたらす被害は極めて甚大である。それゆえに原発に
は高度の安全性が求められる。地震大国日本において原発に高度の安全
性が求められるということは、原発に高度の耐震性が求められるという
ことにほかならない。しかし、我が国の原発の耐震性は極めて低い。
よって、原発の運転は許されない」…福井地方裁判所元裁判長・樋口英明

◎ また、樋口さんは次のような主張もしている。
 「原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張(
する向きもあるが)極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と、電
気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その
議論の当否を判断すること自体、法的に許されないことであると考えて
いる」。

1.今こそ「樋口理論」によって、原発について再考すべき時ではないか。

 2024年1月1日、午後4時10分頃、最大震度7の大きい揺れを伴う「
能登半島地震」が石川、富山、福井、新潟県を中心とした地域を襲った。
 石川県志賀町で震度7を観測したほか、七尾市や輪島市、珠洲市など
で震度6強を、新潟県長岡市などで震度6弱を観測した。
 震度とは地震の揺れの大きさの単位で最高が震度7である。
 今回は最大の地震だったということだ。
 今回の地震は震源が発するエネルギーの大きさの単位=マグニチュード
は推定7.6。その単位は1上がるごとに約32倍ずつエネルギーが強く
なる。

.. 2024年01月12日 06:03   No.2935003
++ 桑原亘之介 (幼稚園生)…2回       
◎ そして一番の問題となるのがガル(gal)で、ガルは観測地点での地
震の加速度すなわち激しさを示す単位である。
 例えば、東日本大震災では一番揺れが激しい所で2933ガルの揺れ
だったが、東京電力福島第一原発の耐震基準(基準値震動)は600ガ
ル(当時)だった。実際には福島第一原発には基準地震動を超える675
ガルの揺れが来た。
 また、新潟県中越地震は1018ガルの揺れで、それに対して、東京電力
柏崎刈羽原発の基準地震動は450ガル(当時)。多くの故障が発生したの
も当然だった。
 住宅メーカーも耐震性を重視しせざるをえない。三井ホームの耐震基
準は5115ガル、住友林業は3406ガル。
 つまり原発より地震に強いのである。

2.石川県には志賀(しか)原発が立地する
  今回の最大震度7はその志賀町で観測された

 隣りの福井県には日本原子力発電所有の敦賀原発(敦賀市)、関西電
力の美浜原発(美浜町)と大飯原発(おおい町)。
 2014年5月21日、福井地裁(樋口裁判長)は大飯原発3号、4号機に
ついて、運転の差し止めを認めた。
 敦賀市内には使用済み核燃料を再利用するための日本原子力研究開発
機構の高速増殖炉「もんじゅ」もある。

 原子力規制庁(規制庁)は能登半島地震発生日の午後6時半からの臨
時記者会見で「異常は確認されていない」と発表した。
 だが、1月2日に記者会見した北陸電力によると、志賀原発は外部か
ら電気を受ける系統が一部使えない状況が続いており、ほかの系統で電
気を受けることで、安全上重要な機器の電源は確保されていると発表した。
 志賀原発では、長期間1号機と2号機は運転を停止している。北陸電
力によると、1日午後4時10分ごろの地震で、1号機の原子炉建屋地下
2階で震度5強相当の揺れを観測した。
 揺れの大きさは1号機で、水平方向で336.4ガル、鉛直方向で329.9ガ
ルで、福島第一原発の事故の前に想定していた水平方向で最大600ガル、
鉛直方向で最大405ガルを下回っていたという。

.. 2024年01月12日 06:14   No.2935004
++ 桑原亘之介 (幼稚園生)…3回       
 (注:気象庁の2日の発表によると、志賀町での揺れの最大加速度つ
まり激しさが2826ガルを記録していたという。)
 地震により、1号機と2号機で外部から電気を受ける変圧器計2台
で、配管が壊れて絶縁や冷却のための油が漏れたという。これらの変圧
器を伴う系統では、電気が受けられていないという。
 私たちの記憶に刻み込まれているのは13年前の東日本大震災と東電
福島第一原発の大事故による、今日まで癒えることのない被害だ。

3.今回、本当に安全といえるのか。問題はないのか。
  「原発をとめた裁判長」として知られる樋口英明さんに聞いた。

◎ 樋口英明さんは年末から長野県の白馬村の近くに滞在している。

 「震源から近くにいたのでかなり怖かった。やっぱりあの辺りだなと
思いました。前から揺れていましたからね」という。
 「柏崎刈羽原発についてはすぐに大丈夫だと情報が入って来ました。
モニタリング検査で放射能数値が上がっていなかったからです。
 もちろん、本当に大丈夫かというのはわからないのですが」。
 「志賀原発の方が柏崎刈羽原発より震源に近いですが、幸いなことに
動いていなかった。それで大丈夫なのかなと思いました」。
 北陸電力の発表にある地震の加速度・ガル数が数値内なので大丈夫だ
という話について、樋口さんは「原発の設計基準となる堅い岩盤『解放
基盤表面』でどれだけの数値なのか。だから志賀原発の危険性の程度は
にわかに判断は出来ない」という。
 そもそも「地震の予知予測は出来ません。日本人の常識です。にもか
かわらず電力会社は〇〇ガル以上の地震は来ないから大丈夫だという。
どこでどんな大きな地震が来るかもわからないのにです」。

.. 2024年01月12日 06:25   No.2935005
++ 桑原亘之介 (幼稚園生)…4回       
◎ そのうえで樋口さんは、

 「原子力規制委員会(規制委)をあまり信用してはいません。私が関
心あるのは裁判所の姿勢です。(志賀原発に関しては)10年くらい裁判
にかかっていますが、その間、規制委の審議を待っている。待つのでは
なく裁判所としての判断をしないとだめだと思います」。
 「だいたい、その間に地震があったらどうするんですか。一旦規制委
がゴーを出すとせいぜい半年とか1年とかで動き出します。半年とか1
年の間に裁判所が判断出来ますか、出来ないでしょう。また何年もかか
る」。
 「遅すぎる裁判は裁判の拒否と同じです。原発の差し止め判決を地震
が起きてから出してどうするんですか。意味がありません」。
 話が電力会社の姿勢の問題に移ると、樋口さんは「極めて重要な情報
を隠すような組織で全く信用出来ません」。

◎ 福島第一原発のメルトダウン情報を樋口さんは例に挙げた。
 「3.11当日にメルトダウンしていることを東京電力は知っていた。
 しかし、それを発表したのは5月だった。明らかに嘘をついた前科が
あるわけです。嘘をついて不利益を被ったかと言えばそうでもない。隠
しちゃった方が得だということを知ってしまった」。

4.日本人の言霊信仰

 能登半島地震のあと、ニュースなどで原発のことが取り上げられると
それを批判する投稿がかなりの数で現れた。
 地震や津波で被害に遭っている人がいるのに、こんな時に原発の話を
するとは何ごとかと。

◎ 樋口さんは言う。
 「日本人特有です。言霊信仰です。嫌なことを言う人に拒否感を持ち
ます。直感的に嫌うのです」。
 「しかし、短期的に国を滅ぼすのはCO2でもなく、戦争か原発のど
ちらかなんです。地震や津波では滅びません。その重要な問題を真っ先
に発言したり考えることを、少なくとも責任ある立場の人たち、例えば、
政治家、マスコミ、裁判官たちはしなければいけません」。
 「一般国民は嫌なことを考えたがらないのだから、責任ある立場の人
たちが考えないといけないんです」。

.. 2024年01月12日 06:35   No.2935006
++ 上岡直見 (社長)…330回       
国や電力業界の「大地震でも原発は安全」という
 | キャンペーンに警戒
 └──── 上岡直見(環境経済研究所代表)

◎ 能登半島地震で原発の危険性が改めて指摘されているが、現時点で
はとりあえず外部への放射性物質の放出はなかったことから、国や電力
業界は逆に「大地震でも原発の安全性が立証された」とキャンペーンを
強めることが警戒される。
 現に電気事業連合会はホームページで想定問答集を示して原発の安全
は確保されていると主張を始めた。(※)
(※)https://www.fepc.or.jp/sp/notojishin/

◎ これまでも「電気が足りない」「電気料金が上がる」「処理水は安
全」「福島第一原発事故による健康被害者はいない」「泊原発が動いて
いれば北海道全域停電(2018年9月)はなかった」等のデマが組織的に
拡散されている。
 詐欺やカルト宗教では荒唐無稽な話ほど信じられやすいと言われてい
るが、今回もそうしたデマが流布されるのではないか。

◎ こうしたデマは順序立てて科学的に説明すれば容易に否定される
が、大衆心理としてはそうした説明はなかなか聞いてもらえないし、メ
ディアやインターネットでの影響力は推進側のほうが圧倒的に大きい。

◎ 脱原発の側でもさまざまな対策を試みる必要があるが、できるだけ
先手を打って情報提供してゆくようにしたい。

.. 2024年01月16日 04:47   No.2935007
++ 今井孝司 (課長)…157回       
能登半島地震(M7.6 最大震度7) 運転停止中の
 | 志賀原発 多数のトラブル
 | −「未知の断層がM7.6なら原発耐震想定は
 | 全部やり直し」(添田孝史)−
 └──── 今井孝司(地震がよくわかる会)

○初めに
 1月1日に石川県能登地方でM7.6、震度7の大地震が発生しました。
 珠洲市付近の群発地震で最も大きなマグニチュードは、去年(2023年)
の5月5日のM6.5、震度6強の地震でした。
 しかし、今回の地震のエネルギーは去年に比べて約30倍以上という
大きなものでした。日本海側で最大クラスと言う方もいます。

 今回の地震と原発の関連記事をHP( こちら )に
アップしましたので、皆さんの考察に役立てれれば幸いです。
 HPから特集コーナーの「能登半島地震(2024)と志賀原発」のアイ
コンクリック、もしくは以下のURLクリックにより読むことが出来ます。
こちら

 以下はHP冒頭部の抜粋です。

○ 大地震が頻発する日本で、原発は到底無理であることを再認識させ
られたのが今回の地震でした。添田孝史氏が語る「未知の断層がM7.6を
起こしたとなると、原発の耐震想定は全部やり直しになるんじゃない
か?」に同意します。
 地震本部地震調査委員長で東京大学の平田直(なおし)名誉教授が「
日本列島の成り立ちを考えれば、日本中どこで大地震が起きてもおかし
くありません。」と語っています。
 そうであるならば、私としては、内陸最大の地震(M8.0)である濃尾
地震(1891年)を未知の活断層として、原発の耐震性で想定すべきだと考
えます。これに耐えられない原発なら動かしてはだめという、非常に単
純な話です。

○ 志賀原発30キロ圏のモニタリングポストが13台欠損しました。原発
事故時にはこの値によって避難することになっていますので、志賀原発
事故時の避難計画の実効性は全くないことが実証されました。

.. 2024年01月17日 04:33   No.2935008
++ 今井孝司 (課長)…158回       
○ 志賀原発では、変圧器から大量に絶縁油が漏れ、外部電源が一部使
用不能となりました。山崎久隆さんが「変圧器にも大電流が流れていな
かったのが幸いしました。絶縁油も高温になっておらず、仮に漏電して
いても発火は免れたのではないかと考えます。つまり、稼働中だったら
かなりの確率で電源部が発火し、油が燃え上がる火災事故に発展したの
ではないでしょうか。」と指摘するように、仮に稼働中だったなら、火
災事故にまで行く蓋然性が高かったと私も思います。

○ 2007年の新潟県中越沖地震では、柏崎刈羽原発の変圧器が燃えまし
たが、これは屋外でしたので、他の機器への延焼はなかったようです
が、志賀原発の場合は、建物内部なので、他の施設に延焼することが容
易に考えられます。

○ あと山崎氏は、電力側は「もし外部電源が途絶えても、非常用
ディーゼル発電機があるので大丈夫」というふうに語るらしいのです
が、この非常用ディーゼルも変圧器を介していますので、変圧器が壊れ
たなら、非常用ディーゼル発電機も使えず、3・11の時の全電源喪失
という、もはやお手上げの状態となってしまいます。

○ 北陸電力が水位計の3mの上昇を、当初は見落としていたのは、危
機管理上、致命的なものと思います。大津波警報が出て、最も気にすべ
き水位の事を見落としていたというのは、大変な問題です。
 もし、当初から知っていながら、隠していたならもっと問題です。
 これは、今後も追及されなければなりません。

.. 2024年01月17日 04:39   No.2935009
++ 島村英紀 (社長)…914回       
北極圏の海氷が消える 従来予測より10年早く…
| 温室効果ガス削減も手遅れ 膨大な資源、日米露など各国で争奪戦に
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その522
└──── 島村英紀(地球物理学者)

 夏の北極圏から海氷が消えるようになるのが、従来の予測よりも約10
年早く実現する可能性が出てきた。早ければ2030年代にも9月中には、
完全に消え去ると、科学者らは報告した。
 海氷の減退は大半が人間由来の温暖化に起因する。もし世界が現時点
で温室効果ガスを大幅に削減しても北極圏の海氷は予想より早く、夏の
間消失する恐れがある。

 北極海には南極大陸のような陸地はない。海が広がっているだけだ。
 よく誤解されるのだが、北極海の海氷が溶けても海氷の増加はない。
アルキメデスの原理で水に浮いた海氷が溶けても海水の増加はない。海
水が増えるのは、南極大陸やグリーンランドやヒマラヤなどの陸地にあ
る氷が解けるときだけだ。

 じつは虎視眈々(たんたん)、北極圏は各国が狙っている。
 南極条約があって資源の探査や採掘が禁止されているのと違って、北
極にはルールがない。

 いまは砕氷船の先導で試験航海が行われている段階だが、もし海氷が
消えれば、欧州から北米や東アジアに至る航路は大幅に短くなる。
 そのうえ北極圏の海底に眠る資源は膨大だ。

 南極条約があって資源の探査や採掘が禁止されているのとは違う。
 1961年に戦争一歩手前まで行った事件への反省もあって発効した南極
条約によって、南極の領有権は凍結され、資源の試掘調査も、経済利用
も、軍事利用もできないことになった。
 この南極条約は、日本など12カ国で採択された。その後南極の研究実
績を作った国が次々に条約に参加した。当初の3倍近い数の国が参加す
るようになったのだ。

 南極条約にもほころびがないわけではない。
 各国の領土宣言が凍結されている現状では、南極観測への新規参入が
後を絶たない。これは、もし将来凍結が解除されたときをにらんで、そ
れぞれの「国益」のためだ。中国や韓国も、比較的近年、参入した。

.. 2024年01月17日 04:44   No.2935010
++ 島村英紀 (社長)…915回       
 一方でアルゼンチンやチリでは領土の「実質化」も進んでいる。
 私がアルゼンチンの南極基地に飛行機で飛んだときには、子供連れの
お母さんと一緒だった。現地に行ってみたら、お母さんが学校の先生、
子供が生徒というわけだった。つまり、南極基地に学校や銀行や観光客
のためのホテルを作り、南極ベビーを誕生させるなど、居住や生活の
「実績」を積み重ねてきている。

 一応の南極条約があって資源の探査や採掘が禁止されているのと
違って、北極圏の資源の取り合いが各国の間で盛んだ。
 長い海岸線を持つロシアはもちろん、カナダ、アイスランド、ノル
ウェー、北極圏にグリーンランドを持つデンマークなどがある。
 むろん航路の利点が大きい日本をはじめ米国や東アジアの国々も
狙っている。
 北極海はいま、先を見越した注目が集まっている海なのだ。

 (島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 12月22日の記事)

.. 2024年01月17日 04:50   No.2935011


▼返信フォームです▼
Name
Email
ホームページ    
メッセージ
( タグの使用不可 )
Forecolor
アイコン   ICON list   Password 修正・削除に使用