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水俣病では、魚が原因であることをいち早く突き止めたにも関わら ず、すべての魚が汚染されているわけではないことを理由に漁獲禁止の 措置が取られませんでした。 工場廃水が汚染源である疑いが濃厚になっても、原因物質が特定され ていないことを理由に10年間排水が止められませんでした。その間に被 害はどんどん広がり、深刻になりました。ここから学ぶべきは「疑わし きものはとりあえず排除する」つまり「予防原則」を適用することです。
生態系への影響が「未知数」である原発「汚染水」(アルプス処理 水)は、「予防原則」に立ち、環境中に流すべきではありません。
2.東電と日本政府は、敷地内のタンクをこれ以上増やせないとして海 洋放出に踏み切りました。 しかし、その決定に至るまでに、複数の専門家が海外での事例などを 示し、海洋放出に頼らない方法を提案していました。日本学術会議も建 設計画がなくなった7,8号機原発用地をはじめ敷地を確保すれば、 タンクの増設はできるとした上で、長期陸上保管しながら放射性核種の 寿命を待ち、危険性を低減していくことが現実的だと指摘しています。 東電と日本政府はこうした海洋放出以外の方法を真剣に検討し、環境 中に出さない努カをしていません。正に、命、健康、生業より加害企業 の都合を優先した水俣病の再来であり、決して黙認することはできません。
3.水俣病は、汚染された魚を食べた者が、り患する病気です。 したがって、水俣市近郊の魚は売れなくなり、漁業が成り立たなくな りました。 同時に、病気発生のプロセスが解明されるまでは、「風土病」「伝染 病」とのうわさが広まり、野菜、くだものも売れなくなる、結婚や就職 を断られるなど「風評被害」による差別で二重三重の苦しみを経験しま した。
もし、チッソのエ場排水が「疑われた」時点で止められていたら、当 然被害は限定的であったはずです。 健康被害はもちろんのこと、地域全体が深刻な経済的ダメージを受け ることもありませんでした。 母親の胎内で水俣病にり患した「胎児性患者」は、諦めざるを得ない ことばかりの人生を振り返り、「なぜ、もっと早く工場排水を止めてく れなかったのか」と嘆き恨んでいます。
.. 2023年12月28日 05:02 No.2930004
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