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■--東海第二原発再稼働が迫るなか
++ 山崎久隆 (社長)…1603回          

東海第二原発再稼働が迫るなか防潮堤で
 | 欠陥工事が発覚(内部告発)   (上) (2回の連載)
 | 東海第二原発は「耐震性能がギリギリ」
 | 60年超運転で上昇する原発過酷事故のリスク
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

1.東海第二原発と「GX法」の成立

 2018年11月7日、現存する日本で最も古い沸騰水型軽水炉、東日本大
震災で被災した茨城県東海村の日本原電(以下、原電)東海第二原発の
再稼働と20年の運転延長が許可された。
 原子力規制委員会(以下規制委)は、老朽化がすすみ燃えやすい
ケーブルを使っているなど、現在の法令では基準に適合せず、震災で揺
さぶられ津波に被災した原発さえも「運転してよい」と、許可を出した。

 東海第二は2018年11月27日で運転開始40年を経過した。この日までに
許可されなければ廃炉になるはずだった。
 規制委は原発の安全性よりも原電の存続を優先した。
 2023年5月31日、今度は「長期停止期間」を運転期間から除外し、そ
の分だけ運転時間を延長できる「GX(グリーントランスフォーメー
ション)脱炭素電源法」なる法律が成立した。
 これにより東海第二原発についても、現在の計画ならば14年余りの期
間を、追加で運転延長できる法的根拠ができた。
 なお、この法律は9月12日に、2025年6月6日に施行する政令を閣議
決定している。施行されるまでまだ時間があることは幸いだ。
 批判を強めて、東海第二原発など、一つ一つの原発の再稼働や運転延
長を止める取り組みが必要だ。

2.耐震性の欠如と過酷事故の危険性

 東海第二原発については、原子力安全・保安院時代に行われた「耐震
バックチェック」で「耐震性能がギリギリ」であることが既に明らかに
なっている。
 「クリフエッジ」と呼ばれる破壊限界点は東海第二については「1038
ガル」と評価されたのに対し、再稼働申請に際して原電が設定した基準
地震動は「1009ガル」と、97%を超えている。すなわち「余裕」がわず
か3%弱。
.. 2023年12月26日 05:15   No.2929001

++ 山崎久隆 (社長)…1604回       
 原子炉圧力容器を支える「スタビライザー」と呼ばれる装置は、対震
限界点を超える危険性が高く、その場合、原子炉は上部の支えを失う恐
れがある。
 原子炉圧力容器が想定外に横に変位すれば、接続されている配管のう
ち小口径のものが引きちぎられたり、制御棒が正常に入らなくなったり
といった不測の事態が起こり得るのである。
 地震動の評価についても、発生する可能性のある地震の規模をピンポ
イントで「当てる」ことなどできないことは、地震学の常識だ。

 即ち、あらゆる予測には「ばらつき」「不確かさ」が存在する。これ
を考慮すれば、わずか3%程度の差では明らかに過小評価だ。
 ところが規制庁は、市民や国会議員による数次にわたる院内集会や規
制庁への行政不服審査口頭意見陳述に対する回答などで「基準地震動を
超える地震は想定していない、する必要もない」「基準地震動を超えた
としても直ちに重大な損傷を引き起こす破壊は生じない。なぜなら余裕
があるから」と、回答している。

 基準地震動は事業者が決めた値である。
 しかし規制庁は「規制側である」との公的立場も、規制値を定めた客
観的立場も取らない。
 「基準を超えてもすぐには壊れない」が、規制側の言うべきことでは
ないことは「速度を超過しても直ちに事故につながるわけではない」と
警察が言うわけがないことでもわかるだろう。規制側が事業者の主張代
弁者になっている。
 規制庁は「規制基準適合性審査を通過させること」を目的として、事
業者の立場で審査していることが露骨に見られるのである。(下)に続く

 ※初出:2023.12.22発行「たんぽぽ舎金曜ビラ」

.. 2023年12月26日 05:25   No.2929002
++ 山崎久隆 (社長)…1605回       
東海第二原発再稼働が迫るなか防潮堤で
 | 欠陥工事が発覚(内部告発)        (下)
 | 「鉄筋が深さ60m岩盤の位置まで達していない」
 | 内部告発がなければ設計通りの強度がない防潮堤ができた可能性
 | 60年超運転で上昇する原発過酷事故のリスク
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

3.東海第二原発防潮堤工事で重大な「施工不良」が発覚

 「コンクリート打設不良、鉄筋曲がり、基礎が岩盤に到達していな
い、安定液の比重が適切でない」そんな重大問題が起きていたのに、原
電は、あたかも順調に工事が進んでいるように装っていた。
 原電によると、6月に事態を把握し工事を中断していた。
 しかしこれを規制庁に報告したのは10月16日である。この間、調査と
称して隠蔽し続けていたことになる。

 17日になって、記者会見を開き、安全対策工事で施工不良箇所が見つ
かったため一部の工事を今年6月から中断していると発表した。
 この先、原因の調査と来年9月までに完成させるとする工事計画に影
響がないかなどを調べるという。

 施工不良があった場所は津波対策として新設している「鋼製防護壁」
の柱。
 「鋼製防護壁」とは地盤が悪いために基礎を打てないので設置される
長さ80mの構造物。地下約50m余りの2本の鉄筋コンクリート製の柱だ
けで支える構造になっている。
 事態が明るみになったのは、今年6月、南の柱で内側の作業をするた
め掘削作業を行っていたところ、コンクリート材の欠損や鉄筋の変形が
見つかった。

 具体的には、地下10mから40mの間の複数カ所でコンクリートが十分
充てんされておらず、隙間ができていたほか、柱の骨格となる鉄筋も変
形していた。
 原因は穴を掘ったあとに地盤が変形し、コンクリートがいびつに固
まったため隙間ができたこと、別の作業の過程で重機がぶつかり、鉄筋
が変形したと見ているという。
 しかし詳しい原因や安全性への影響は会見でも明確にせず、今後調査
を行い、同様の構造で作られている北側の柱についても調査するという。

.. 2023年12月27日 04:36   No.2929003
++ 山崎久隆 (社長)…1606回       
 原電では工法を変更する可能性もあるとして、16日に原子力規制庁に
不備を報告しており、工事計画に影響がないかも調べている。(以上は
NHKニュースなど)
 また、「しんぶん赤旗」の2023年10月17日記事では、以下の記載が
ある。
 「会見で江尻氏は、共産党と本紙に寄せられた同原発構内で作業して
いた工事関係者の証言として、取水口部分の防潮堤の基礎となる『地中
連続壁』でコンクリートが正しく打設されていない。基礎の鉄筋が正し
い形状で組まれていない。基礎が岩盤に到達していない。基礎をつくる
上での『安定液』の比重が正しく保たれていなかった、などの問題を指
摘。『これまで工事が順調であるかのように説明していたが現実は
違う。住民や自治体に対しても不誠実と言わざるを得ない』と指摘し、
原電に説明を求めました。」

4.内部告発で明らかになった問題は2つ

 一つ目は原電も認めた南側の柱のコンクリート充填不足と鉄筋の
変形だ。
 しかしもう一つの点については明らかにしなかった。
 それは、北側の柱で起きているとされる、柱を建設中に地盤内部に
あった障害物か何かに干渉したことで、鉄筋が深さ60m岩盤の位置ま
で達せず、中途半端なところで地盤の中に浮いているというもの。これ
は強度や安定性に極めて大きな影響を与える。
 原電はこれについては調査中として明確にしていない。

 事件は、内部告発で発覚した。
 掘削しなければこのまま完工していた可能性があり、その場合、設計
通りの強度がない防潮堤が出来ていたことになる。
 では他の場所の工事はどうなのか、全部調査しなければならない
はずだ。
 原電によると、防潮堤は全長1.7kmで、津波対策として2024年9月
完成予定、くいを打ち込めない取水口部分約80.6mを、地下50mの鉄筋
コンクリート造りの柱で支える構造になっている。

 原電の工事計画が明らかになる前の段階で、既に地元では軟弱地盤故
の工事の困難さが指摘されていた。それが現実のものとなった。
 柱は津波の衝撃も支えなければならないが、地盤の中で浮いていたり
鉄筋が変形しコンクリート材も不足していたら、たちまち破壊されてし
まうだろう。
 何が起きているのか、原電は直ちに解明しなければならないし、この
ような事件が起きる原発の再稼働については認めるわけにはいかない。

.. 2023年12月27日 04:44   No.2929004
++ 小山芳樹 (大学生)…83回       
やめてほしい「核融合発電」
 | 同じ過ちをまた繰り返すのか!?
 | 「夢の原子力」で取り返しのつかない大事故を経験したはず
 | <「核融合発電」50社連携 来春新組織 技術開発で協力>
 | 「日本経済新聞」の1面記事を読んで
 └──── 小山芳樹(たんぽぽ舎)

 12月26日「日本経済新聞」1面の見出し
 「核融合発電」50社連携 来春新組織 技術開発で協力…

◎ 1954年3月、国会で2億3千5百億円の「原子力予算」が可決
された。
 前年に、アメリカに原子力施設を見学に行った故中曽根康弘衆議院議
員が中心になったと聞いている。
 そして、2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震による地震と津波に
より東京電力福島第一原発大事故が起きた。
 「原子力予算」可決から、約57年後の原発大事故を経験した「日本」
は、いままた、「夢の核融合発電」の開発に大量のお金と人材を注ぎ、
「新たな大事故」を準備しようというのか。(「核融合発電」事故の前
に、老朽原発の大事故が予想されるが…)

◎ 東電福島第一原発大事故の原因究明、被害者への補償、放射能拡散
防止対策など早急に解決すべき課題があるにもかかわらず、「核融合発
電」の「新たな大事故」へ踏み出そうとする「日本」はどこまで「おろ
かなのか」。
 「原子力ムラ」(政府や電力会社、原子力関連産業などなど)のみなら
ず、「原子力ムラ」の存在を許している多くの民衆(私も含め)もまた
「おろかなのか」。

◎ 物理学者の槌田敦氏は、「核融合発電」は「不可能」だと主張して
いる。(地球上に太陽を創り出すようなもの=「不可能」)

◎ 後の世の人たちから「なんておろかなことを繰り返したのか」と言
われないよう、私も道を探っていきたい。


.. 2023年12月27日 04:51   No.2929005
++ 山崎久隆 (社長)…1610回       
稼働中原発は9基…大飯3、4、高浜1、2、3
 | 伊方3、川内1、2、玄海4(大飯、高浜は関西電力、
 | 伊方は四国電力、川内、玄海は九州電力)
 | 関西電力は日本で最も古い高浜1号に続き2号を再稼働させた
 | 2024年1月1日現在の原発稼働状況
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

電力会社 号 機 状 態 運転開始日  停止日  出力(万kW)
関西電力 美浜3 定検中 2023.10.25 82.6
 大飯3 運転中 2022.12.18    118
   大飯4 運転中 2023.10.27 118
    高浜1 運転中 2023.07.29     82.6
     高浜2 運転中 2023.09.16     82.6
   高浜3 運転中 2023.12.25  87
   高浜4 定検中 2023.12.16 87
四国電力 伊方3 運転中 2023.05.24 89
九州電力 玄海3 定検中 2023.11.10 118
 玄海4 運転中 2023.02.07 118
   川内1 運転中 2023.04.26 89
   川内2 運転中 2023.08.15 89
合 計 12基 運転中9基 停止中3基   873.2/1160.8

*高浜4号が定検入り。
*運転開始日は営業運転開始の日なので原子炉起動の日とは
 一月程度違いがある。
*運転可能な12基の原発のうち稼働中は9基(75%)、
 その出力は1160.8万kWに対して873.2万kW(75%)。

.. 2024年01月11日 06:07   No.2929006
++ 荒木福則 (高校生)…51回       
「脱炭素」に原発を使ってはいけない
 | カーボンニュートラルを遅らせることだ
 | 福島第一原発事故の被害の惨状を隠さず正確に世界に訴えることだ
 | 汚染水の海洋放出を中止して、その覚悟を世界に示すことだ
 └──── 荒木福則(神奈川県横浜市在住)

◎ 原発の安全防護第5層の「避難」を原発のコストを立てず(含めてい
ない)にしていることは、おかしいことだと思います。
 原発があるために、放射能をどこまで我慢、甘受するかという「規制
基準」にすぎない「安全基準」の「がまん」を、原発のコストを立てな
い(含めない)でしていることを、おかしなことだと思います。

◎「ドローバック」とは、辞書には「欠点、不利益、障害」とあります
が、以下に、この言葉を使います。
 原発があり、原発を使う上でネガティブ、マイナスなこと全てです。
 原発のコストが高くないというのは、このドローバックをコストとし
てカウントしていないか、コストになるのを先送りしているだけのこと
です、次の三つのことが有る限り。

一つは「放射能の影響が隠されたり、未解明なこと」
二つは「廃炉を含め、核のゴミ処分が未知なこと」
三つは「原発は必ず過酷事故を起こすこと」

 この三つのことに由来するドローバックは、金額で評価しきれるもの
でなく、金額で評価出来るものでさえ、それが近付き、あらわれ、わ
かってくるにつれて、コストと電気料金は上昇の一途をたどります。

◎ そして今、その上昇する前のコストの内、止めている原発を動かし
た場合に増加するコストだけを原発のコストのように、消費者を錯覚も
しくは印象操作しつつ、「原発は安い」、「再稼働すれば、電力会社は
値上げしなくてよい」、或いは「値下げ出来る」と、原発再稼働の
キャンペーンをしているわけです。
 原発は止まっていても冷却を要すため維持費は膨大てす。

◎ 福島第一原発事故で停止した原発の膨大な維持費が、事故以来、目
立たず問題にならなかった「からくり」を少し説明します。

.. 2024年01月12日 06:40   No.2929007
++ 荒木福則 (高校生)…52回       
 大手電力会社は、固定価格買取制度のもと、太陽光発電設置者が分散
電源である太陽光発電を電力系統に繋ぐだけで、その電気を7、
8円/kwhの安い回避可能費用で仕入れ、25円から30円の電気料金で消費
者に売ることが出来ます。
 電力系統へ接続する費用は、太陽光発電設置者が負担し、太陽光電気
の大半は地産地消のため、せいぜい、電力系統の末端の配電網を流れ近
隣の負荷で使われているからです。
 長距離の送電を要する太陽光電気も、送電線容量は十分に余っている
からです。送配電施設は、長年、電気料金を支払ってきた国民の資産で
す。

 この太陽光電気の売り上げと仕入れの差益が、膨大な維持費に充当さ
れてきました。
 その金額は、アンシラリーコスト(需給一致をとるための周波数調整
にかかる費用)を除いて10兆円ぐらいです。
 これは、太陽光発電の価値、ひいては賦課金です。

◎ 上に述べた文中の「コスト」を「危険」の文字に置き換えてもう一
度読んでみると、危険は、ひそみ続けて計り知れません。
 「危険」のあらわれた「事故被害」は隠されたり、放ったらかしにさ
れています。
 多くの危険が、これから子孫に、あらわれるばかりです。
 だから、「脱炭素」に原発を使ってはいけません。2050年カーボン
ニュートラルは、中国並みに10年或いは、それ以上、遅らせることです。

◎ 福島第一原発事故で、かくも未曾有の惨禍・被害があらわれ続け苦
しんでいること、狭い地震国の海岸に54基もの原発を建ててしまい、過
酷事故を再び起こすことに怯えていることを、隠さず正直に正確に世界
に向けて訴えることです。
 原発は、ライフサイクル全体のエネルギー収支比(産出エネルギー(
電気) / 投入エネルギー)が、高効率のLNG火力並みに低い上、冷却
に用いた後の温排水を海に捨てることから脱炭素電源足りえないことを
世界に理解してもらうことです。
 汚染水の海洋放出を中止して、日本の改心の覚悟を世界に示すこと
です。

◎ 太陽光発電は、コストが安いこととエネルギーの自立のためにも拡
大が必要です。設置する場所は探し、工夫すればいっぱい有ります。
 原発を必要とする理由は、何もありません、やめなくてはいけません。

.. 2024年01月12日 06:47   No.2929008
++ 山崎久隆 (社長)…1611回       
能登半島地震に対する規制委員会の反応…
 | 「自らの不明を恥じるどころかまるで人ごと」
 | 規制委の再稼働審査で考慮していない事態が起きた
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 以下は、東京新聞の1月10日の記事『志賀原発2号機の審査「相当な
年数かかる」 規制委、能登半島地震の検証考慮へ 耐震性も「大きく
なる方向に」』を元にしています。

1.規制李は過去の審査で何を言ったか

◎ 原子力規制委員会は10日の記者会見で、北陸電力志賀原発2号機の
新規制基準適合性審査について言及した。山中伸介委員長は「能登半島
地震を考慮するため、数年単位で長期化する見通しを示した。」という。
 いや、その前に、直前に行っていた現地調査の結果、「問題なし」と
してきた自らの不明を恥じて検証するべきなのではないか。

◎ 2023年3月3日、規制委の審査会合において、2022年に行なった現
地調査の結果を踏まえて「志賀原発の敷地内断層はいずれも将来活動す
る可能性のある断層には該当しない」と判断した。
 しかし、その判断が間違っている可能性が高まっている。

 そのうえ、規制庁は志賀原発の新規制基準適合性審査が、今後「それ
ほど長くはかからない」などとしていたという。地震が起きていなけれ
ば、規制委は地震対策について問題ないという結論を出しかねない局面
にあったのだ。

2.規制委の牧歌的な感想に怒り心頭

◎ 「山中委員長は、今回の地震を引き起こした断層などのメカニズム
が専門機関で検証された後、審査にどのように取り入れるかを判断する
必要があると指摘。地震の十分な検証には『相当な年数がかかると思
う』と述べた。将来的な審査で求める耐震性については、現状の想定よ
りも『大きくなる方向になると想像する』と話した。」

 いやその前に、志賀原発が立地不適当なのではないかを審査すべきだ。
 現地調査では海岸線に平行に走る福浦断層のトレンチ(断層面を切り
出して見えるようにしている溝)を見たはずだ。
 そこには少なくても2m以上の段差が認められている。
 南東−北西方向の応力がかかった逆断層面に沿って海側が隆起した。
 そのわずか1kmほど先に志賀原発が建っている。

.. 2024年01月18日 06:14   No.2929009
++ 山崎久隆 (社長)…1612回       
◎ さらに福浦断層と平行するように沖合4kmほどには兜岩沖断層
が、原発から北には今回の地震でも揺れの強度が変化した境目にある富
来川南岸断層が存在し、これら断層は一連の地震活動で動く可能性が
ある。

 1892年の高浜〜福浦沖の地震は、12月9日と11日に発生したものであ
り、地震規模はそれぞれ、M6.4とM6.3である。この震源は富来川南岸
断層と兜岩沖断層二つの断層の延長上にあり、活動領域が未知の断層で
ある可能性が高い。
 この地震では40cmの段差が生じたという。
 その他、周囲の断層の活動度と海岸線から内陸に掛けて存在する「離
水ベンチ」の分布からも、地震の度にメートルオーダーで隆起が起きて
いることは間違いない。

◎ 今回の能登半島地震において生じた4m以上の隆起は、千年から
三千年に一度の規模だと、多くの学者が述べている。
 千年や三千年とは、人間の歴史にとっては長時間だが、地質年代から
は瞬時だ。
 志賀原発の前面海底がメートルオーダーで隆起するような地殻変動
は、起こらない証明どころか、過去に何度も繰り返してきた証拠ばかり
がそろっている。

 そんなときに、キロメートルオーダーの断層を眺めて「動く」「動か
ない」と論じることのいかに愚かなことか。
 僅かな断層の活動で、地震の揺れを想定し、既に建ててしまった原発
の基準地震動をいじってみても、爪の先ほども安全性は高まることはない。

3.地盤変状を考慮して考えよ

◎ 「会見前の定例会合では、地震津波対策の審査を担当する石渡明委
員が、能登半島地震で未知の複数の断層が連動した可能性に言及。『地
震がどのように起こったかを調べ、審査に生かす必要がある』と指摘し
た。」
 能登半島地震の断層の連動性については、規制委は知らなかったかも
しれないが、研究者の中には指摘したものもあった。

.. 2024年01月18日 06:22   No.2929010
++ 山崎久隆 (社長)…1613回       
◎ 渡辺満久東洋大学教授の「能登半島南西岸変動地形と地震性隆起」
(地理学評論2015年10月)によると、
 「富来川南岸断層の走向はNE(北東)?SW(南西)方向であるが,海域
へ連続し,海岸からやや離れた位置で走向をN(北)?S(南)に転じていれ
ば,上記の変動地形学的特長はよく説明できると思われる.原子力安全・
保安院(2009)によれば,上記で想定しているような調査地域西方(
3〜4km)の海域に,東側隆起の兜岩沖断層の存在が知られている.
調査地域の隆起運動は,このような活断層の活動によってもたらされた
可能性がある.」との指摘がある。

◎ この断層群が活動したら、原発は海から引きはがされるように持ち
上げられ、海底取水口や海底トンネルは崩壊、さらに敷地内にも無数の
断層や地盤変異が発生し、冷材却配管や電源設備は全壊するだろう。
 それでも原発の安全は確保できるというならば、それはSFの世界で
あり、工学でさえない。

 理学を軽視し、工学的安全設備の充実という力業で原発の過酷事故を
回避できるとしてきた日本の「世界で最も厳しい水準の安全規制」は、
能登半島地震の現実の前に、木っ端みじんに砕かれたと言える。
 日本中の原子力施設や長大なトンネル建設は、メートルオーダーの地
盤変状を考慮して造られていない。

 トンネルならば、不幸にして居合わせた人々の犠牲と、インフラとし
て巨額の費用が無駄になるが、原発はそれでは済まないことを福島第一
原発事故で思い知ったのではないか。
 日本中の原子力施設を全部廃止すること、それ以外にカタストロフ(※)
を回避する方法はない。

(※)「カタストロフ」(英語表記)catastrophe
  デジタル大辞泉 カタストロフィ(catastrophe)
  《「カタストロフ」とも》
・突然の大変動。大きな破滅。

.. 2024年01月18日 06:29   No.2929011


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