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■--豪雪時の実効性不透明
++ 上岡直見 (社長)…327回          

「豪雪時の実効性不透明」「重大事故下 命どう守る」など
 | 「来年に再稼働が予定されている女川2号機に関する特集」掲載の
 | 「河北新報」記事の紹介
 └──── 上岡直見(環境経済研究所代表)

 河北新報は従来から原発問題に積極的に取り組んでいるが、来年に再
稼働が予定されている女川2号機に関する特集が掲載された。
 タイトルと本文の一部を抜粋して紹介する。

[特集・原発と被災地 避難計画考]
2023年11月20日「豪雪時の実効性不透明」(柏崎刈羽の情報を参考にして)

2023年11月21日「県境越え 確実性に不安」(浜岡の情報を参考にして)

2023年11月23日「複合型 具体的数値なく」「教訓生かし不断の進化を」
(宮城県内の情報から)「消えぬリスク (下)宮城」
 紙面より一部抜粋

 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)から南西約46キロの利府町
で9月、重大事故に伴う甲状腺被ばくを一定程度防ぐ「安定ヨウ素剤」
の配布会があった。生活協同組合あいコープみやぎ(仙台市)が企画し、
川内圏を中心に約30人の組合員が参加。医師が問診や服用上の注意を説
明し、約130人分を配った。(中略)

 国の指針に基づくヨウ素剤の事前配布は2016年度に開始。女川原発で
は、5キロ圏の予防的防護措置区域(PAZ)とPAZを通って避難する
「準PAZ」に済む40歳未満の人や妊婦らに限られる。
 住民が避難する7市町の計画で唯一、県外避難を選択肢に入れるのが
美里町だ。
 相沢清一町長は「最悪の事態を考えた場合、県内避難だけでは不十
分」と指摘。(中略)

 新潟県の避難方法検証委員会委員を務めた環境経済研究所(東京)の上
岡直見代表は「宮城県の広域避難計画は本来、科学的な試算などを活用
して最大想定から出発すべきだが、現状は不明な点が多く実効性が疑わ
しい」とみる。
 震災の巨大な揺れと津波で被災した原発の再稼働が刻一刻と近づく。
 住民を守る「最後のとりで」を築き上げ、想定外をゆるさない不断の
見直しが問われる。

2023年11月24日「重大事故下 命どう守る」
 (福島の経験から桜井南相馬市前市長、東電刑事裁判も担当している
  大河弁護士、元規制委員長の田中氏)
.. 2023年12月06日 05:01   No.2913001

++ 島村英紀 (社長)…906回       
和歌山県が防災メールでまた誤報…約2万6000人に「津波予報」
| 地方自治体による災害・避難情報配信、種類あまりにも多く
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その518
 └──── 島村英紀(地球物理学者)

和歌山県が防災メールで、10月31日にもまた誤報を出した。気象庁か
ら情報が出ていないにもかかわらず約2万6千人に「津波予報」と配信
してしまったのだ。
 これは気象庁が直接、出しているものではない。全国の自治体が都道
府県別に出しているもので、自然災害の犠牲者ゼロを目指して、防災気
象情報に関する対策の一環として携帯電話へのメールサービスを
行なっているものだ。この場合は和歌山県の責任になる。

 じつは和歌山県は先週この欄で報じた10月5日にも伊豆諸島の鳥島近
海を震源とする地震のときに出ていた「津波予報」の文面の中に「津波
注意報」と記載されていたのをシステムが誤って抽出し、和歌山県の情
報と結び付けて「注意報」を出してしまったのだ。
 それだけではない。今年1月にはなんでもないときに「津波注意報」
が誤って出された。10月31日午後3時すぎには、やはりなんでもないと
きに防災配信サービスで「津波予報」に関するメールを送信したが、2
分後に誤報であったことがわかり、15分後に誤報であったことを知らせ
るメールを配信しなおした。メールはすでに約2万6千人に配信されて
いた。

 和歌山県は「再三の誤報により皆様には多大なるご迷惑、ご心配をお
かけしたことを深くお詫び申し上げます」と平謝りだ。
 それぞれの携帯電話会社の緊急速報メールサービスを活用して、サー
ビスの対象エリアにいる住民に災害・避難情報を配信する地方自治体が
増えている。

 内容も緊急地震速報、津波警報、に限らず、気象に関する特別警報、
災害・避難情報(Jアラートにて配信される国民保護情報など)と増え
てきている。
 例えば、津波注意報や津波警報、大津波警報、有効性が疑問視されて
いる東海地震予知情報も、地方自治体が携帯電話会社経由で出す。
 配信元も気象庁(緊急地震速報や津波警報)だけではなく、配信元が
各省庁・地方公共団体に拡がった。

.. 2023年12月07日 07:02   No.2913002
++ 島村英紀 (社長)…907回       
 弾道ミサイル情報(Jアラートの国民保護情報)や航空攻撃情報、ゲ
リラ・特殊部隊攻撃情報、大規模テロ情報、新型インフルエンザ等対策
特別措置法に基づく感染を防止するための外出自粛要請までも、それぞ
れの中央官庁経由で地方自治体が出すことになっている。

 それだけではない。具体的には災害・避難情報、高齢者等避難避難指
示、緊急安全確保もそれぞれの中央官庁経由で地方自治体が出す。
 被災のおそれのあるエリアに一斉配信という「手軽さ」が受けた
ものだ。
 あまりに多すぎないだろうか。
 一般人から見れば、気象庁から直接であろうと中央官庁からだろうと、
一刻を争う情報だけに、一瞬の間違いは許されないのだ。

(島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 11月17日の記事)

.. 2023年12月07日 07:09   No.2913003
++ 島村英紀 (社長)…908回       
「月」誕生のナゾ解明へ…鍵握る準衛星「カモオアレワ」
| 巨大惑星が初期地球に衝突、残骸から生まれたきょうだい
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その519
 └──── 島村英紀(地球物理学者)

 月がいつ、どうやって出来たかは、ようやく解けかけてきたナゾだ。
 多くの学者は地球の歴史のごく初期に巨大な惑星が地球に衝突したの
だと考えている。この理論は「ジャイアント・インパクト仮説」と呼ば
れ、月と地球の基本的な特徴の多くを説明している。この星にはすでに
名前が付いており「テイア」と呼ばれる。

 しかし、テイアの存在を示す直接的な証拠は、まだ見つかっていなかった。
 学者の間では、テイアが地球に残した残骸は地球内部の4000度Cにも
及ぶ熱で溶解してしまったとの考えが強かった。

 だが、新理論が今年になって登場し、テイアの残骸が部分的に残って
いて地球内部にあると示唆した。
 地球に衝突後、テイアの溶けた塊はマントルの中に沈み込んで固体化
した。その結果テイアを構成する物質の一部が地球の核のすぐ上、地下
約2900キロの位置に残っているのだという。

 既に地球の奥深くに二つの巨大な塊が埋まっていることは学者が認識
していた。
 これらの塊の幅は数千キロ。周囲のマントルに比べ鉄の濃度が高い
ために地震波の測定で検出された。
 ただ、塊の起源については学者にも分かっていなかった。
 「LLVP(巨大低速度領域)」と呼ばれるこうした塊の一つはアフ
リカの下、もう一つは太平洋の下にある。これが巨大惑星の名残りに
違いないというのが新理論だ。
 ここで援軍が現れた。

 準衛星「カモオアレワ」は惑星の衝突で吹き飛ばされた月の破片で、
そのまま軌道に乗ったため、準衛星となった可能性があるという。
 カモオアレワは、ハワイで発見され、ハワイ語で「振動する天体」を
意味する。
 小惑星カモオアレワは、地球を公転しているように見えることから
「準衛星」の1つとされている。

 準衛星とは、ある惑星(地球)から観察すると、その惑星を周回して
いるように見える小天体だ。じつは太陽の周りも回っているのだ。
 準衛星は惑星にいくつもある。地球にも十数個が知られている。

.. 2023年12月10日 09:00   No.2913004
++ 島村英紀 (社長)…909回       
 一般に、準衛星はせいぜい数十年程度しか地球のそばにいない。とこ
ろがカモオアレワは、数百万年もの間、地球に寄り添うだろうと予測
されている。
 カモオアレワが反射する光のパターンが、アポロ計画で持ち帰られた
「月の石」と一致しているから、カモオアレワが反射する光のパターン
はもともと月の一部だったのではないかという仮説は以前からあった。
 ただ、確証がなかったのだ。

 準衛星カモオアレワは月のきょうだいとはいえ、とても暗い。肉眼で
観察できる星より400万倍も薄暗く、直径は約50メートル。
 もっとも接近したときで地球との距離が1400万キロと比較的近い。
これは月の30倍ほどだ。
 ハワイのパンスターズ望遠鏡で発見されたのはこの暗さゆえに2016年
になってのことだ。

(島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 12月1日の記事)

.. 2023年12月10日 09:06   No.2913005
++ 山崎久隆 (社長)…1600回       
COP28で「原発3倍増」宣言
 | 世界を危機に陥れる宣言の内容とは (下)
 | 老朽炉の延命が特記される異常さ
 | 原発を危険にさらす=地震や津波、洪水や旱魃
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

4.ネックとなるのは資金とサプライチェーン

 参加国の「確約」にはどのようなことが記載されているのだろうか。
 「原子力投資に革新的な資金調達メカニズムを含めて結集することを
確約」と「原子力発電所が全ライフサイクルにわたって使用する安心・
安全な技術のために、核燃料を含む強靭なサプライチェーンを推進」
で、資金調達とサプライチェーンの維持に大きな問題があることが明ら
かになっている。

 原子力開発には巨額の初期投資が必要であり、さらに運転を継続する
には核燃料を含むサプライチェーンの維持にも費用がかかる。
 それも、事故を起こさないように、高い技術的を有する企業グループ
がメンテをする必要がある。こうしたシステムを有していて他国に供給
できるのは米国やフランスのような核兵器国だけだ。

 結果、原発を導入する国は、資金的協力も技術の提供もメンテナンス
も、加えて核燃料の供給も全て、原発供給国のコントロール下に置かれる。
 原子力植民地体制に組み込まれていくことになる。自由と民主主義の
対極にエネルギー政策が置かれるのだ。

5.老朽炉の延命が特記される異常さ

 「技術的に実行可能かつ経済的に効率的である場合には、安全性、持
続可能性、セキュリティ及び不拡散の最も高い基準に沿って運転される
原子力発電所の寿命を適切に延長することの重要性を認識」と、わざわ
ざ老朽原発の延命が主要な課題として記載されている。
 老朽原発は潜在的危険性が高く、安定的な運転もできない場合が多い。
 福島第一原発事故の教訓もそこにあり、旧ソ連製原発の安全性が国際
問題になったことを忘れたのか。

.. 2023年12月14日 04:46   No.2913006
++ 山崎久隆 (社長)…1601回       
 チェルノブイリ原発事故について「あればソ連の原発だから」という
昔の安全神話の復活だ。
 そんな原発が世界中で多数稼働していたら、確率的に重大事故を起こ
す可能性も高まる。
 必ずしも安全に投資し続ける国ばかりではないのに、老朽炉を無理矢
理動かさなければならない事情は、新規原発の建設に巨額の費用がかか
ることも影響している。
 日本であったように、一定年限に一定数の原発を動かすには、老朽炉
に頼らざるを得ないということだ。
 本末転倒と言うべきことである。

6.地震や津波に加え、近年は洪水や旱魃

 原発の「最大の脅威」自然災害は、日本では地震と津波と火山だが、
世界では洪水や旱魃もまた、原発を危険にさらしている。
 日本の地震などよりも発生頻度が高く、連続して襲いかかるという特
徴もある。

 旱魃の影響では、2022年のフランスを特記すべきだ。「猛暑で原子炉
を冷やせない事件」が発生したのは7月。
 ローヌ川とその支流で原発の約4分の1の冷却水を賄っている。旱魃
と猛暑の影響で、ローヌ川の温度が上昇、原発が止まった。

 原発は取り込んだ水で原子炉の熱を捨てるが、発電に寄与する熱量の
倍を捨てている。原子炉の原理的制約だ。
 川の水は海ほど豊富でもないため、水温が高いと下流が高温になりす
ぎ、川の生態系を破壊する。それを防ぐには停止するしかない。同時に
旱魃で水がなくなれば冷却水喪失にもなりかねない。

 フランスの原発はこの時期、発電量が半減してしまった。同じことは
米国のテネシー川、そして沿岸部でさえ起きている。
 これに加えて洪水が追い打ちをかけている。
 2011年6月の米国、ミズーリ川沿いに建つフォート・カルフーン原発
の敷地内は茶色く濁った水に覆われ、今にも建屋が浸水しそうに見えた。
 福島第一原発事故が起きて3ヶ月、米国でもあわや全電源喪失からメ
ルトダウンする恐れがあった。こうした洪水は近年増えている。
 「温暖化対策で原発」は、「気候変動対策」としても成立しなく
なったのである。 (12月8日発行「たんぽぽ舎金曜ビラ」より転載)

.. 2023年12月14日 04:59   No.2913007
++ 柳田 真 (社長)…851回       
原発は地震に弱い(電力会社も知っている)
 | 原発は私の家より地震に弱い
 | 「大飯原発は700ガルだが、私の家は3400ガルに耐えられる」
 | 樋口英明氏(元裁判官)の書籍『南海トラフ巨大地震でも原発は
 | 大丈夫と言う人々』から「地震に弱い」を紹介
 └──── 柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)

◎原発は地震に弱い。とっても弱い。電力会社もこの事実を(しぶしぶ)
認めている。
 実例を挙げよう。「関西電力の大飯原発は700ガルの耐震だが、私(
樋口英明氏)の家は3400ガルに耐えられる」
 日本原電の東海第二原発(茨城県東海村、110万kw、ふっとう水型)
は1009ガルの耐震だ。

◎地震大国日本に原発はムリなのだ。世界の原発は大半が地震のない
土地と国に建てられているのに。
 世界の地震の10から15%は日本で起きていると言われるのに。

◎結論=原発は地震に弱い。次の大地震が原発をおそったら、大惨事だ。
 地震がおそう前に、原発はやめよう(廃止しよう)。
 理由…電気は充分足りている。今夏の暑い中でも、関東地方は原発電
気ゼロで充分やってきた。原発電気はいらない。原発電気は買わないぞ。

◎12年前の東電福島第一原発大惨事(放射能放出事故)を、東海第二原発
で繰り返さないために、東京圏を放射能の街にしないために、東海第二
原発の再稼働阻止に全力で立ち上がろう。子や孫の未来のためにも。

.. 2023年12月16日 07:42   No.2913008
++ 島村英紀 (社長)…910回       
海流に乗って40年ぶりに動き出した世界最大の氷山「A23a」
| 溶けた氷山の重要な役割
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その520
 └──── 島村英紀(地球物理学者)

 世界で最大の氷山が動き出した。面積は約4000平方キロで、東京都
(2194平方キロ)のほぼ2倍という大きさだ。
 この氷山は、もともと1986年に南極の棚氷から分裂したものだった。
 しかし、すぐにウェッデル海の海底に引っかかり、実質的に世界最大
の氷の島になった。「A23a」と名づけられている。
 A23aは、もともと南極で2番目に広い棚氷「フィルヒナー・
ロンネ棚氷」から大量に誕生した氷山の一部だった。

 86年当時、A23aにはロシア(旧ソ連)の研究基地があった。ソ連
の科学者たちは、基地に置かれていた機材が失われるのを恐れて、慌てて
回収チームを派遣した。
 だが結局、A23aは海底に引っかかり、それ以上流れていくことは
なかった。
 ところがA23aが、2020年から約40年ぶりに移動していることが確認
された。海底を外れたA23aは、さらに南極海を越えて外へ流れてゆく
と予測されている。

 では、なぜ約40年間もA23aは、海底から外れ、再び動き出したの
だろうか?
 A23aはだんだんと溶けて、海底の引っかかりが弱くなり、ちょうど
動き出すタイミングだったとも考えられる。
 A23aは現在、西南極の南極半島を通過して南西洋方面へ流れる
予測だ。現在は1日5キロほどの速度で移動している。
 私が南極海で見た氷山はやはり温かい海へと流れ出していた。この
氷山は小さくて、温かい水温ですでに角が丸くなっていたが、上に
ペンギンが何十羽も乗っていた。
 どこまで行くのだろう。地球温暖化でペンギンが全滅してしまわな
ければいいが。
 気候変動の影響で南極の氷に変化が起きており、毎年大量の氷が失わ
れているという。
 だが氷山自体は、それほど悪いものではない。氷山は海の生態系に
重要な役割を果たしているからだ。
 ほかの氷山と同様、南極環流に乗り、「氷山の路」として知られる
南大西洋方面へと流れていくと予測されている。

.. 2023年12月17日 08:07   No.2913009
++ 島村英紀 (社長)…911回       
 ちなみにこの海流は、イギリスの有名な探検家シャクルトンが16年、
エンデュアランス号で遭難した後、南極から脱出するために利用した
海流でもある。シャクルトンは救命ボートで南大西洋の島サウスジョー
ジア島を目指した。この島では海に浮かぶ氷山がよく目撃される。
 つまり海流に乗った氷山は、しばしばこの島付近の浅い大陸棚に
たどり着く。そして最終的には、どんなに大きな氷山も、溶けて
消えてしまう。

 (島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 12月8日の記事)

.. 2023年12月17日 08:13   No.2913010


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