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ガザの高校生「普通の生活知らない」 人道危機が深刻化 「パレスチナの願いは、この戦いを止めること」
中東で活動する国際NGO「日本国際ボランティアセンター(JV C)」の広報担当、並木麻衣さん(38)のもとに、パレスチナ自治区ガザ出 身の友人から再びメッセージが届いた。 イスラエルによる封鎖と地上作戦で人道危機が深刻化する中、ガザの 人たちはどんな思いでいるのか。日本ができることはないのか。 (木原育子)
「僕が生まれてから戦争ばかりだった。普通の生活がどんなものかも 知らないし、僕がそれを味わうこともきっとないんだ」 ガザに住む男子高校生が23日、中東のヨルダンに身を寄せる40代の母 親に電話で嘆いた。 母親の女性は並木さんのJVCパレスチナ駐在員時代からの友人だ。 女性には小学生から高校生までの4人の子どもがいる。子どもたちは 元夫とガザで暮らす。 イスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃後、女性は12日 に初めて子どもたちと電話でつながった。小学生の娘は「ママ、ここか ら出して」と泣き叫んだ。
ガザの窮状を世界に知らせるメッセージとして、女性は会話内容を並 木さんに託し、「こちら特報部」は 19日付で詳報した。その後、女性は 23日に電話でやりとりした内容を再び、並木さんに託した。
以前は反抗期の影響もあって、あまり母親と話さなかった高校生の息 子が、今は思い詰めたように胸の内を明かすようになった。 「いつかガンを治す医者になりたいと思っていたし、他にもたくさん の夢があるけど、それはどうやら叶わないみたいだ」。23日の電話で息 子は切り出し、こう続けた。「パレスチナでは子どもが大人になること すら叶わないんだから」女性は自身の思いも並木さんに伝えた。「子ど もたちと同郷の親類は一家で亡くなっているし、私の親類も友人も亡く なった。何の罪もない人々がガレキの下敷きになっていく」
さらに、こう訴えた。「私たちとウクライナの人々との間に違いはな いのに国際社会の反応は違う。ダブルスタンダードが私の大切な人たち を殺していく」 29日も女性は子どもたちと連絡を取った。「いつ爆撃があるか分から ない。今は無事だが、恐怖とパニックで頭がいっぱいだ」と切迫した 様子だったという。
.. 2023年11月02日 05:04 No.2892001
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