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大地震だけだけでなく地下水の使用でも | 地球の自転は影響されるのです | 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その512 └──── 島村英紀(地球物理学者)
2004年に起きたスマトラ沖震(M9.4)のときは、北極と南極にある 地球の回転軸が約15センチずれた。
話は変わる。北米大陸の中西部アイダホ州、ネバダ州などを飛行機で 飛ぶと丸い畑が目につく。これは地下水をくみ上げて地表の作物に水を 撒くための仕掛けで、タイヤのついた半径400メートルもの長いパイプを 回転させて水をやる道具だ。ここは米国有数の穀倉地帯で、小麦をはじ め大豆やトウモロコシなどを生産する。 陽は照っているから、水だけをやれば作物は育つ。この地域はほぼ全域 が降水量が少なく、河川や湖沼などの地表水が少ない。そのため、地下水 が重要な水道水源、農業用水源となっている。
20世紀初めまで農業が行われていなかった砂漠地帯でもこのような灌漑 農業が行われるようになった。いまは米国有数の穀倉地帯である。 米国でも、他のところには、雨が多くてこんなことをしなくても作物が とれるところはある。 地下水を続けてくみ上げると地下の塩分が出てきてしまうので、耕作地 を捨てて別の土地に移る。土地は米国中西部にはいくらでもある。
地下水を使って灌漑農業をやっているところは米国だけではない。イン ドなどアジアや中央アジアや中東でも、盛んに行われている。 農業はこれでもいいかもしれないが、供給源・米国中西部に広がるオガ ラカラ地下水は痩せ細る一方だ。オガララ地下水は世界最大級の地下水層 で、総面積は日本の国土の約1.2倍、45万平方キロにもなり、同国中西部・ 南西部8州にまたがっている。
地中から汲み上げている水のほとんどは、何千年も前のものだ。ある日 に雨が降って1週間で地下水層に届くというわけではない。 こうして、いわば未来の人類から資源を奪っているわけだ。
.. 2023年10月15日 06:28 No.2876001
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