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原子力規制委の長期管理施設計画パブコメ締め切り間近(8/4まで) | 加圧熱衝撃により過酷事故が起きるリスクは高浜原発が高い | 老朽化した原発を一定の期限で確実に廃炉にする仕組みがなくなった | 危険な原発を止めさせるためにあらゆる努力を (その3) └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
◎脆性遷移温度が危険域に達している高浜原発1号機
高経年化対策上抽出すべき主要6事象として挙げられているうちの中 性子照射脆化について、最も厳しい状態にあるのは運転開始49年に達す る高浜原発1号機だ。 運転中に原子炉の圧力容器が急激に破断する「加圧熱衝撃」のリスク が最も高い。 圧力容器の健全性を調べる方法は「原子炉構造材の監視試験方法」に 規定されている。 原子炉内に装着する監視試験片のシャルピー衝撃試験や脆化予測式か ら脆性遷移温度を求める。
「原子力発電所用機器に対する破壊靭性の確認試験方法」では破壊靭 性試験(CT試験)をもとに破壊靭性遷移曲線を求め、熱衝撃PTS遷 移曲線と比較して、圧力容器の健全性を評価する。 しかしこの方法には問題がある。
2011年の保安院・高経年化意見聴取会において脆化予測式、反応速度 式の誤り、次元の不一致が指摘され、改訂が求められたにも関わらず、 日本電気協会は10年以上経っても改訂案を作れていない。 規制委は間違った規程のまま圧力容器の安全性審査をおこなっている ことになる。 評価上は、高浜原発1号機でも破壊靱性遷移曲線とPTS状態遷移曲 線は交わっていないので、破壊が起きないとされる。 しかしこの評価自体、正しいとはいえないのだ。
◎加圧熱衝撃の恐ろしい実態
まず、運転中の原発で冷却材喪失事故が発生する。原因はいろいろ考 えられよう。 例えば給水系統に直接繋がる配管の破断、主蒸気管破断、蒸気発生器 伝熱管破断などがある。その結果、非常用炉心冷却装置が作動する。 実際に1991年には美浜原発2号機で蒸気発生器伝熱管の破損から冷却 材喪失事故が発生し、ECCSが作動した例がある。 この時に入る水は摂氏30度以下の冷たい水だ。炉心は運転中であれば 300度を超える高温だ。 このため圧力容器が急冷され、加圧熱衝撃が発生する。
.. 2023年08月05日 07:40 No.2820001
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