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高浜1号機の重大事故の社会経済損失は200兆円 | 東海第二の重大事故による社会経済損失が約600兆円 └────上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕
2023年7月28日に関西電力高浜発電所1号機が再稼働した。老朽原発の 技術的な問題は各所でたびたび指摘されているが、ここでは高浜1号機が 重大事故を起こした場合の社会経済損失を考えてみたい。高浜1号機を 老朽原発で西の横綱とすれば、東の横綱は東海第二だが、私は今年の たんぽぽ舎総会で、東海第二の重大事故による社会経済損失が約600兆円 という推計を報告している。
関西電力の原発事故による社会経済損失について、2005年に朴勝俊氏 (当時神戸大学、現関西学院大学)が大飯3号機を事例として試算し 最大279兆円と報告している。(※) これに対して、当時の原子力関係者から、そのような重大事故の可能性 は考えられない、仮定に基づく試算は信用できない、根拠もなく人々の 恐怖を煽るといった猛反発が寄せられた。
ところがその6年後、実際に福島第一原発事故が起こり、東電がこれ まで支払った補償額だけでも約11兆円に達している。しかし実際の被害 は、金額に換算できる項目だけでも、とうていこれに収まっていないこと は明らかだし、民間研究機関の試算では35〜80兆円という数字もある。 当時の原子力関係者の批判こそ、根拠のない安全神話に基づくものであった。
朴氏は大飯3号機を事例に試算しているが、高浜1号機も立地条件 などはほぼ同じである。大飯3号機は出力118万キロワットに対して 高浜1号機は83万キロワットである。朴氏の試算の方法では、被害額は 出力におおむね比例するので、高浜1号機の重大事故の場合の社会経済的 損失は、単純に考えれば200兆円という規模になる。
.. 2023年07月30日 07:48 No.2815001
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