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実質賃金減連続14カ月 アメリカの俳優労組のスト 北丸 雄二(ジャーナリスト)
米国の俳優労組のストライキが連日報道されています。一方で脚本家 労組のストも五月から続いていて、二労組同時ストは1960年以来63年 ぶりとか▼映画がテレビ放送され、次にはビデオ販売、そして今は ネット配信と、時代ごとに新たに拡大する利益の公正配分を求めると 同時に、今回はAIによる俳優不要論にも対抗してのストです。俳優 労組16万人、脚本家労組11500人が全員参加して、米映画界は年末まで 全く動かないかもしれません▼労働組合というと日本ではなんだか 「左翼」運動と見られて組織率も下がり、今では過去最低の16.5%。 実は企業利益優先の傾向がある米国でも組織率は10.1%と低いのです が、こちらはアメリカ人が嫌いな「左翼」組織というより、昨今の ビッグ・テックなどベンチャー隆盛の中での新たな雇用形態の保護運動、 民主運動の基本として見直される傾向にあります▼最近のギャラップ 調査でもアメリカ人の71%が労働組合を「支持」という高い数字。 その中でグーグルやアマゾンでの労組結成のニュースや、ウーバーなど の単発の請負労働も「ギグ・ワーカー」として雇用保護の動きがあります ▼みんな自分の人生の主役スター。にもかかわらず実質賃金が14カ月 連続マイナスの衝撃の日本の労働者も、アメリカ人並みにもっと自己 主張して怒っていいはずです。 (7月21日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)
.. 2023年07月23日 08:46 No.2809002
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