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「電気が足りないキャンペーン」と東海第二原発 | 推進すべき政策は原発再稼働ではなく省エネ └──── 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕
昨年の今ごろは「電気が足りない、原発を動かさないと死人が出る」 と大騒ぎしたのに、今年はさっぱり聞かないのはなぜだろう。 マスコミの取り上げが汚染水に移った背景もあるだろうが、数字で確 認してみる。 今年の東京エリアの最高気温日は7月12日だったが、当日ピーク時の 電力需給は次のとおりである。(東電ホームページより)
需 要 5,406(万キロワット) 供給力 6,082(同)(うち太陽光で1,017万キロワット)
ちなみに昨年の最大ピーク(8月2日)は 需 要 5,930(万キロワット) 供給力 6,442(同)
となっていて供給力は余裕がある。 これに対して東海第二原発は定格で110万キロワットだから、仮に稼働 したとしても供給力の2%にも満たない。 また過去の東海第二原発の年間の発電実績をみると、事故にならない までもしょっちゅう停まっていて運用が安定しないので「安定電源」と もいえない。
いずれにしても「電気が足りないキャンペーン」はまやかしであり、 東海第二原発を稼働しても、供給力にも大した貢献はないし安定電源で もないことがわかる。 また推進派が「原子力は発電コストが安い」と主張したところで、 供給力の2%にも満たないから全体に対する効果はほとんどない。 ただし温暖化との関係にかかわらず化石燃料の大量使用は多くの弊害 があることは事実だから、まず推進すべき政策は原発再稼働ではなく省 エネである。
.. 2023年07月19日 04:43 No.2802010
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