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時代閉塞の現状 鎌田慧(ルポライター)
多数を恃んだ自公政権の勝手気ままが横行して歯止めがかからない。 国会を終えて解散もせず、岸田首相、外遊の報道によって支持率向上を 図るようだが、4代目を狙っている問題の息子さんは連れていかない ようだ。 岸田首相もまた、自民党大派閥の安倍派の番頭さんよろしく、人気取り だけに専念しながら、バイデン大統領からいわれたからか、自分でいい だしたのか、安倍内閣以来の米日軍事同盟強化のため、軍備増強、防衛費 倍増に突進している。 防衛産業強化法が先月成立した。国家資金投入の大盤振る舞いには維新 ばかりか国民民主、さらに立憲民主まで賛成した。三菱重工、川崎重工、 三菱電機などにも、予算を回す政策だ。 話は旧聞に属するが、4月下旬の連合メーデーで、岸田首相に発言さ せたが、立憲民主の泉健太代表は演壇にさえ上げてもらえなかった。労 働者の代表が「労働者の祭典」で軽んじられたのだ。それも芳野友子会 長は岸田首相に演説させて「光栄」といったとか。 「時代に没頭していては時代を批評することができない」とは、石川 啄木が113年前の大逆事件直後に書いた「時代閉塞の現状」の結語だ。 いまの時代の「閉塞感」を若者たちがどれだけ認識しているのか。 「批評」は批判であり批判は行動をもたらす。日本の「崩壊感」 「溶解感」は急速に深まっている。 (7月4日「東京新聞」朝刊『本音のコラム』より)
.. 2023年07月09日 08:26 No.2799001
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