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「ワタシタチハニンゲンダ!」 日本における外国人の差別や人権蹂躙の現状を はっきりと見せてくれるドキュメンタリー映画
前川喜平(現代教育行政研究会代表)
難民申請中の外国人の強制送還を可能にする入管難民法改正案が、 連休明けにも衆院本会議で可決される。 人間の命を粗末に扱うこんな法案は廃案にするしかない。
自民党は立憲民主党との協議で、日本で生まれ育った子どもへの在留 特別許可を提案したが、よくも平気で子どもたちの命を取引に使えるものだ。 法案を提出した政府・与党と賛成に回った野党には、人権の観念が 欠落しているのだろう。 かつてある法務官僚が語った「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと 自由」という外国人差別が、多くの政治家の意識の中に根を張っているのだ。
そんな政治家が選挙で選ばれてしまうのは、日本国民の中に人権の観 念の欠落した者が多いからだ。すべての人間が生まれながらに持ってい るのが人権であり、人権に国籍の違いは関係ないということが、わかっ ていないのだ。
高賛侑(コウチャニュウ)監督の映画「ワタシタチハニンゲンダ!」 は、難民認定制度、技能実習制度、朝鮮学校差別など、日本における外 国人の差別や人権蹂躙(じゅうりん)の現状をはっきりと見せてくれる ドキュメンタリーだ。日本国憲法の施行後76年。 未だに多くの日本人には人権の観念が根付いていない。 そんな日本人にはまずこの映画を見て、人権とは何かを学ぶところか ら始めてもらうしかないのだろう。 (5月7日「」朝刊19面「本音のコラム」より)
.. 2023年05月10日 05:37 No.2750001
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