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「国民はもっと怒るべきです」 がんとの凄まじい闘いの中から命懸けで戦後民主主義の危機に 警鐘を鳴らし続けた坂本龍一氏 ラサール石井の東憤西笑連載(149) 坂本龍一氏が亡くなった。まさに巨星墜(オ)つ。その活動は世界レベル。 音楽だけではなくその存在そのものが人々に大きな影響を与えた。国葬 というものがあるなら(あったような気もするが)真にこの人こそふさ わしいのではないか。 政治家的発言も真摯に鋭く、「原発」「神宮外苑再開発」「コロナ 政策」などに抗議の声を上げる姿は頼もしく勇気をもらった。だが、 そういう発言が凄まじいがんとの闘いの中で命懸けで発せられていた とは不覚にも存じ上げなかった。「苦しい。もう逝かせてくれ」とまで 漏らすのはよほどのことだっただろう。 9.11でアメリカの覇権主義に疑問を持ち「世界は簡単に戦争をする」 と気付き、3.11では「日本は民主主義国家なのか、ここは原子力帝国で はないのか」と考えた。 原発の劣化、テロの標的になりかねないとして、「時間が経てば経つ ほど危険性は増す」と訴えた。原発反対の声を上げると坂本龍一氏で さえも仕事が減ったという。 神宮の森の再開発にも抗議した。がんは身体を侵し尽くし、抗議運動 の先頭に立つことはできなかった。インタビューには書面で答えていた。 「先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべ きではありません」と小池都知事に手紙を書いた。それだけでもどれだ け大変だったであろう。ところが小池都知事は「事業者に手紙を出せば いいのでは」とまるで他人事。血の通った人間の言葉ではない。 オリンピック招致のあたりからにおい出した再開発の怪しさを坂本氏は 感じ取っていた。 「コロナ対策」についても厳しく批判した。日本の初期対策を「非常に ぬるい。一貫性がないし、長期ビジョンもない」と断じ「検査数が絶対的 に少なすぎます」と指摘した。そしてドイツが「社会民主主義的な福祉 体制を維持できていた」のに対しイタリアは「新自由主義的な政策に よって病床数の削減や合理化を進めてきた(日本の関西の都市に似てい るね)そのツケを一気に払わされ医療崩壊が起きた」と喝破。
.. 2023年04月09日 09:01 No.2732001
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