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竹下登は田中角栄を裏切り、いけないお金に手を出し、初めての消費税導入を行なった方です。自民党批判が一気に強まったのです。竹下派が肥大化して膨張した竹下派は破裂しました。東京佐川急便から金丸への5億円献金問題が明るみに出たのがきっかけでした。
金丸はまず自民党副総裁を辞め、衆院議員も辞職しました。その過程で竹下派の内紛が火を噴いたのです。ついに小沢グループが派閥を離脱、羽田孜を代表とする羽田・小沢派を旗揚げしました。 反小沢グループは小渕恵三を代表に、小渕派として出発しました。権勢をほしいままにしてきた竹下派がついに分裂した瞬間です。
そして春まだ浅き3月。予算案が衆院を通過した3月6日、土曜の夜、 政界に衝撃が走りました。金丸が脱税容疑で逮捕されたのです。政治献金を割引債購入にあてて、政治活動には使わず個人的にため込んだのです。
しかも金丸事務所から金の延べ棒が出てきました。政治改革論議を再燃させました。衆院選で自民党が敗北し、政権の座を失う条件が整っていったのです。当時のコラムです。3年3月15日付日経朝刊の「風見鶏」です。
「蓄財政治」を排す「清貧」の志はどこへ行った。金丸信という人はやはりケタ違いの政治家だった。六十億、七十億円と言われるような、とほうもない金額をためこみ、金銭感覚がずれている永田町の政治家をも「数億円ならいざ知らず、一ケタ違う。信じられない」と、あ然とさせている。
「金丸神話」は言うに及ばず、政治への信頼も完全に失墜、「カネもうけとしての政治」だけが残った。政治家の蓄財は古くて新しい問題である。明治以降を考えても、すぐにいくつかの例が思い浮かぶ。日常的にわいろを要求、私腹を肥やしたとされる政治家としてはまず長州出身の元老・井上馨があげられる。
「井上は、病的気質かと思われるほどに所有についての自他の区別がなく、たとえば萩の旧士族宅で見せてもらった骨董品をそのまま持ちかえり、返さなかったりした話がのこっている」と司馬遼太郎さんが「この国のかたち」の中で書いている。今はなき海音寺潮五郎さんも井上を『悪人列伝』中におさめ、「貪官汚吏の代表者」としてとり上げている。
.. 2023年04月06日 07:31 No.2727001
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