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「交通と電気」 その(1) | リニアと原発 | 1960年代当時の「夢の新幹線には原発が必要」というのは | 単なる宣伝だった | 鉄道全般は時間帯により変動が大きいので原子力発電と | 相性が悪く歓迎されない需要 └──── 〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕
◎ 1960年代に東海道新幹線の建設計画が持ち上がったころ、国鉄(当 時)関係者は「御前崎に原発(浜岡のこと)を作らなければならない」 とアピールしたことがある。 現在の東海道新幹線の運転本数は開業当時の10倍になっている。 浜岡原発は当分再稼働の見込みはないが、だれも「電気が足りないか ら新幹線が止まる」などと心配していない。 つまり当時の「夢の新幹線には原発が必要」というのは単なる宣伝 だった。
◎ 現在の東海道新幹線は電力使用量として年間1,800(百万kW時単 位)、ピーク電力として28(万kW単位)くらいである。これは100万 kW級の原発一基の供給量・供給力の数分の一のレベルである。 すなわち、リニアの電力が現新幹線の数倍の電力になったところで、 3つも4つも原発の再稼働が必要などという関係はない。
◎ 「速度の二乗でエネルギーが必要」という計算が示されることがあ るが、それは単独の物体が運動する場合であって、交通システムとして 考えた場合にはそういう関係にはならない。 例えば東海道新幹線の「のぞみ」と「こだま」を比べると、「こだま」 のほうが遅いのに電力消費量は多くなる。これは何も物理法則に反した 現象が起きているわけではなく、物理法則に従った現象である。(詳し くは別の機会に)
その一方で国内の「交通」という範囲で考えると、たとえば高速道路 や幹線道路で一晩中点灯している照明灯やトンネルの照明といった道路 の管理と運営に使われている電力を集計すると、年間で現在の東海道新 幹線と同じくらいの電力になる。 また自動車の製造には、東海道新幹線の10倍くらいの電力が使われて いる。
.. 2023年03月10日 04:48 No.2705001
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