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大東亜共栄圏と「一帯一路」構想は、ある意味においては、大東亜戦争を戦った日本と、現在アメリカとの冷戦を戦っている中国には共通する点があります。中国は他のアジア諸民族と同様、欧米列強の餌食になりました。
アヘン戦争以来、欧米支配による屈辱を味わってきたのです。そして今、中国は「中華民族の偉大な復興」「中国の夢」の国家目標を打ち出し、欧米主導の秩序を揺るがしつつあります。
もちろん、東南アジア諸国も中国の覇権主義を警戒していますが、欧米の植民地支配の歴史を記憶する彼らの深層心理には、かつて日本が欧米中心の秩序の変革者、アジア文明の復興者になることを期待したように、それを中国に期待するところがあるのかもしれない。
その中国もまた、「中華民族の偉大な復興」に邁進するあまり、勢い余って重大な過ちを犯そうとしています。いま習近平政権は「一帯一路」構想を推進しようとしています。彼らは、欧米が主導してきた秩序に代わる、ユーラシアにおける共存共栄の秩序を目指していると言うかもしれません。
しかし、「一帯一路」は中国の覇権主義、権益主義の道具に陥りかねないのです。「一帯一路」構想は、かつて東条政権が掲げた大東亜共栄圏と同じ運命をたどるのであろうか。石原莞爾を先頭に王道アジア主義たちは、道義の力によってアジアを解放し、アジア諸国と対等な関係を築こうと試みました。
しかし、欧米に対抗する過程で、日本人は権益主義、覇権主義に陥り、過剰な指導者意識を抱くに至ったのでした。もちろん、石原莞爾を含む王道アジア主義者たちは大東亜共栄圏が言葉通りの共栄圏になることを願いました。しかし、大東亜共栄圏は八紘一宇という言葉が空しく響く覇道アジア主義に転落したのです。
いまこそ、我々は中国政府に対してその覇権主義を強く戒めるために、王道主義を求めるべきではなかろうか。孫文にならって、我々が中国に対して「西洋の覇道の番犬となるのか、東洋の王道の干城となるか」と問いかける番です。
.. 2023年02月19日 08:44 No.2693001
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