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放射線量を見ながらの人員のやりくり…管理職はつらいよ(49歳)
年が明けたと思ったら、あっという間に2月になった。今年は正月休み が意外と長かった。俺らは働いた日にちの分だけ給料をもらう「日給月給」 だから、休みが長いと収入が減る。福島県外の地元に帰ってからも、年内 ぎりぎりまで仕事をした。他のやつも仕事が欲しいというから知り合いに 頼んで準備したのに、「やっぱやめる」とか言って結局来なかった。まっ たく。 コロナ禍になってから、家族のいる地元に帰るのは、年末年始と大型 連休とお盆休みぐらい。今年の正月は家族旅行はしたけれど、久々に帰 ったから、家では家電が壊れたとかいろいろ用事を言われて、結局、 ゆっくりできなかった。 この冬は会津や県中心部の中通りなどで雪が降っているが、イチエフ (福島第一原発)周辺はちらついたぐらい。でも朝晩は結構冷え込み、 コンクリートの上の水たまりなどが凍結する。現場が凍結していると 滑って危ないから、班長らが作業前にスコップやツルハシで氷を割って 準備する。 原子炉建屋周りなども、以前に比べてかなり放射線量が下がったもの の、高い所は高い。昨年は年度末前に、年間の放射線量限界が近づき、 イチエフの作業に入れなくなった人が続出した。それで、近く現場を去 ることが決まっていた人に、高線量の現場に集中して入ってもらったり、 人繰りにかなり苦労した。毎日、作業員の線量を書いた表とにらめっこ し、誰をどこに配置するか頭を悩ませた。今年はうまくいっている。 年度末まであと2カ月あるが、大丈夫そうだ。 イチエフの作業は初めてやることが多く、予定通りには進まない。作業 が延期になったり、仕事が薄い時期があったりと安定しない。被ばく線量 の問題もある。みんなが仕事を休まないで働けるように、どう回すか考え るのに神経を使って疲れる。それなのに普段は全然感謝されないで、何か 悪いことがあるとぶーぶー文句を言われる。管理職はつらいよ。 (聞き手・片山夏子) (2月3日東京新聞 朝刊21面)
.. 2023年02月05日 08:34 No.2681001
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