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研究の空白だった棚氷、暗くて寒い閉じた世界にも大きな生態系が | 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その468 └──── (地球物理学者)
地球温暖化と、それに伴う海水面の上昇が問題になっている。ツバル、 キリバス、モーリシャスなどの海抜が数メートルしかない国がなくなる のではないかと恐れられている。
ここで誤解が多いのが、南北両極にある海氷が溶けると海水面が上が ると思われていることだ。 北極海には南極大陸のような大陸はない。最深は5000メートルを超え る。北極海に浮いている氷は海水が凍ったものだから、溶けても海水面 が上がることにはならない。コップに入れた氷水の氷が溶けても、水面 が上がらないのと同じだ。「アルキメデスの原理」である。
厳密に言えば、海氷ができるとき塩はとりこまれにくい。それゆえ 海水が溶けた水の塩分は、その水の密度は海水よりも小さい。この違い によって、海氷が溶けると、水位はほんの少し上がる。 しかし、わずかなものだ。
これに対して南極の氷は違う。大陸は全体として椀を伏せたような形 をしている。4000メートルにも達する厚い氷河に覆われていて、それが 地形のせいで海へ落ちて溶けると海水面が上がる。 南極大陸は日本の37倍もある広さだ。オーストラリアよりも広い。
その他、陸上にある南米や中国やアラスカなどの氷河は溶ければもち ろん海水面が上がる。 南極大陸に広がっている棚氷(たなごおり)は複雑で、溶けて氷山に なれば、いずれは溶けて海面上昇に寄与する。 だが氷山になる前、氷が陸地や海底に支えられている状態のときに は、溶けても海面上昇には寄与しない。
棚氷は南極大陸のほとんどを占めているので、とても広い。棚氷は 研究の空白だ。ほとんど調べられていない。 海水面の上昇を解明するためにも大事な研究だが、寒いうえに、いず れは氷山として溶け出すので、手がついていないのだ。 ニュージーランドの科学者たちが棚氷の温暖化による氷の融解に与え る影響を調べていたのだが、カメラを入れたときに面白い生物学上の 発見があった。
.. 2022年11月25日 06:42 No.2628001
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